HGUC ガンダム6号機[マドロック] レビュー

 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、

“HGUC ガンダム6号機[マドロック]” です。


 PS2用ゲーム、“ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079” より、

“RX-78-6(RX-78-G6) ガンダム6号機[マドロック]” が、

プレバン受注限定品としてハイグレードユニバーサルセンチュリーで初キット化となりました。 


 主に1年戦争のサイドストーリーを描くゲーム作品で活躍する機会の多い4号機以下の、いわゆるセカンドロットのガンダムたち。

 その初出はMSVでの文字設定のみで、一様にジム開発の母体とされたのち、様々に改修されて運用されたらしい・・というものでした。

 その後、 “M-MVS” という雑誌企画で大河原邦男氏によりデザインが起こされ、さらに時を経てそれぞれがゲームに登場するにあたり、ほかのデザイナーの手によってリファインされていったという経緯があります。

 今回の主役である6号機も、先に言ったジオニックフロントへの出演の際に片桐圭一郎氏によってリファイン。以降、その姿、設定が定着して現在に至ります。

 ゲームはジオン軍視点で描かれるため、敵である地球連邦軍にあって、ボスキャラとして登場する6号機は意識して悪役っぽいデザインにされたそうです。SEEDのカラミティ、レイダー、フォビドゥンみたいなものですね。まぁ、あちらほどあからさまではないですが。

 マドロックという愛称もこのとき付けられたとか。

 僕個人はもちろん6号機、マドロックの存在は知っていましたが、ジオニックフロントもプレイしたことがないので、そのへんの事情はほとんど知りませんでした。

 なんとなく、妙に人気があるなぁ、と思っていたくらいです(笑)。


 それでは、レビューしていきます。

 キットは素組みに最低限の墨入れ、付属シールでの仕上げです。


未完成形態

 キットは、初登場時の未完成形態とのちに改修された完成形態とを選んで組み立てることができます。
 もっとも、肩アーマーとふくらはぎの外装(及び増加スラスター)を交換するだけなので、簡単に換装することができます。

 プレバン限定のHGでは、ウーンドウォート、MSD版ヘビーガンダム以来の完全新規金型になりますか。

 一年戦争期のガンダム系MSということで、陸戦型ガンダム系のフレームパーツを流用してくるかも・・と思いましたが、そもそも出自が全然違うので流用のしようがありませんよね。

 ランナー構成を見る限り、のちのち4号機や5号機に流用できそうもないですし、とくにバリエ展開は考えられていないのかも。こいつの色違いとかっていましたっけ?

 こちらは、ジオン軍のジャブロー侵攻に際し、パイロットのエイガー少尉(ファミリーネームがないところに当時のゲーム作品の敵役に対する扱いの適当さを感じる・・)の独断で実戦投入されたときの状態。

 冷却システムが不完全だったこともあり、ジオンの特殊部隊 “闇夜のフェンリル隊” の前に敗北しています。

 両肩にキャノン砲と担ぐという、ガンダムでは珍しいシルエットの機体ですが、コンセプトとしてはとくに中距離支援を目的とはしておらず、主武装であるビームライフルを撃ち尽くしたあとの火力不足を補うために固定武装を追加した火力強化仕様ということのようです。

 基本的なプロポーションはガンダム系らしくすっきりとスマートですが、バックパックのみ、キャノン砲の使用を前提とした大型のものになっています。

 マスクには、いわゆるへの字スリットがありませんが、それが悪役らしい顔付きにした、ということなのでしょう。

 また、ツインアイのシールには画像の緑のもののほか、赤も付属。あまり深く考えず緑を貼ってしまいましたが、ジオニックフロントでは赤い目をしていたもよう。それも、わかりやすく悪役に見せるための一種の記号でしょうね。UCに登場したグスタフ・カールやZプラスの目が赤くされていたのと同じです。

 一方で機体カラーでは伝統のトリコロールから赤のみ削除。スリッパが黄色いガンダムって、かなり珍しい気がします。


完成形態

 肩アーマーをスラスター装備の大型のものに交換し、ふくらはぎにもオプションタイプの可動式スラスターを追加した完成形態。もちろん冷却システムの不具合も直っているはず。
 でも、結局負けてしまうんですが(だって悪役だし)。

 それでは、あらためてキットそのものに関して感じたことを。

 ジオニックフロントでの設定画では若干野暮ったかった印象ですが、今回のキット化にあたっては最新フォーマットに準じた今どきのプロポーションに調整されています。しかし、極端な小顔脚長ということはなく、一年戦争期のMSとしては絶妙なラインだと個人的には思います。

 ただ、キャノン砲の砲身がちょっと長いかなぁ。

 色分けはほぼ完璧。完成形態での肩アーマーや増加スラスターなども細かいところまでパーツ分割で再現されています。シール頼みなのは、ツインアイやセンサーを除くと腰のV字くらい。というか、逆にここまでやるならV字も分割できるだろ、と思いましたけどね(笑)。

 アレックスを思い出す6と書かれた逆三角形のマーキングや連邦章はテトロンシールです。

 

武装・ギミック

ビームライフル

 専用のものなのか、あまり見ないタイプのライフルです。

 ジャケットの形状は若干MK-Ⅱのものに似ていなくもないですが、たぶん関係ないでしょう。

 グリップ手前の両側にあるものはエネルギーパックなんでしょうか? 取り外しはできませんが。

 保持には銃持ち手を使用。いつものことですが、右手のぶんしか付属しません。


300㎜キャノン砲

 ビームライフル使用後の火力付属を補う目的で装備された固定武装。

 ビームキャノンとされる場合もあるようですが、今回はたぶん実体式のキャノン砲という設定。

 ガンキャノンのキャノン砲が240㎜なので、単純に考えてそれ以上の威力があるはず。

 ガンキャノンと違って本体の肩から直接生えているわけではなく、おそらくは給弾システムも備えたバックパックを含めた外付けタイプになっています。

 キャノン砲の可動は仰俯角の変更のみで、左右に拡げたりはできません。

 砲身の上部、水平位置にはビームサーベルをマウントしています。


ビームサーベル

 マウント位置は特徴的ですが、デバイス自体は一般的なものと変わりないと思います。

 サーベル刃もいつもの汎用パーツ。

 保持には汎用の持ち手を使います。


シールド

 一年戦争後期の地球連邦軍の標準装備。ジムコマンドやジムカスタムなどでお馴染みのシールドです。

 今回のものは上部の2個の丸一モールドも白いのでそこは一体成型になっています。

 前腕への装着にはL字のアタッチメントを使用。シールドへの接続はボールジョイントになっています。もっとも、肘関節と前腕の間に回転軸があるため、L字である意味はあまりないような・・


脚部増加スラスター


 完成形態で装備された可動式のスラスター。

 3㎜軸での取り付けで、取り付け位置で前後に可動します。

 内部フィンも色分けされていますが、裏側はこれ、グレーかなんかで塗るべきでしたかね・・


比較画像

 結構前に発売された、HGUC フルアーマーガンダム7号機と。

 フルアーマーガンダム7号機は、PS3用ゲーム、“ガンダム戦記” に登場する主人公機で、画像のHGUC版キットもゲームと同時に発売されたものです。つまり10年前のキット。

 さすがに細かい色分けや可動は最新のキットには敵いませんが、造形やプロポーションは今も見劣りしません。

 ただ、あくまでフルアーマー形態でのキットということで通常形態への換装はオミットされています。

 今回の6号機と違ってプレイヤーサイドの機体なので、カラーリング含め正統派ガンダムといった印象です。まぁ、フルアーマー装備に関してはあまり1年戦争らしくはないですが・・

 同じセカンドロットの機体ということで、どこかしらに共通点があるかと思いましたが、ありませんでした。肘や膝の関節の形状くらい同じなら、兄弟機という説得力もあるんですけどねぇ。


以下、画像

 まずは未完成形態で。

 肘と膝は二重関節。肩関節はポリパーツが剥き出しのタイプで、前方にのみ多少引き出し可能。股関節はHGでは定番の横向きのスイング。腹部はボールジョイント接続ですが、捻りや前後の可動は気持ち程度と、可動性能はここ数年のHGの平均水準です。

 最近そういうキットによく出会うんですが、この6号機にも肘関節緒前腕の間に回転軸があります。

 前腕になにかしら武装を装備している機体に多い感じですね。ガトリング砲を装備してるアレックスとか。

 この6号機はグレネードランチャーを装備しているのですが、残念ながらそちらの開閉ギミックまでは再現されていません。

 立て膝も一応可能。

 こういう機体にこそオリジンのジム(ガンダム)系に実装されている不自然なほどの腰部可動を組み込んでほしかったかなぁ。


 完成形態で。

 シンプルで、どこかあどけないイメージもあった未完成形態から、グッと精悍さが増した印象の完成形態。

 肩ーマーがごつくなって、色も胸部と同じダークブルーになったことで上半身が引き締まったように思えます。

 なんだろう? やっぱり背中にこれでけ大きなキャノン砲を背負ってると、ビームサーベルを持たせてもイマイチしっくりきませんね。

 さらに似合わない二刀流で。

 こうなるともはやキャノン砲はデットウエイトですね(笑)。パージはできないのかな。


 以上、“HGUC ガンダム6号機[マドロック]” でした。


 主にゲームで活躍する機会の多いセカンドロットのガンダムたちですが、これでいまだ正式なデザインが発表されていない8号機を除いてすべてがキット化されたことになります。

 4号機、5号機は2003年にMGで。7号機は・・先にも紹介したようにフルアーマー形態だけではありますが2009年にHGUCと、それぞれ登場するゲームの発売とほぼ同時に発売されています。

 6号機だけが、ゲームの発売から実に18年もかかってようやく、それも一般販売ではなくプレバン限定での発売となってしまったのはなぜなんでしょう? やっぱり悪役だったからなのかなぁ。

 でも、人気はむしろ4、5、7号機よりもこの6号機のほうがあると思うんですけどね。まぁ、いろいろ事情があるんでしょうが。

 なににしても、18年待たされた甲斐があったか? というと微妙なキットでしたね。

 出来はいいんですよ。いいんですけど、ただそれだけというか・・6号機ならではの要素って、実はとくにないですからね。

 そういう意味では、そもそも4、5、7号機は立体化に向いていたということなんでしょうね。


 さて、ゲーム登場機体関連では、来年の春にやはりプレバンでまた大量投下があります。すべて既存キットのリカラー、一部パーツ追加といった程度のものですが、今回の6号機、それにピクシーやイフリートなどの人気機体がすべからくプレバン限定になっていく状況を思うと、少なくとも今後HGでは、1年戦争関連の機体が一般販売になることはないかもしれませんね。

 アニメ登場機はもうほぼ出尽くしてますし、ネタがゲームやコミックなどに限られてくると、それも仕方ないかとは思います。

 最後の希望はHGUC ザメルだな・・(笑)

 いや実際、ペーネロペーがどれほど売れているのかわかりませんが、劇場版閃ハサ公開前に発売されたアレを買う人間は、きっとザメルも買うと思うんだよなぁ。


 といったところで、今回は終了。


 またのご訪問を。

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