今回のレビューは、1/100スケール マスターグレードモデル より、
“MG ガンダム NT-1 Ver.2.0” です。
“機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争” より、
地球連邦軍初のニュータイプ専用モビルスーツとして開発された
“RX-78 NT-1 ガンダム NT-1〝アレックス〟” が、
マスターグレードのVer.2.0モデルで発売されました。
発売は6月だったんですが、なんやかんやで買い逃してしまい、今になってしまいました。
昨年のF91に続くVer.2.0モデルとなりますが、あちらの旧版の発売が2006年になるので12年振りだったのに対し、今回のアレックスの旧版は1999年発売。実に20年振りのリニューアルとなります。
OVAの発表が1989年なので、今年は30周年のメモリアルイヤーということですね(そう思うと旧版も10周年での発売だったわけだ)。
これまで1/100スケールではキット化されていなかったザクⅡ改のREでの発売も併せ、MG & REのカップリング発売という格好ではHiνガンダム Ver.Kaとナイチンゲール、百式 Ver.2.0とディジェ、ZZガンダム Ver.Kaとハンマ・ハンマ、ガンダムF91 Ver.2.0とビギナ・ギナに続く5カップルめとなります。
(この流れだと、MG側は必ずVer.KaかVer.2.0なんですね。となると、来年2月のFAZZ Ver.Kaに併せて3月にREでガンダムMk-Ⅴとか・・さすがにないか)
レビューの前に、アレックスについてちょこっと整理しておきます。
アムロ専用機とするべく開発された地球連邦軍初のニュータイプ専用MS。
しかし、サイコミュ兵器などは搭載されず、あくまで機体そのものの反応速度などを高めただけで、仕様としては極めてオーソドックスなものに仕上がっています。
これは、一年戦争当時の連邦軍がニュータイプについて常人より多少動体視力や反応速度が高い、くらいにしか認識していなかったため。
結果、NT-1とは名ばかりの基本性能が高いだけの普通のMSになってしまっています。
もちろん操縦系にも特殊なものは採用されず、それはテストパイロットだったクリス(一般人=オールドタイプ)が問題なく操縦できたことからもわかります。
最終的に本機はアムロの下に送られる前にザクⅡ改との戦闘で大破に近い損傷を受けてしまったため、実際にニュータイプが搭乗したときの性能はわからず終いですが、まぁ少なくとも78-2よりは高性能のはずですし、ひょっとしたらジオングとも相打ちにならずに済んでいたかもしれませんね。
なお、通称の “アレックス” は開発段階のコードネームで、RXのもじりだとか、装甲積層試験(英語のスペルは各自調べてください)の略とかいう設定がありますが、機体の正式名称はあくまで “ガンダムNT-1”。
なので、今回の商品名にも “アレックス” の表記はありません。
それでは、レビューしていきます。
キットは素組みに最低限の墨入れ、付属シールでの仕上げです。
今回、Ver.2.0ということでは極端なアレンジはなく、あくまでもオリジナルデザインのブラッシュアップという感じでプロポーションを修正、程よくディティールを加えた理想的なリメイクだと思います。F91のときとおおよその方向性は同じですね。
デザインに目を向けると、どちらかというと人体に近い細身のシルエットだった78-2に較べて工業製品的な雰囲気がかなり強まった感があります。
これは0080に登場したほかのMSにも共通している部分で、もちろんデザイナーが違うこともあるんですが、作品の路線がそういう方向に向いたということでしょう。
色分けでは、特徴的な各部バーニア(ほとんどが同一形状)の内部を含め、パーツ分割にてほぼ完璧(バーニア内部の黒だけは塗る必要あり)に再現。
バックパックのメインスラスター外側はシルバーメッキ・・となっていますが、これはメッキなのかな? 塗装じゃないのだろうか?
ホイルシールでの再現はツインアイのみで、そのツインアイもクリアグリーン成型になっているので、隈取りを黒く塗ってクリアパーツを活かすのも手です。
各部のマーキングはテトロンシールでの再現ですが、ここは水転写式デカールがよかったという声も多いんだろうな。両方を付けて欲しい・・というのは欲張りですね。
武装・ギミック
ビームサーベル
初代から受け継ぐ伝統の武装・・というほどの歴史もこの時点ではまだないですが(笑)。
バックパックに2本をマウント。
ビーム刃はいつもの汎用パーツです。
保持には汎用の持ち手を使用しますが、そのまま通すだけでとく固定はできせん。しかししっかりフィットし、すっぽ抜けるようなことはありません。
なお、ハンドパーツは親指以外の4指を差し替える方式で、画像の汎用持ち手のほか銃持ち手、握り手、平手がそれぞれ左右分付属します。
腕部90㎜ガトリング砲
前腕側面に内蔵された大口径のガトリング砲。
一斉射でケンプファーを蜂の巣にしたインパクトは絶大で、アレックスといえばこのガトリング砲というイメージですが、本来は専用の固定武装ではなく、アムロに引き渡される際は取り外される予定だったとか。
キットでは差し換えなしでの展開を再現。カバーパーツのスライドに加えて、前腕装甲も若干開くようになっていますが、けっこうギリギリだなぁ、これ。
ガトリング砲自体はメインスラスターと同じメッキ処理が施されています。
ビームライフル
78-2のものと較べて随分とリアリティを意識したデザインに変更された感があります。
ガンダムといえば・・のメイン武装ですが、劇中では使用されず。
センサーはクリアパーツ(シールはなし)。
マガジンは取り外し可能ですが、それ以外にギミックはなし。ジャケットの着脱くらいはあってもよかった気がします。
シールド
これまた78-2や同時代の連邦系の標準型とはかなり形状の違うものになっています。強いて言うならMk-Ⅱのシールドに少し似てるかなぁ。
表面の “ALEX” のマーキングも印象的ですが、こちらも劇中未登場。
前腕のガトリング砲のカバーパーツにジョイントするかたちで取り付け。一応グリップもありますが、保持の役には立っていません。
今回は新解釈のギミックとして、シールド装備時にも腕部ガトリング砲が使用できるようにと、表面の青い部分が展開するようになっています。
でも、一番強度が必要だろう部分がこんな風に動いても問題はないんだろうか?
なお、この状態でグリップを握ることはできません。
バズーカ
こちらも劇中未登場の武装ですが、ライフルやシールドが過去の大半のキットに標準で付属していたのに対し,これはおそらく今回が初のキット化ではないでしょうか。
僕はこんなバズーカの存在すら知りませんでしたよ・・
形状はライフルやシールドと違って78-2のハイパーバズーカにかなり近く、スコープが追加されたくらい。
一部にMG ガンダム Ver.2.0のパーツを流用していますが、ごくわずかのパーツを使うためだけにランナーほぼ1枚が入っているので、そこそこの数のパーツが余剰になります。しかもさして使いようのないパーツばかり・・これくらい新規で起こせなかったのかなぁ?
グリップが可動するので肩に担ぐようなポーズも可能。ライフルと違ってグリップにはハンドパーツに固定するためのダボ穴が空いていますが、ちょっと浅め。
センサーはクリアパーツです。
砲身側面に収納式のジョイントがあり、非使用時にはこれを使って腰部リアアーマーにマウントすることができます。ちなみにライフルとシールドにはそういった機能はありません。
コクピットハッチは二段階で開閉可能。
内部にはパイロットスーツのクリスが座っています。脚しか見えませんが(笑)。
MGではお約束のギミックですが、旧サイトからこの部分にはあまり触れてきませんでした。個人的にほぼ必要性を感じていないこともあり、ついつい忘れてしまってたんですね。
今回忘れずに紹介できたのは、搭乗姿勢のクリス以外に私服姿のバーニィとアルのフィギュアも付属していたから。
それがこちら。白色成型の未塗装なので、少しでもディティールがはっきり見えるよう、画質を調整しております。
なんか、ビデオのパッケージだったかイメージイラストかなにかで二人がこんなポーズをしてたような・・もっとも、そのときバー二ィはなにかに腰を下ろしていたはずで、こんなふうに空気椅子状態ではなかったはずだけど(笑)。
ちなみに、それぞれのフィギュアは台座を除いて中腰姿勢のバーニィが約1.5㎝、アルが1.2㎝あります。これが1/100ということなら、確か11歳のアルの身長が120㎝というのは少し小さいような気がしますが、バーニィはこれ立ち上がったら2m超すんじゃないかなぁ。
立ち姿のフィギュアはあくまでイメージサイズということなんでしょうが・・
特徴的な肩間接のシーリングはPE製の極薄カバーで再現。
バズーカの筒に通した状態で上下から潰すようにして皺を作るという工程は、最近だとなかなかないですよね。
そうしたうえでフレームパーツを通すわけですが、上腕側は装甲の隙間に入れ込むことである程度固定できるものの、肩の付け根側はただ被せておくだけなので固定もできず、シーリングのはずが隙間が空いてるような微妙な見ためになりがちです。ここは肩ーマーの接続パーツで挟み込めるような構造にしておいてほしかったですね。
また、本来真っ直ぐのカバーパーツをフレームに沿ってL字に曲げて被せる関係上、どうしても常に緩くテンションがかかるのでしょう、動かしているうちに付け根から腕部が抜けるということがけっこうありました。
これも、付け根側でカバーパーツを固定できていたなら防げたのでは、と思います。
ケンプファー戦で折れた頭部アンテナも付属します。
こういった細かいシチュエーション再現までフォローしてくれるのはありがたいところですが、中央の青いパーツは1つしか付属しないので、差し換えのときは紛失に十分注意が必要です。
チョバムアーマー
フルアーマーオペレーションの一環で開発された複合装甲。
積層構造になっており、攻撃を受けた際に装甲板が破壊されることで衝撃を逃がし、本来へのダメージを回避するという発想の装備になります。
腕部ガトリング眼同様、アレックスの専用装備ということではなく、偽装の意味も含めて試験的に着せられていたようで、アムロに引き渡す前にガトリング砲とともに取り外される予定だったそう。
ケンプファーの急襲に際してはチェーンマインの攻撃に対して本来の性能を発揮、その結果本体は無傷で攻撃をいなして見事返り討ちに成功しています。
キットでは設定にある積層構造をイメージさせる内部フレームが再現されています。今回のVer.2.0のキモとなる部分ですね。
取り付けは、腰フロントアーマーの表面パネルを下方にスライド、バックパックのサーベルホルダー基部を少し上方に引き上げる以外はそのまま本体に被せていくようなかたちになります。
成型色はシルバーですが、格子状のパーツが多いためウェルドラインはあまり気になりません。
さらに表面装甲を重ねて偽装完了。
スタンダードな汎用機から、見るからに鈍重そうな重装甲機に変貌しました。
OOのヴァーチェやセラヴィーに通じる、ガンダムにはあるまじき太ましさ。
一応、腰部リアアーマーにスラスターが増設されているので機動性は落ちていない・・らしいですが、どう考えても運動性はガタ落ちでしょうね。
まぁ、あくまで偽装を兼ねた試験ですからね。そういう意味ではチョバムアーマー自体の有効性はケンプファー戦でしっかり実証できたわけです。
でも、ここまでやっておきながらなんで頭にはなにも被せなかったんですね? 偽装の兼ねてるならむしろ顔は一番隠さなきゃいけないところだと思うんですが・・
ただ、膝アーマー下のハッチですが、これは下方にスライドするようになっているんですが、一度下げるとそのまま元に戻すのはほぼ不可能です。
一旦バラして戻すしかないかなぁ。
新解釈ギミックその2。
アーマー装着状態でも腕部がカトリング砲が使用可能なよう、アーマーも本体の前腕カバーの展開に対応した分割がされています。
うーん、アレックス専用装備じゃないはずなんだが・・それにこれができちゃうとケンプファー戦の展開が変わってくると思うんだけど。
もちろんアーマー装着状態でもコクピットハッチは展開可能。
ただし、ハッチブロックそのものを前方に開くことはできません。
さらに、ボーナスパーツとしてBB戦士 アレックスに付属したオリジナルのヘッドギアが付属します。
僕のようなSDガンダムおよびBB戦士どんぴしゃの世代には嬉しいオマケ。と同時にさっき気になってた頭部の偽装問題もクリア。
オマケだからといって手抜きはなく、左右のグレネイドやミサイルもしっかり色分けされています。
なお、本体の外装を外し、ほぼフレームのみの状態にしたものがこちら。
MGですらしばしば内部構造が省略される昨今にあって、けっこうがんばっているほうかと。
ただ、基本的に説明書の通り組むとこのようにはなりません。
また、完成させるときも胸部や腕部はもちろん、腰中央ブロックのバーニアなども一旦外す必要があります(真ん中のバーニア付けるの忘れてた)。
比較画像
旧版と。まずは本体のみで。
プロポーションの違いは一目瞭然ですが、全体の雰囲気はそれほど大きく変わっていません。まさに正統進化という感じ。
一方で成型色の色味はけっこう変わっていて、今回のVer.2.0では全体にツヤを抑えたうえで明るくなり、爽やかかつ落ち着いた印象になったと思います。
チョバムアーマー装着状態で。
Ver.2.0では内部の積層フレームの制限もあり、旧版に較べてボリュームが格段にアップしています。
というか、あらためて見ると旧版のアーマーはかなり貧相ですね。実際、パーツ1枚を重ねているだけで設定になる積層構造は一切再現されていないわけで、これじゃあ本体へのダメージ緩和なんてできそうもないです。
色味もまた大きく変わっていて、こちらは本体とは逆にVer.2.0のほうが青みが増した暗い色に変更されています。
ちなみに、今回のVer.2.0の価格は旧版のちょうど2倍になっています。
まさかアレックスがZZガンダム(Ver.Ka)と同額になるなんて・・
RE ザクⅡ改と。
アレックスを発売月に購入しそびれたせいで次月発売のザクⅡ改のほうを先にレビューすることになってしまいましたが・・
カップリング前提でほぼ同時に開発されているだけあってプロポーションやディティール面でのバランスは上手くとれていると思います。
少なくとも外見上はMGとREというブランド間の差というものは感じられません。
そして、ザクⅡ改もしっかり強そうに見えます。
以下、画像
MG最新作(6月時点)となりますが、どちらかというと可動よりも安定性重視なのかな? というような構造です。
というのも、ここ最近のMGでは定番だった股関節のスライド機構が採用されていません。また、腹部も引き出し関節で多少前後に動かせはするものの左右に捻ることはできず、脚部のフレームもデザイン上明らかに動くだろう脛部分が一体成型になっているなど、敢えて各部の可動に制限を持たせたような印象があります。
しかし、だからといって全然動かないというわけではなく、肩間接は前方に引き出し可能で上方に跳ね上げることもできますし、膝は曲げるのに連動して裏の装甲が沈み込んだり、足首も柔軟に動くため接地性も問題なしと、基本的なポージングは楽々可能なレベルは維持しています。
なお、腕部は肘関節と前腕の間にも回転軸があります。
また、腰部フロントアーマーの接続方法が少し変わっていて、それぞれを左右に開くように動かすことができます。
とはいえ、アナザー系ならともかくUC系、それも一年戦争期のMSにケレン味のある派手なポーズは似合いませんし、これくらいでも十分なのかなとも思います。
しかし、チョバムアーマーを纏うとさすがに動かなくなります。
肩や腹部の引き出し機構はほぼ死にますし、腕を水平に上げることも不可能。
せっかく各部ハッチの展開で全身のバーニアを活かせる雰囲気になったたのに、まったく躍動感を出せません。
まぁ、原作再現といえなくもない(笑)。
一方で下半身の可動はある程度確保されていて、旧版と違ってフロントアーマーが左右独立可動できることもあり、立て膝もなんとかできるようになっています。
なお、このときも膝裏の装甲が下方にスライドする(こちらは手動)ことで可動域が広がり、膝を深く曲げることができるようになっています。
vsケンプファー。
頭部バルカンでの迎撃虚しくチェーンマインを巻きつけられて側ゲームオーバー・・
と思いきや、アーマーパージからの腕部ガトリング砲の斉射で返り討ちに。
やられたと見せかけての逆転劇という、むしろそれがしたかったがゆえのチョバムアーマーという演出装置という気もします。まぁ、だいたいそういうものですが。
あと、アンテナはここで折れたんでしたっけか。交換忘れてた(笑)。そしてサーベルも抜いたまんまだった。
VSザクⅡ改。
ガンダムシリーズにおいて悲劇といえるシーンは数あれど、個人的にとくに印象に残っているのがこのアレックスとザクⅡ改の戦い。
お互いに最後まで誰と戦っているのか知らず・・唯一すべてを知っていたアルはこの先どういう風に生きたんだろうか?
ちなみに、僕も当時まだ小学生でした。
以上、“MG ガンダムNT-1 アレックス Ver.2.0” でした。
ポケット中の戦争の初出から30年、決して出来がよいとはいえない旧版MGの発売から20年を経て発売された今回のVer.2.0は、オリジナルのイメージと現代的なプロポーションが絶妙なバランスで完成された良リメイクになったと思います。
とにかく、非常に丁寧に作られた感があります。
F91のときは、本体の出来は文句なしな一方、付属のスタンドが汎用品と、ラフレシアを模した専用ベースが付属した旧版にもまだ価値がありましたが、今回のアレックは旧版の完全上位互換になっています。伊達に倍の価格にはなってません(笑)。
可動に制限をかけた(だろう)ことも、設定取りの積層構造も含めたチョバムアーマー装着時の安定性確保のためなのだと思います。
本体のみで超絶可動ができたとしても、そのせいでチョバムアーマー装着時に自立もままならないとなってはがっかりですし。実際これまでにそういうキットはけっこうありましたからね。
フレームパーツの主素材がABSからKPSに移行した当初はMGでも強度や保持力、安定性の不安のあるキットが多かったものですが、ここ最近は随分マシになってきた気がします。
まぁ、僕自身が極端に大型だったり複雑だったりするキットを避けている、なんてこともあるんですが、たぶんKPSパーツの精度もよくなってるんだと思います。
ただ、ときどきある妙に太いランナーはどうにかして欲しいですが(笑)。
さて、バンダイですから今後のバリエ展開はもちろん意識していることでしょうが、考えられるものとしては旧版同様のジム・カスタムとジム・クウェル、そこにトリスタンが加わるくらいでしょうか。
でもトリスタンはなぁ・・HGUC版は潸潸たるものでしたし、企画自体もはや忘れられていることでしょうから実現可能性は低いように思われます。
カスタム、クウェルは0083の30周年で、という可能性はあるかもしれませんが、どのみち全部プレバンでしょうね。
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