今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、
“HGUC ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ]” です。
“ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに” より、
ガンダムTR-1の最終形、
“RX-121-3C ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ]” が、
プレミアムバンダイ限定、HGUCで発売されました。
TR-1[ヘイズル]の最終形なのに、バリエーションのなかで唯一名前に[ヘイズル]と付かないとか、例によってわけがわからないA.O.Z.(笑)。
ハイゼンスレイの名を持つ機体では、すでにハイゼンスレイⅡ、その強化型であるハイゼンスレイⅡ・ラーがやはりプレバン限定で発売されていますが、そちらはTR-6系列の機体であって、今回のハイゼンスレイの後継機ということではありません。
ハイゼンスレイとハイゼンスレイⅡは、強化パーツ等の共用を前提に同時に開発されたものだそうです。
しかし、A.O.Z.関連のキットもどんどん増えていきますね。
もともとガンダムシリーズでは珍しい、換装によって多数のバリエーションを再現するというコンセプトではありますが、先に本体とオプションをバラ売りし、後からそれらをセットにして色を変えて、さらに追加の新規パーツを足してもう一回とかやられると・・
実際、このハイゼンスレイでもわりとすぐにフルドドⅡ2機と新規パーツを追加、色をティターンズカラーに変更したハイゼンスレイ・ラーⅡが来ました。
A.O.Z.についてよく知っている人ならある程度予想が立てられるんだろうけど、にわかにはなかなかキツい・・
レビューしていきます。
キットは素組みに最低限の墨入れ、一部塗装と付属シールによる仕上げです。
ヘイズル・アウスラをベースにハイゼンスレイⅡと共通の上半身の強化パーツ、腰部にウーンドウォートの胸部と腕部を装着。頭部も専用のものに換装されています。
全体に四角かったアウスラに鋭角な要素が加わり、カラーもほぼ白一緒からネイビーブルーが増え、ぐっと締まった印象になりました。
キットはヘイズル改、プリムローズからの流用パーツに新規造形パーツを加えた内容。
上半身を中心とした新規パーツは、本来ハイゼンスレイⅡとまったく同じもののなのだと思いますが、形状バランス、サイズが今回のハイゼンスレイに合わせて調整されています。
調整の効果もあるのでしょう、ごつさとスマートさが両立した実に良好なプロポーションになっていると思いますが、その、同じパーツなのに微妙に形や大きさが違う、というのはやはり少し引っかかる部分ではあります。
構造的に省かれているギミックも多く、腕部は当然のように変形できませんし、背部ブーストポッドも側面のハードポイントがなく、腰部のウーンドウォートの腕部も根元で動くのみで展開はできなかったり・・
まぁ、コストの問題もあるのでしょう。あくまでハイゼンスレイ単体としての見ための完成度重視で作られたもの、という印象です。
もっとも、HGUCのTRシリーズ自体、実のところあまり互換性はなく、専用ジョイントや変形用の差し換えパーツが多用されているイメージはあります。
そもそもがかなり複雑な構造ですし、ましてや端からすべてのバリエーション展開を想定して開発されたシリーズでもないので仕方ないんですが。
まぁきっと、あと5年もすればRGとかで完全換装、変形が可能なTRシリーズのキットが出ますよ(遠い目)。
いやけっこうマジな話で、技術の進歩のアピールにはもってこいの機体群だと思うんですが。
少なくとも何度も何度もRX-78-2を作るよりよほど建設的・・おっと、口が過ぎたたようだ。
では、機体各部をちょっとだけ詳しく見ていきましょう。
頭部は顎の赤いパーツ以外は新規造形。
基本的なデザインはヘイズルを踏襲しており、マスク部も一般的なガンダム顔ですが、全体に大型化し、頬のダクト部分などはハイゼンスレイⅡと似た形状になっています。
その頬のダクトと側頭部のグレーはパーツで色分けもされています。
胸部は、プリムローズが変形したものをコアにハイゼンスレイⅡと同形状のパーツが追加されています。
こちらは左右ダクトの円形部分は色分けされていないので、グレーで塗装。
コクピットハッチ上部のセンサー(?)もシールがないので、ほかのセンサー用シールの余白を切って貼りつけました。
バックパックおよび可動式ブーストポッドはヘイズル改のものをそのまま使用。
サブスラスター(?)はオレンジで塗っています。
増設されているブーストポッドはヘイズルⅡやハイゼンスレイⅡが装備するものと同じものですが、新規造形でやはり微妙に形状、サイズが異なり、側面のハードポイントもオミットされています。
もちろん取り外しは可能。
メガ粒子砲のカバーの開閉はできませんが、カバーの取り付け位置を変えることで砲口を露出させることはできます。
しかし、なぜか説明書ではそのことに触れられていません・・
長い袖が垂れたような、独特の形状の腕部も、肩から上腕まではハイゼンスレイⅡと共通ですが、ここも接続軸の違いなどもあって新規造形。そしてサイズがぐっと小さくなっています。
前後の小さいダクトはオレンジで塗っています。
ハイゼンスレイⅡでは変形のための可動ギミックが仕込まれていましたが、今回はオミットされています。
ビームキャノンはジョイントパーツと併せて縦と横に回転できるだけで、そのまま前方に向けたりはできません。
アウスラでも腰部にサブアーム(アドバンスド・ヘイズルから流用のサブアームユニット)を装備していましたが、今回はウーンドウォートの上半身(頭部除く)を装備。
用途としてはほぼ同じことだと思うのですが、なんでサブアームユニットをそのまま使うではいけなかったのか・・
なお、ウーンドウォートの腕部は肘や拳がたたまれた状態の固定パーツで、根元で動かせるのみです。にもかかわらず、無駄に色分けは優秀という・・
単体キットのウーンドウォートから腕部を移植することで、簡単に可動化はできますが、フレームの成型色が違うのは少し気になります。
しかし、こちらはこちらでハイゼンスレイ付属パーツのようなたたんだ状態へ変形させることができません。
というか、本来どういう間接構造になってるんですかね、この腕は・・
あと、胴体と腕部の間のスタビライザー(?)の形状も少し違うんですが、これは・・?
脚部はアウスラからとくに変更はないようですが、キット的には付け根から太腿までが新造されており、股関節がボールジョイントから軸接続に変更、太腿にロール軸も追加されたことで可動範囲が劇的に広がっています。
ただ膝関節の構造はヘイズル改のままなので、その点ではどうしても古臭さは感じてしまいます。
リアアーマーも新規になり、デザインはそのままにほんの少し小さくなったようです。
足部スラスターユニットも新規造形。踵のフィンが色分けされています。
なお、ヘイズル改、プリムローズ双方のランナーで余剰パーツがけっこう出ます。
付属武装
ビームライフル
ヘイズル改からそのまま流用。
銃身の短い、サブマシンガンのような雰囲気のライフルです。
サブグリップが可動し、マガジン(2個1組)は着脱可能。
センサーにはなぜかシールがない(ヘイズル改の時から)ので、ここもほかのシールの余白を切って貼っています。
保持には、これもヘイズル改から流用の右銃持ち手を使用。余剰扱いですが、プリムローズのランナーに含まれる角度付きの右持ち手ももちろん使えます。
予備マガジンが2つ付属し、腰部サイドアーマーにマウントできます。
ビーム刃も1本のみの付属です。
最近主流の汎用パーツよりもかなり短いです。
ヘイズル改から流用の専用右持ち手のほか、新規の左右汎用持ち手でも保持可能。
コンポジットシールドブースター
TR-6系列機のメインウエポンですが、今回は上面のネイビーブルーのパーツ以外は新規造形。
ブレード(砲身。縁のグレーはシール)がかなり大型化されている一方、クロー形態への変形や蛇腹アームの可動はオミット。
手持ち用のグリップもなく、シールド用のジョイントを介して前腕に取り付けます。
保持するのにストレスがなくなったのはよいことですが・・
後端のウイングも可動せず、付け換えで角度を変更する仕様に。
センサーもたたんで収納可能。
基本的なパーツの仕様はウーンドウォートと共通なので、クロー部分を差し換えれば変形させること自体は可能。
ただし、リード線を使っての射出状態は再現できません。
比較画像
左からヘイズル改、ヘイズル・アウスラと。
ヘイズル改のコア部分をプリムローズに換装し、武装も追加したものがヘイズル・アウスラ。
そこから主に上半身のパーツを換装し、武装も変更したものが今回のハイゼンスレイということですね。
ヘイズル改からアウスラはデザイン的にも延長線上という感じがしますが、ハイゼンスレイになるとけっこう印象が変わります。
やはりTR-6シリーズの要素が加わるからでしょうかね。
コアとなるMSが違うものの、上半身に装備される強化パーツ(新造パーツ)は共通・・のはずなんですが、肩のパーツの大きさが明らかに違います。
逆に胸部パーツはハイゼンスレイのほうが少し大きいですね。
コンポジットシールドブースターもブレードがかなり長くなっていて、ハッタリが利いています。
肩間接は前後、上下にスイング可能。ただし、後方ではバックパックおよびブーストポッドが少し干渉します。
また、腕部は肩アーマーを跳ね上げることで横向きにほぼ水平まで上げることができます。
肘は二重関節で180度上げることが可能。しかし特徴的な袖のせいで真っ直ぐに伸ばすことはできません。
平手は左のみの付属ですが、サーベル持ち手を右の平手の代用として使えます。
脚部は新造されたパーツの恩恵で180度近い開脚ができるようになっていますが、足首の可動域はヘイズル改から変わりないので接地性はそれなりでしかありません。
というか、足首はボールジョイント接続でソール部分が可動するのですが、その可動部(ポリパーツ受け)が若干緩く、コンポジットシールドブースターを構えるとその重みで前に倒れがち。
自立させるためにバランスをとるのがけっこう厳しいです。
膝関節も改修はないので90度ほど曲がる程度。まぁ、このごつい脛形状ですから、関節が新造されたところで可動域はさほど変わらなかったかも。
腰に回転は普通に可能ですが、脇腹に生えている小羽根が引っかかることがあるので注意です。
コンポジットシールドブースターを収納状態にで。
取り付けがシールド方式になったので非常に安定感があり、マウントしつつほかの手持ち武器も使えるようになったのはよいですね。
腰部のウーンドウォートの腕部を交換して。
位置的にジオの隠し腕を彷彿とさせるのでビームサーベルを持たせてみましたが、サーベル1本だけなんだよなぁ。
しかもバックパックに刺さってるから直接は抜けないし・・
肩のビームキャノンと背中のメガ粒子砲を一斉射。
ちょっと体勢的に無理がありますね。
手許にあるパーツだけを使ってフルドドⅡを装備。
やはり単体キットの組み合わせではハイゼンスレイ・ラーⅡを再現できなかったか・・
後ろから見るとこんな感じ。
腰への取り付け方も違うようですね。
あと頭部アンテナが違いますし、腰部もウーンドウォートの上半身ではなく背中のブーストポッドと同じものをもう1個装備しているようです。
ハイゼンスレイⅡ・ラーの分も含めて、完全版(?)で追加されるパーツだけ別個に発売してくれないかなぁ。
以上、“HGUC ハイゼンスレイ”でした。
もともとがジムクウェルベースということもあって、どうしても量産機っぽさが残っていたTR-1ですが、最終形にして一気に垢抜けた感があります。
本来ハイゼンスレイⅡと共通のパーツをハイゼンスレイに合わせてコンパクトに調整しプロポーションを追求。
一方でメイン武装のコンポジットシールドブースターはこれまでものよりブレード部分が大型化され、装備時の姿は随分とハッタリの利いたものになりました。
さらに、一部間接構造の見直しや既存共通デザインのパーツも新規造形で色分け精度向上など、本体もアップデート。
ボリュームも十分で、まさにTR-1の集大成キットといってもよいと思います。
ただ・・なるほどハイゼンスレイ単体としては非常に格好いいものになったとは思うのですが、TRシリーズ全体の汎用性の再現という部分には一部目を瞑ってしまったようで、そこは少し残念というか、まぁ、けっこう行き当たりばったりで作ってるなぁ、という印象は拭えません。
同じデザインのパーツだけどそれぞれ大きさは違う、というのがそもそもの設定なのだとしたらごめんなさい・・
とにかくA.O.Z.はややこしいよ。
HGUCの、1/144スケールのサイズ感での最適解として見るべきなんでしょうけどね。
さて、TR-1系列はこのあとのハイゼンスレイ・ラーⅡでさすがに終了かと思いきや、先日次世代量産機まで投入されましたね。
これまでのキットの組み合わせで再現できるものの成型色変更くらいのようですが・・
あとはギャプランブースター。
細かく稼いでくるね(言い方ww)。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
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