MG ガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様 レビュー

 今回のレビューは、1/100スケール マスターグレードモデル より、

“MG ガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様” です。


 “機動戦士ガンダムF90” より、火星独立ジオン軍(オールズモビル)に鹵獲されたガンダムF90の2号機が独自改修された姿、

“OMSー90R ガンダムF90(火星独立ジオン軍仕様)” が、

プレミアムバンダイ限定のマスターグレードモデルで発売されました。


 F90のすべてを紐解く“A to Z PROJECT” 。

 本体であるF90のバリエーションも4つめになりました。

 しかし、4つのうち3つが2号機の仕様変更て・・まぁ、そういうストーリーなんだから仕方ないんですけど。

 いずれロールアウトカラーの2号機も来るんだろうか? さすがにそれはスルーさせていただく所存ですが。


 さて今回のF90火星独立ジオン軍仕様、劇中では当初シド・アンバーが搭乗していましたが、オールズモビルによって鹵獲されたのち独自改修を施され、主人公デフ・スタリオンの前に立ちはだかってきます。

 搭乗するのは元連邦軍の大尉、ボッシュ・ウェラー。

 デフたちが所属する連邦軍第13実験戦団の隊長であるにもかかわらず、オールズモビルと内通し、あまつさえ2号機を奪って裏切ったどうしようもない悪役・・というのが、わりと最近までのイメージだったと思います。

 僕が最初に彼を知った(というかF90の大まかなストーリーを知った)のはGジェネFだったか? そのとき彼にまだ震えネームはなく、ただのボッシュでした。

 CVが異様に渋い(中田譲治氏)という以外は、とくに見るべきもののない、ただのおっさんだったという記憶しかないです。

 それが今年(2022年)に入って、急にその存在が注目されました。

 F90のスピンオフであるコミック作品、“機動戦士ガンダムF90FF” において、ボッシュの設定が深く掘り下げられたこと(そのなかでフルネームも設定された)が理由。

 なんでも、ボッシュはカラバからロンドベルまで、ずっとアムロに付き従ってきた彼の部下であったというのです。

 それまでも、ボッシュがアクシズショックの現場にいたという話はあったのですが、その新設定が生まれたことで彼のガンダムに対する恐怖にも似た感情、連邦への不信感などに説明がつくようになり、同時に彼がただの裏切り者の悪役に留まらない複雑性を持ったキャラクターとして再評価されることになりました。

 今回のキット化も、その流れに沿ったものなのかもしれません。

 というか、F90FF自体が、A to Z PROJECTの販促みたいですけどね。


 それでは、レビューしていきます。

 キットはパチ組みに最低限の墨入れ、付属の水転写式デカールでの仕上げです。


 まずパッケージ。

 改修前の2号機はプレバン標準の2色刷りでしたが、今回はまたフルカラーパッケージ。

 これはどこかの基地の内部ですかね。炎に照らされる姿が格好いい。


 フレーム状態で。

 とはいえ、昔のMGのように見せるためのフレームという部分はもうかなり限定的になっているので、とりあえず出来るだけ外装パーツを付けずにかたちを保てる状態ということで。

 あ、左の膝下のスラスターパーツが外れてますね。撮影全部終わって、文章各段階で気付く・・(泣)

 正直、フレーム部分はもっと流用してくるのかと思っていたのですが、かなりの部分が新規造形パーツに置き換わっています。

 通常のF90のフレームをそのまま使用しているのは腰部とハンドパーツくらいで、腕部も前腕の一部が新規、脚部も太腿から下はほぼ新規になっています。

 腹部から胸部、頭部までもコクピットハッチの基部以外は新規造形。

 胸部と頭部についてはほかのフレームと成型色が違っているのが少し気になります。なんで合わせないのか?

 あと、撮り忘れましたが、コクピットブロックは透明クリアパーツ製になっています。

 これは通常型でもそうでしたが、ご覧のようにこの段階でほぼ見えないのになんでわざわざ別パーツ、それも透明クリアにするんだろうか?


 後ろから。

 先に言ったように、かなりの部分が新規造形になっているのですが、通常型のパーツもある程度流用しているため、けっこうな余剰が出ます。

 外装、武装も装着したフル装備状態でのボリュームは、むしろ通常型よりも控えめなのに、価格的には500円アップしているのは、その余剰分が含まれるのかと思ったり。

 昔は余剰分は価格に反映されてない印象だったけどなぁ・・


 では外装、武装を取り付けて。

 ガンダムといえばのV字アンテナはなし。

 その代わりに(?)トサカが大型化され、メインカメラかセンサー下も大きくなっています。

 左右非対称の肩アーマー、しかも片方にスパイク付き。全体に改修前より若干曲線が多いところなどは、やはりジオンの色が反映されているように感じます。

 しかしこのあたりボッシュの意図なのか、それともオールズモビル側の主張なのか・・?

 外装パーツは腕部や太腿、足の甲など、改修前とは同じ形状の部分も含めすべて新規造形。

 色分けも膝の逆三角形以外、ほぼすべて成型色で再現されています。

 膝の逆三角形はデカール。今回はそこだけ貼りました。


 頭部をアップで。

 頭頂部のメインカメラとツインアイ、こめかみのバルカンなどもすべて成型色で色分けされています。

 今回ホイルシールは付属せず、カメラ類も成型色のままです。

 これはあえて光らない感じにしてるんだろうか?

 あと、なんとなくウルトラマンっぽく見えるは僕だけじゃないはず。

 そう思うと、案外悪役には見えないんだよなぁ。


 もちろんコクピットハッチも開閉可能。

 コクピットハッチの開閉向きが、通常型では上向きに開いていたのが、こちらでは下向きに変更されています。

 中にはボッシュ大尉と思しきパイロットスーツ姿のフィギュアが。

 そしてやはりコクピッロブロックがクリア製である意味が・・


 後ろから。

 各部のハードポイントはほとんどが死んでおり、F90最大の特徴であり存在意義でもある(?)ミッションパックの換装には非対応。

 まぁ、オールズモビルはミッションパックを持っていないですから、それに対応してシステムまで整備する意味はない、というところでしょうかね。

 設定としては独自のオプションを装備させる、というものもあったようですが、今回とくにその設定を拾っている様子はないです。


 バックパックも交換されてます。

 これに伴い、ビームサーベルの装備数が1本から1本に。

 2基のスラスターはボールジョイントで可動します。

 バックパックの表面にハードポイントはないのですが、バックパック自体の接続方法は通常型と共通なので、通常型のバックパックや各種ミッションパックのバックパックと換装することは可能です。


 前腕の装甲はカバーを取り外すことが可能なのですが・・

 空いている穴が3㎜ではないので、各種ミッションパックのオプションを取り付けることはできません。

 しかし、わざわざディティールが入っていることもあるので、今後なんらかの展開を期待してもいいのかもしれません。

 設定上はビームシールドの装備も考えられていたということですし。


 腰部サイドアーマーは後述のグレネードを取り外すことで3㎜穴ハードポイントとして活用できます。

 ただ、通常型と違ってダボ穴はないので、特定のオプションをかっちり固定することまではできません。

 ということで、まったく一切のミッションパックの装備ができない、というわけではないんですね。


 以降はその他のギミック。

 脚部、ふくらはぎのスラスターハカバーがわずかですが可動します。


 腰部の特徴的な可動は通常型そのまま。

 フロントアーマー、そして股関節が大きく動き、前屈姿勢などより自然に決まります。

 アクションベースなどに取り付けるためのアタッチメントパーツも、一旦股関節を前方にスライドさせてからはめ込みます。


付属武装

ビームマシンガン

 専用の大型ビームマシンガン。

 一年戦争期のMMPー80マシンガンを彷彿とさせるデザインですね。やはりジオンっぽい。

 とくにギミックはなく、マガジンの着脱もできません。

 急に手抜き感が・・

 非使用時は専用のアタッチメントパーツを介し、

腰部リアアーマーにマウント可能。

 左右逆にマウントすることもできます。


ビームサーベル

 先の通り、バックパック右肩部分に1本を装備。

 デバイスも別物になっています。


対MS用グレネード

 左右のサイドアーマーに2発ずつ、計4発を装備。

 先の通り、サイドアーマーからは取り外すことができますが、2発で一体の構造になっているため、1発ずつ取り外すことはできません。

 これまた手抜き感は拭えない・・

 あ、ハンドパーツには新規で平手用の指パーツが追加されています。


 基本装備は以上。かなりシンプルですね。

 シールドすら装備していません。その分装甲が厚めということなんでしょう。


比較画像

 改修前のF902号機と。正面から。

 まぁ、ちょっと色の印象もかなり違うのでアレなんですが・・思っていた以上に別物になっていますね。

 形状は同じと思われる部分でもわずかにディティールが違ったりしています。

 上腕の外装とか、真ん中のスリットはわざわざ埋めたんだろうか?


 後ろからも。

 正面から見る以上に印象が違いますね。

 やはり、今回の仕様はこのまま顔がモノアイタイプであってもさほど違和感がないように思います。

 ただ悪役っぽいのはむしろ左。これはもう色のせいですが。

 F90Ⅱも加えて、武装込みで。

 左から通常、改修、再改修。

 いやまぁ、よくここまで戻したね、F90Ⅱ(笑)。

以下、画像

 可動についてはこれまでのF90シリーズと大きく変わりません・・というかぶっちゃけ、一緒。

 平均的によく動いてくれますが、腕、脚ともにちょっと付け根から外れやすいですかね。

 とくに脚は太腿の外装がバラけやすいです。

 これはもうこの型の仕様という感じですが、最初の1号機を組んだ直後はそこまで感じなかったんですけどね。

 しばらく弄っていて、あ、緩んできたな・・というのと同じ感じが組んだ直後のこのジオン仕様にもあってので、流用パーツの精度がわずかに落ちてきているのかも?


 股関節可動で立て膝が決まります。

 新規の平手パーツもいい仕事をしてくれます。

 ていうか、いい加減平手は標準装備にしようよ。


 アクションベースを使って。

 MGのディスプレイにはほぼほぼアクションベースしか使えないのは不便だよなぁ・・普通に3㎜とか5㎜の軸穴のあるアタッチメントを付けてほしい。


 パッケージイラストのイメージで。

 やっぱりただ立たせるだけじゃ悪役に見えないなぁ。

 左肩のスパイクが無理してる感ある(笑)。

 ボッシュの背景とか知っちゃったから余計にね・・

 色的にはむしろ正義側っぽいしね。


ボ「これがガンダム! 悪魔の力よ!

 と言われたのでそれっぽく、ミッションパックを適当に装備。

 先にも言ったようにバックパックの換装と腰部サイドアーマーへのオプション取り付け。あとは手持ち武装は普通に持てますからね。

 案外盛れるもんです。


 かつての教え子、デフの乗る1号機と対決するボッシュの2号機。

 この戦いで2号機は大破、ボッシュも戦死することになります。

 ガンダムにとり憑かれた男に引導を渡したのも、やはりガンダムだった・・

 大破した2号機はサナリィにて再改修され、F90Ⅱとして三度生まれ変わります。

 そしてまた別の物語で活躍することに・・


 以上、“MG ガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様” でした。


 2号機のバリエーションとして当然発売は予想されていましたが、やはり異質な存在ですね。

 宇宙世紀作品のなかでも、敵方に奪取されたガンダムはけっこういますが、ここまでガッツリ改修されて見ためが変わってしまう例というのはほとんどない(僕が知る限り)ですからね。

 だいたいが無傷で奪われて、そのまま使われているという印象です。

 なので最初からデザインが悪役っぽい・・GPー02とか(笑)。

 設定では外装の80%が交換されたとなっていますが、キットでは同形状のものも含め完全新規。

 フレームパーツも半分以上は新規パーツに置き換わっており、F90シーズは4体めながら、まぁまだ新鮮な気持ちで組むことはできました。

 キットの出来は保証済みではありますが、ミッションパックの換装ギミックがなくなっているので、本体のみの非常にシンプルなキットというところに留まっているのはちょっと残念かな、と。

 設定だけ存在するオールズモビル独自のオプションの存在を期待させるようななにかが欲しかったという気はします。

 結果なかったとしても。

 実際、そんな寄り道してる暇があったらさっさとミッションパックのコンプリートをしてくれ、というのが本音です。

 今回も、同時発売で新規のミッションパックセットが来ると思っていたんですけどね。

 確かにジオン仕様にはミッションパックは付けられませんし、一緒に発売したところでコイツには付けられないじゃないか、ということにはなるんですけど、ジオン仕様を買おうという人はほぼ間違いなくほかの本体も持っていると思うので、そこは気にする必要はないはず。

 というか、この翌月にこれまでのA to Z プロシェクト関連のキットの一斉再販がされるのですが、そこで一定額以上購入すると各種ミッションパックを換装イメージでディスプレイできる “ミッションパックハンガー” をプレゼントするというキャンペーンがあった(すでに受け付け終了)んです。

 そのキャンペーンの対象商品は、5月発送のA to Z PROJECT関連再販品のみ(F90用ミッションパック Iタイプ木星決戦仕様を除く)で、4月発送のガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様は含まれません・・ておい!

 ジオン仕様にはミッションパック付けられないから、それらをディスプレイするためのハンガーは要らないでしょ。という理屈なんでしょうか?

 いやまぁ、そうだけれども。

 でもなんですか? これまで新製品が来る都度購入していたファンにも、むしろそのハンガーが欲しいはずのファンにも、もう一回同じモノを買えと?

 それはさすがに酷いんじゃないでしょうかね。

 確かに、在庫を捌くためになんらかの特典品を付けるというキャンペーンは過去に何度となく行われてきました。

 しかし、たいていは新製品も対象になっていたはずです。

 そもそもプレバンの販売方法からしておかしいということは今さら言うことでもないんですが、仮に在庫が残っているのならいつでも替えるようにし、予約新製品とも同梱発送できるようにしてほしいものです。

 A to Z PROJECT関連のキットはこれまでも度々再販されていますが、はたしてその都度再生産されてるのでしょうか? けっこう在庫は残っているんじゃないか? いろいろ勘繰ってしまいます。

 正直なところ、A to Z PROJECTの売り上げは決して芳しいものではないと思うのです。普通に一時受注が楽々通りますからね。

 順調なら今回みたいな姑息なキャンペーンは行わないでしょう。

 あ・・急に不安になってきたなぁ。

 ここまで来たなら、きっとコンプリートはしてくれるとは思うけれども、またペースが鈍化するんじゃないかとか。

 すみませんね。

 またキットそのものの出来とは別のところでモヤモヤする感じになってしまった。

 早く新規ミッションパックセットでも発表して、この不安を払拭してほしい。

 あとハンガーの単体販売してください。それで水に流すから。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

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