HGAW ガンダムエアマスターバースト & ドートレス レビュー

 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードアフターウォー より、

“HGAW ガンダムエアマスターバースト” と、

“HGAW ドートレス” です。


 “機動新世紀 ガンダムX” より、

フリーデン所属のモビルスーツ乗り、ウイッツ・スーの後半の乗機、

“GW-9800-B ガンダムエアマスターバースト” と、

地球連邦軍の主力量産型モビルスーツ、

“DT-6800 ドートレス” が、

ともにプレミアムバンダイ限定のハイグレードアフターウォーで発売されました。


 機動新世紀 ガンダムX・・放送当時僕は高校生だったかなぁ。

 リアルタイムで観ていてけっこう好きだったんですが、世間的にはあまり人気が出なかったのか、あの中途半端な話数は打ち切りということだったのか・・

 放送当時にガンプラ化されたのも、ガンダムと名の付く機体(それも全部じゃない)と、リミテッドモデルのドートレス、ジェニスのみ。

 以降の露出もあまり多くない印象です。

 そんななか、今からおよそ10年前、まだオールガンダムプロジェクト(AGP)も始まる前にHGUCと同枠でHGAWとして主人公機のガンダムエックスが発売されたことには驚きました。

 翌月のHGFC ゴッドガンダムも衝撃でしたけどね。

 しかし、その後はバリエーションでガンダムエックス ディバイダー、少し間を開けてAGPの一環でガンダムダブルエックス。また少し間を開けて今回のエアマスターバーストの基型となるエアマスターが発売されたきりで、その後6年間音沙汰なし。

 HGFCがゴッドガンダム、シャイニングガンダム、ノーベルガンダム(通常版とバーサーカーモードの2種)、そしてマスターガンダムと敵味方併せてAGP以前に5種類も発売された(逆にAGPのときはなにも出ませんでしたが)ことと較べると、TV放送されたシリーズでもっとも人気がないという不名誉が確定してしまった感があります。

 今回のエアマスターバーストの発売にしても、要は6年ほど待たされたわけですが、きっかけとなったのはビルドダイバーズ Re:RISEにドートレスの改造ガンプラとしてエルドラドートレスという機体が登場したこと。

 しかし、ここでも作品人気が影響したのか、ドートレスもエルドラ、オリジナルともにプレバンという結果に・・

 ここ最近、アナザー系量産機のHG化が盛んで、そのほとんどがオリジナルとビルド系登場改造ガンプラの両方が一般販売になっているというのに・・さすがにこの扱いは露骨だなぁ(笑)。

 エルドラウィンダムがプレバンなのが、せめてもの慰め・・にはならないか。

 こうなるとジェニスの一般販売・・というか、そもそもHG化も怪しい感じになってきました。


 それでは、レビューしていきます。

 それぞれのキットは素組みに最低限の墨入れ、付属シールとドートレスのみ一部塗装での仕上げです。


ガンダムエアマスターバースト

 かつての地球連邦軍が第7次宇宙戦争用の決戦兵器として開発したガンダムの1つで、高速飛行形態への変形機構を持つ機体、ガンダムエアマスター。

 戦後にレストアされたものにウイッツが搭乗。

 劇中中盤、戦闘で損傷し、改修されたものが今回のエアマスターバーストです。


MS形態

 機動力と、とくに火力の強化に重点を置いた改修が施されています。

 メインカラーが赤白から青白に変更されていますが、本体そのものは大きく変わらず、パッと見てわかる違いはファイターモード時に機首と主翼になる、肩から背中にかけて装備している機動ユニットと、スラスターの追加された腰部フロントアーマーや膝アーマーくらいでしょうか。

 基キットはおよそ6年前のものですが、AGP以降の標準フォーマットなので構造的に古臭さは感じません。

 ただ、プロポーションは劇中の印象・・というかオリジナルデザインと較べてより細身で、そのへんの按配は6年前の流行りのままなのかなぁ、という感じ。

 もちろん大方が流用なので当然なんですが。

 今あらためて一から作り直した場合だと、もう少しがっちり体型になるような気がしないでもない。

 新規造形部分については以外と細かいパーツ分割になっており、ひょっとしたらシールかもと思っていた機首の白い部分や主翼の色分けも成型色で再現されていました。

 コクピットハッチ(胸部中央のパーツ)首許の白と肩の青いラインはシールです。

 背面。

 ファイターモードの機首を背負うかたち。

 改修前のMS形態は大きな主翼が背面に回ってマントのようになっていて格好よかったんですが、こいつの後ろ姿はなんかちょっと間抜けな感じも・・


ファイターモード

 大気圏、宇宙空間どちらでも運用可能な高速飛行形態。

 基型に較べて翼面積が小さくなりましたが、翼端に可動式のブースター兼ビームキャノン(ブースタービームキャノン)を装備、さらに機首にもビームキャノンが追加され、機動性と火力が大幅に向上しています。

 バスターライフルは改修前同様、前腕側面にマウント。

 基型の航空機然としたフォルムからけっこう印象が変わりましたね。モビルアーマーっぽくなったというか。

 変形自体は前作、ガンダムWの主人公機、ウイングガンダムからの派生となる超お手軽変形ですが、機動ユニットを含めた胸部パーツが可動するぶん、ウイングガンダムより高度な変形という気がする(笑)。

 ただしキットは完全変形ではなく、頭部を外し、コクピットハッチも一旦外して機首裏面に付け換える必要があります。

 とくにロック機構はなく、腕部や脚部の位置調節が若干面倒。

 腰部含め、経年で姿勢が維持できないパターンです、これ・・

 裏面はこんな感じ。

 腰部リアスカートのパーツを外したところにスタンド用3㎜穴があります(画像では外しています)。


武装類

バスターライフル

 これもウイングガンダムからの流れなのか、こんな名前になっていますが、いわゆるビームライフルです。

 2丁を装備。マウント用のジョイントの位置が左右で違う以外は同じものです。

 戦後の量産機のそれより威力はあるのだと思いますが、名前のイメージほど強力な武器というわけではなかった気が・・

 キットは基型からの流用。設定としても同じものだったと思います。

 保持には左右の銃持ち手を使用。というか、ハンドパーツは銃持ち手以外付属しません。

 非使用時には腰部サイドアーマーにマウント可能。マウント時にグリップが収納できたりはしません。

 ほか、とくにギミックはなし。完全なモナカ割りで銃口も分割されていません。


ブースタービームキャノン

 主翼先端に装備される2連装のビームキャノン。

 その名の通り後部にブースター(スラスター)が備わっており、機動装備としての役割も果たします。

 基本的にはファイターモードでの主兵装 で、MS形態時には肩のユニットに収納されていますが、もちろんそのまま展開しての使用も可能。

 でも、もう少し大きかったイメージがするですが・・なんかちょっと小さいな。


ノーズビームキャノン

 ファイターモードの機首にノーズバルカンに代えて装備された大口径のビームキャノン。

 エアマスターバースト最大威力の武装です。


 なお、旧HG1/100キットに付属したミサイルライフルは今回付属しません。残念・・


比較画像

 改修前と。まずMS形態で。

 カラーリングが真逆になるのって、けっこう珍しいパターンな気がする。

 マントがなくなり、代わりに肩周りのボリュームがアップしたことでけっこうシルエットが変わりました。

 本体部分では地味に肩アーマーもラインディティールが増えてたりするんですね。


 ファイターモードでも。

 やはり航空機からMAに変貌した・・という感じ。

 空力特性は落ちたように思われますが、増設されたブースターで無理矢理飛ぶんですかね。

 そして火力の強化が半端ない。

 イマイチ決定力のなかったエアマスターが、相方と遜色ない攻撃力を獲得できた・・と思いきや、向こうはさらにバケモノじみた動く武器庫になるという(笑)。


 ガンダムダブルエックスと。

 意外とDX本体が小さく見えます。

 設定でもわずかにエアマスターのほうが背が高いんですが、なんかイメージと違うなぁ・・

 あと、久しぶりにDX出してみましたが、色分け精度イマイチですね・・


ドートレス

 地球連邦軍の第7次宇宙戦争当時の主力MS。

 戦後は新体制となった連邦軍でも引き続き運用される一方、多数の機体が流出し、様々に改修されてバルチャーや民間企業などでも使用されています。

 今回はもっとも標準的な仕様としてのキット化で、カラーも連邦正規軍のライトグリーンとオレンジのツートンとなっています。

 当然、先に発売されたエルドラドートレスの流用で、頭部や胸部、武装などが新規造形。

 特徴的な3つ目タイプのカメラにはエルドラ同様クリアパーツは使われず、シールでの再現です。

 また、機体各部に走る太い黒のラインもおおよそシールで再現できますが、今回はマーカーで塗りました。

 プロポーションは比較的マッシブで、オリジナルのデザインにかなり近い印象。いわゆるジム系相当機にありがちな細っこい雰囲気はありません。

 実際、メチャクチャ頑丈という設定らしいですね。

 背面。

 バックパックはなく、背中に直接スラスターが付いている構造。

 ちなみに、画像はありませんが足の裏はがっつり肉抜きされています。

 よくも悪くも低価格キットという感は否めません。

 その上側には2箇所の3㎜穴が空いており、今後のバリエーション展開が期待できます。


武装類

90㎜マシンガン

 第7次宇宙戦争当時からの主兵装 。

 モナカに銃口のみ別パーツでとくにギミックはなし。マガジンの取り外しもできません。

 銃持ち手は付属せず、汎用持ち手での保持となります。

 グリップはシンプルな形状なので、持ち手をバラすことなく持たせられます。


シールド

 表面は一応2パーツ構成になっていますが、グリーン部分はシール。

 中央の黒ラインもシールがありますが、ここは塗っています。

 裏面のジョイントで直接前腕(側面と後面の2箇所)に取り付け、さらに持ち手に可動式のグリップを持たせることができます。


 新連邦所属機はビームサーベルも標準装備となっているはずですが、今回は付属しません。


比較画像

 先に発売されたアナザー系量産機たちと。放送順に。

 デスアーミーもリーオーも、どちらかというとザク相当機ですが、なんとなく通じるモブ感は共通。

 しかし、てっきり今回のドートレスもおおよそFine Buildに準じた構造になるものと思っていたのですが、意外にも普通のHG基準でした。

 つまり、肘や膝がパチンとはめこむ簡易構造ではなく、普通にポリキャップも使われています。

 今回の2機で。

 エアマスターバーストでかいな・・というか、そっちが比較的スタイリッシュ路線なので並ぶとなかなかの違和感。

 一応、同じ連邦系の機体なんですが、さほど共通点が見られません。


以下、画像

 まずエアマスターバーストで。

 基本的なフォーマットはAGP以降の一般的なキットに準じたものですが、可変機ということもあって肘と膝の可動範囲は広め。

 人体基準で本来曲がる方向とは逆方向にもある程度曲げられるので、それこどスタイリッシュなポージングも可能です。

 一方で脛の外装が干渉するので足首のスイング幅は狭く、接地性は微妙。まぁ、あまり地面に立っているイメージもないのでよいでしょう。

 自立はとくに問題ありません。

 立て膝は非常に綺麗に決まります。

 これもあまりイメージにないポーズですけどね。

 プラモ、トイにかかわらず、いかに綺麗に立て膝ができるか否か、という部分が個人的に気になるポイントだったりします(笑)。


 ブースタービームキャノンも展開しての一斉射撃イメージで。

 さすがにノーズビームキャノンはMS形態で前に向けることはできませんでした。

 スタンド用の3㎜穴は股下にあります。


 ファイターモードでも。

 この状態でも、ブースタービームキャノンはもちろん左右旋回が可能。

 でもそんなことをすると、推力のベクトルがメチャクチャになりそうですけどね・・


 ガンダムエックス ディバイダーを乗せて。

 劇中こういうシチュエーションがあったかどうかは覚えていませんが、同サイズのMSを乗せるくらいはまったく問題ないです。

 上手い具合に左の平手が付いているディバイダー。


 続いてドートレス。

 こちらも可動性能は標準的。干渉する要素がほぼないので、ポージングにストレスは感じません。

 肘はおよそ90度、膝は120度ほど曲げられます。

 水平開脚は180度可能ですが、足首関節がなく、脛と足が憶説ボールジョイントで繋がっているタイプなので、接地性はイマイチ。

 ただ非常にシンプルな機体なので自立にはなんの問題もありません。

 スタンド用3㎜穴は股下にあり。

 肩間接は汎用のポリパーツですが、上方に跳ね上げられる構造なので、躍動感のあるポーズが可能です。

 ちなみに、同じポリパーツを使っていますが、エアマスターのほうは前方引き出し構造。あちらは肩の上に大きなものが被さっているので、上向きに動いても干渉するだけですからね。


 リーオーからの癖で、実はこのドートレスも2つ購入しております。

 というわけでツーショット。

 でも、武装がシンプル過ぎてこの標準型を複数持っててもあまり面白みがなかった・・

 せいぜい右利きと左利きに分けるくらいですね。

 せめてサーベルくらいは付けてほしかったなぁ・・

 なお、このドートレスはあまり経ち膝が綺麗に決まりません。


 集団戦イメージで。

 ガンダム3機で旧式の量産機2機相手にするとか・・弱いもの虐め以外のなにものでもない(笑)。

 というか、劇中でこのガンダムたちが出てくる頃にはもうドートレスネオが配備されてたかも。

 早くこの3機と対等に渡り合える敵機体が欲しいです。

 もちろんレオパルドも欲しいですよ。


 以上、“HGAW ガンダムエアマスターバースト & ドートレス” でした。


 エアマスターの発売からおよそ6年経ってようやくのエアマスターバースト発売。

 差し換え式の変形、可動性能と、基キットの構成をそのまま引き継いでいます。

 ファイターモードがカッチリ決まるロック機構などが追加されていればいいな、と思ったのですがそんなことはなく、最新キットらしい部分というと、新規パーツの色分け精度が上がっていたことくらいでしょうか。

 AGP以降、HGで劇的な進化がなかったからまだよかったものの、最悪トリスタンみたいなことにもなりかねませんから、系列機、関連機はなるべく短いスパンで世に出してもらいたいです。

 Wのガンダムたちにしても、ウイングガンダムとサンドロック、ヘビーアムズの並びは少ーし違和感ありますしね。


 一方のドートレスは、Fine Build以上、標準HG未満というような内容。

 可動に関しては接地性がイマイチですが、それ以外は十分だと思います。

 ポリキャップ採用のおかげか、リーオーやデスアーミーよりも保持力や安定性があるのもよいです。

 ただ、これも今後のバリエーション展開によって大きく評価が割れるアイテムだと思うので、できるだけ早い段階で各種バリエーションをリリースしていってほしいですね。

 コマンド、ウエポン、フライヤー・・ワラビー系は微妙なところですが、最終的にリーオーのようにフルウエポンセットを出してくれると思います。


 しかし、少々スローペースではあるけれど、一応初期のガンダム5機を一般販売でコンプリートしようとしているガンダムWと較べると、やはりガンダムXは不遇と言わざるをえませんね。

 ただ、アナザー系では人気があると思われるWですら今やあんな感じなのだから、X登場機を一般で出すなんてことができるわけがないのかもしれない・・
 けっこう好きなんだけどな、XのMSたち。

 とくの新連邦系のMSは基本のデザインラインは共通ながらシルエットや機体特性に強い個性のある機体が多いので、HGで揃えられたらキット楽しいと思うんだなぁ。まぁ、売れんやろうけど・・

 でも、ディキトゥスみたいな例もあるので、いきなりなんの脈絡もなくコルレル、ブリトヴァ、ガブルとか出したら、なにかの間違いで売れる可能性も・・やっぱないか(笑)。

 個人的本命はヴァサーゴCBとアシュタロンHCですが、10年後くらいかな?(遠い目)

 そして、レオパルド・ダ・ヴィンチとはいったいなんだったのか?


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 退屈と惰性と

    2020.11.02 08:39

    @09e16そうだったんですね・・ トップの無理解、残念なことです。
  • 09e16

    2020.11.02 05:01

    ガンダムXの放送期間が短縮されたのはテレビ局のトップがアニメ嫌いな上にガンダムとドラえもんの違いもわからない馬鹿だったからってだけでそこまで不人気だった訳じゃないんだよなぁ……