MG ガンダムF90 Fタイプ & Mタイプ レビュー

 今回のレビューは、1/100スケール マスターグレードモデル より、
“MG ガンダムF90用ミッションパック Fタイプ & Mタイプ” です。


 “機動戦士ガンダムF90” に始まる “フォーミュラ計画” の全貌を紐解く “A to Z PROJECT” 。
 その第2弾として、ガンダムF90用のミッションパック、 
“F(FIGHT:ファイト)タイプ” と、
“M(MARINE:マリン)タイプ” 、
がセットで発売されました。


 F90本体とE & Sパックのセットの発売が8月でしたから、実に3ヶ月ぶり。

 このペースだと26種のミッションパックすべてが揃うのに3年かかることになりますが、いまだに第3弾の情報はなく、早くもスケジュールに乱れが生じている模様。

 というか、これもう打ち切りほぼ確定じゃないですか?

 そもそもF90にどれだけの需要があるんだ、という話ですよ。

 でも、そのへんちゃんもと解ったうえで、あえて挑んだんだと思っていたんですけどね。

 相応の覚悟を持って企画し、上もそれを了承したからには中途半端で終わることはないと信じたいですが・・

 僕自身、F90にそれほど思い入れがあるわけではないのですが、この、ある意味暴挙ともいえる試みを支持することが、今後のガンプラの趨勢に大きく関わってくると思えたので、喩え時間がかかろうとも最後まで併走するつもりでいます。

 バンスピ側も、そういったユーザーの思いをしっかりと受け止め、責任を果たしてもらいたいものです。


 初っ端から厳しいことを言いましたが、気を取り直してレビューに移りたいと思います。

 今回はF & Mタイプのミッションパック及びその装着形態のみのレビューとなります。

 F90本体、そしてミッションパックセット第1弾(E & Sタイプ)については以下より過去レビューをご参照ください。

 ではいきます。

 キットは素組みに最低限の墨入れ、一部塗装と付属のシール、水転写式デカールでの仕上げです。


F(ファイト)タイプ

 まずは前回同様、各パックのオプション装備一式とF90本体、そして取り付けに使用する各部ハードポイントのカバーを外して並べた状態で。

 Fタイプのオプションは3種5つと非常に少ないです。

 使用するハードポイントは前腕、腰部サイドアーマー、バックパック中央のみ。専用の手持ち武装もありません。


 換装完了。

 今回の新規デザイン枠ですが、先にも言ったようにオプションは少なめで若干寂しい感じです。

 格闘戦仕様ということで、近接用の武装の追加と運動性や機動性の向上を主眼にシンプルにまとめられています。

 というか、オプションのボリュームもなく、カラーもホワイトメインということで、素体状態のF90からほとんど印象が変わりません・・

 カラーリングもシンプルなため色分けはほぼパーツ分割で再現されています。普段は無視されてそうなビームスパイク発生口の内側まで色分け。Fユニットで使用するシールはありません。

 増加スラスター兼サブアーム側面のマーキングは水転写式デカールです。

 



武装・ギミック

腕部格闘装備

 のちのクロスボーンガンダムのブランドマーカーに通じる構造の超接近戦用のビーム格闘武装。まぁ、完全な後付けデザインでしょうが・・

 あと、ちゃんとそれらしい名前付けて。

 普段は前腕側面にたたまれている装置を前方に展開し、グリップで保持。3ヶ所ある発生口からスパイク状のビームを生成した状態で標的を殴りつける、メリケンサックのような武器ですね。

 こちらが展開状態。保持にはサーベル用持ち手を使用します。

 ビームエフェクトは一体成型になっており、実は取り付け方向も決まっているので注意です。


サブアーム

 増加スラスターと一体化している簡易型のアームユニット。いわゆる隠し腕ですね。

 隠し腕としては定番の下半身に装備されることでトリッキーな攻撃が可能になっている・・はずなんですが、詳しくは後ほど。

 拳で真っ向勝負と思いきや、実は姑息という・・

 こちらが展開状態。基部で回転可能。肘にあたる部分は二重関節で深く曲げることができます。

 先端のマニピュレーターもボールジョイントでぐりぐり動き、F90本体が装備するビームサーベルを持たせられます。

 サーベルのほかにも、おおよそ3㎜径のものなら持たせることが可能。つまりライフルなどは持てません。


バックパック

 本体のバックパックの上から被せるタイプ。

 本体のメインスラスターの推力を変える偏向版のほかは補助スラスターがあるのみ。偏向版は多少可動します。

 中央のバツの字モールドの入った白いパーツを外すとまたハードポイントがあるので、別のパックの装備をこの上からさらに追加することもできます。


M(マリン)タイプ

 こちらもまずはすべてのパーツを並べた状態で。

 Fタイプの仇をとるかのような大ボリュームになっています。

 使用するハードポイントは肩、前腕、腰部フロントアーマー、サイドアーマー、脛側面。バックパックは丸々交換と、リアアーマーのウエポンラッチを除くすべての位置にオプションを装着します。

 今回の既存デザイン枠。

 既にビジュアルが判明しているぶんでも、まずは旧シリーズでもキット化されていたAタイプやDタイプが来るのかと思いきや、まさかの水中戦仕様が初のキット化。

 つまり、今回のセットは2タイプともに初キット化ということで、以降の展開に大いに期待が持たれたわけですが・・


 オプション装備のメインカラーであるオレンジが、なんとなく深海作業艇を彷彿とさせますが、あくまで水中でも問題なく使える推進装置と武装を積んだだけで本体はそのままですから深海で運用できるほどの耐圧性は獲得できていないはず。

 というか、わざわざ深海でMSを使う必要もないでしょうし、そもそもUC110年代に水中戦をやる状況があるのか? という話なので、かなり実験的意味合いの強い装備といえるでしょうね。

 キットとしては、水中用らしい各部ディティールをしっかり再現。色分けも、けっこう細かいところまでパーツ分割で頑張っている印象です。ただ、サーチライトにはクリアパーツは使われず、ほかのブルーの部分もシールでの補完になっています。

 今回は、シュノーケルカメラ以外はガンダムマーカーメタブルーで塗装しています。


武装・ギミック

6連装アローシューター

 小型の弾頭を撃ち出す水中用の銃。

 先端の弾倉部は取り外し可能で、腰部右サイドアーマーには専用アタッチメントで予備の弾倉をマウントできます。

 センサーはシールです。

 弾頭の先端をブルーで塗るのを忘れてました・・


3連装マリンロケットパック

 前腕に装備する3連装の魚雷ポッド。

 後部のダクト部などは色分けされていますが、肝心の弾頭は外枠のオレンジのパーツと一体成型で色分けはもちろん取り外しも不可能。今回はイメージ通りグレーと赤で塗り分けています。

 前腕への取り付け方向は固定です。



ホーミング・ピドー

 左右の脛側面に2発ずつ、計4初装備する大型の魚雷。

 補助マリンジェットも兼ねるパイロンは取り付け位置で回転が可能です。

 そしてこちらは取り外し可能。

 浅めのスリットに引っかけるようなかたちなので、取り外したときの見栄えも悪くありません。

 ただ、Sタイプのクルージングミサイル同様、発射状態でデスプレイするためのフォローはとくにありません。

 黒いラインはシールです。


ヒートコンバットナイフ

 水中ではビームサーベルが使えないので、その代替用の近接武装・・ですが、ヒート系も水中では使いにくいんじゃないかなぁ?

 保持には今回付属する専用の持ち手を使用しますが、これが左手用しかない・・本体付属のサーベル持ち手でも持てないことはないですが。

 非使用時には、これも専用のアタッチメントで腰部左サイドアーマーにマウントできます。


サーチライト

 取り付け位置で回転。さらにライト本体も多少仰俯角がとれるようになっています。

 どうせFタイプのビームエフェクトでクリアパーツを使うんだから、ここにもクリアパーツを使ってほしかったですね。


シュノーケルカメラ

 こちらも取り付け位置で回転。
 ただし、明らかに動きそうなカメラポールの基部やレーダー(?)の向きは固定。カメラ自体はボール接続でぐりぐり動きます。

 ポールの伸縮は差し換えで再現できます。


バックパック

 水中では通常のバックパックが役に立たない、ということでそっくり交換された水中用のバックパック。

 画像では見えませんが、下部にはスクリューが2つ縦に並んでいます。
 4つあるルーバー(羽根板)はそれぞれ可動しますが、縦向きに付いている下の2枚には肉抜きがあります。

 また、各部のメタリックブルーの部分にはシールがありますが、曲面で綺麗に貼れないのですべて塗装。マーキングは水転写式デカールです。

 

比較画像

 まずはFタイプと、その装備を参考にしたのだろう(ということにしたと思われる)クロスボーンガンダムX1と。

 同じフォーミュラプロジェクトの系譜に連なる機体なので、武装以外にもちょこちょこと共通点があります。

 プロポーションは、けっこう古いキットであるX1がかなり細めですね。


 Fタイプの腕部格闘装備とX1のブランドマーカーを、それぞれ展開状態で。

  展開機構はまったく一緒ですが、ブランドマーカーのほうがビーム発生口が4ヶ所になり、かつ一点に収束するかたちになっている部分に技術の進歩を感じます。

 しかし一方でブランドマーカーにはグリップがなく、そのせいでなんとなく不安定な印象があります。

 まぁなんにせよ、Fタイプのほうにちゃんとした名前付けてあげて!


 次にMタイプ。同じガンダムタイプで水中用ということで、スケールは違いますがHGの水中用ガンダムと。

 年代がかなり離れていることもありますが、同じ水中用でも装備の形状や配置はけっこう違いますね。

 やっぱりFタイプのほうが深海的なイメージが強いです。

 でも、オレンジがポイントなのは同じなんだな。


以下、画像

 まずはFタイプで。

 とくに干渉するものがないので、F90本体の可動性能を損なうことはありません。

 腕部格闘武装を展開したファイティングポーズでは、前腕にもある回転軸が非常にいい仕事をします。

 腕部格闘武装とともにFタイプの要となる(というかその2つしか装備ないけど)サブアームですが、サブアーム自体の装備位置はいいとして、ビームサーベルのマウント位置が通常のバックパックのままというのはいただけない。

 サブアーム=隠し腕の真価はまさに奇襲にあるわけで、接近戦で敵がこちらの上半身に注意を向けているときに、死角となる下半身から一呼吸で斬り上げるからこそ有効だと思うのです。

 ジ・オを例に挙げれば非常に解り易いですが、あの機体は左右の腰サイドアーマーに2本ずつ、4本のサーベルをマウントしています。今まさに敵と鍔迫り合いをしているときに、フロントアーマーの隠し腕を展開してサイドアーマーから予備のサーベルを抜いて攻撃するという奇襲戦法は劇中でも印象的でした。

 しかしこのF90Fタイプのサブアームでサーベルを使うためには、バックパックからサーベルを抜かなくてはなりません。しかも、増加スラスターと一体になっているため、背中越しに抜くようなことはできず、必ず前から抜くしかありません。まさに画像のように。敵と肉薄している状態では、そもそも不可能です。つまりこのサブアームは奇襲には使えない、ということです。

 スラスター内部に追加のサーベルをマウントしていれば、なんの問題もなかったのに・・

 ちなみに、キットではサブアームをめいっぱい伸ばしてもバックパックのサーベルには届きません。

 結果、端からこういうスタイルで戦うのがベターだと思われます(笑)。


 続いてMタイプで。

 こちらもとくに干渉する要素はないので、動かしていてストレスを感じるようなことはほとんどなかったです。

 ただ、アローシューターのサブグリップが固定なので、両手持ちが若干窮屈ではありました。

 あと、ナイフの持ち手も左しか付かないのは少し残念。細かいことですけどね。

 ホーミング・ピドー発射。

 マウント時と同じく、スリット部分に引っかけるようにすればクリップタイプのアタッチメントも使いやすいです。


 オプション全盛り・・とはいけませんでしたが、今回はほとんどのパーツを一度に取り付けることができました。

 サブアームに3連マリンロケットを持たせられたのがよかった。
 付けられなかったのはFタイプのバックパックとMタイプのナイフ、アローシューターの予備弾倉(それぞれのマウント用アタッチメント)だけです。

 サブアームを追加したことで、Mタイプ単体時よりもさらに深海作業艇っぽくなりましたね。


 以上、“MG ガンダムF90用ミッションパック Fタイプ & Mタイプ” でした。


 まぁ、MGとはいえオプションパーツのみですし、色分けは前回のEタイプ & Sタイプよりは頑張ってる印象(それでもシール頼みの部分はむしろ増えてましたが)ですが、本来あるべきギミックの省略などは相変わらずで、以降の先行きが不明瞭ということもあってどうにも気持ちがすっきりしません。

 基本的に3㎜軸での接続ということもあるので、最悪他メーカーのキットとのミキシング素材としては2000円でこの内容はそこそこ価値がある、という気もしますが・・そんなことにはしたくないので、どうかお願いします、としか言えませんね(笑)。

 

 今回は最初にけっこういろいろ言っちゃったので、こんなところで終了ですね。

 またのご訪問を。

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