SG インパクター レビュー

 今回のレビューは、トランスフォーマー シージ より、
“SG-36 オートボット インパクター” です。


 オートボットの精鋭部隊、“レッカーズ” のリーダー格である
“インパクター” が、
シージにて初の一般販売、しかも完全新規型で登場しました。


 レッカーズの初出は80年代の海外コミック作品で、以降も主にコミックを中心に活躍しており、実写映画第3作のダークサイドムーンでその設定が使われるまで、日本での知名度はほとんどなかったと思います。

 かく言う僕も、全然知りませんでした。というか、今さらになってトランスフォーマーのことを実はあまり知らなかったんだということに気付いたり・・(笑)

 それはともかくレッカーズについてですが、

 構成メンバーは、のちに2010系のキャラも多数参加したりしていたようですが、初期メンバーとされるのは今回の主役でありリーダー格であるインパクターのほかは、ロードバスター、ホワール、ツインツイストにトップスピンの4名。全員、当時は版権的に日本では扱いにくいキャラですね。

 そんななかにあってもインパクターはさらに特異な存在で、そもそも基となった玩具のない、完全オリジナルキャラクターのようです。

 ここ数年では、海外のイベントなどで既存アイテムのリデコで玩具が発売されることはありましたが、始めからインパクターとして完全新規で、それも一般発売されるのは今回が初めて。

 数年前からシリーズを跨いで(日本ではすべてレジェンズ枠でしたが)初期メンバーが次々とリメイクされていましたが、そんなわけで今回、満を持してのリーダー登場となります。

 ここ数年の恒例となった次期シリーズにおける商品化ファン投票で、ミラージュ(日本名リジェ。日本では12月発売)とのコンビで選出されたわけですが、実現すれば正規ナンバリングでは初玩具化ということもあり、ある意味当然の結果だったたとは思います。トランスフォーマーたちが地球にやってくる以前の物語を描くシージの世界観にもぴったりでしたしね。

 でも、確かあの投票は2体のトランスフォーマーのVS構図だったはずで、インパクターはデセプティコンとしてエントリーしていたのですが、結局一般販売版はオートボットになってしまいましたね。

 そもそもインパクターは元ディセプティコンだったのか、それとも途中で寝返るような展開になっているのか、そのあたりはよくわからないんですが、ともあれ当初想定されていたはずのディセプティコン仕様のほうはホログラフィックモードという名目でクリアブルー成型になったミラージュとコグのリカラー頭部変更であるパワーダッシャー・アラゴンとの3体セットで海外限定発売となっています。

 そちらのインパクターは、今回のオートボット版とは頭部造形、そして一部カラーパターンが違うようですね。でも、その程度の違いならジェットファイヤーみたくエンブレムの回転ギミックを取り入れて1つで両方を再現できるようにしてほしかったかなぁ。

 ちなみに、件の投票で惜しくも敗退したのがホイルジャック VS スピニスターでしたが、スピニスターのほうはシージで、ホイルジャックも次期シリーズであるアースライズでの発売が決定しています。

 結局前部出すのかよ! なんのための投票だよ?

 思えば、2017年発売のテイタンクラスの投票ではトリプティコン(ダイナザウラー)が勝利し、その後発売されたわけですが、そのとき候補に並んでいたオメガスプリームは今年シージで、スコルポノック(メガザラック)も来年アースライズで発売されます。

 つまるところ、2020年度商品化投票でラナマックに敗れたニードルノーズも、十中八九発売が確定していると見ていいでしょう。ノウ(シャークトロン)とシャープネルは、もう十分なものがあるので再リメイクはないでしょう。


 長くなりました。

 それではレビューに移ります。前月発売のマイクロマスター、パワートレイン & ハイジャンプも、併せて紹介したいと思います。


インパクター
ロボットモード

 モヒカン頭に厳つい顔が印象的。

 おそらくは初出コミックでのデザインを忠実に再現しているのでしょうが、全体に角張った無骨なシルエットや紫をメインカラーの1つに持ってきたりと、どうにもデセプティコン臭が漂います。

 まぁ、そのへんはオートボットのなかでも好戦的で愚連隊的性格の強いレッカーズの、それもリーダー格ということことなのであえてのデザインなのかもしれません。

 でも、オートボットマークまで赤じゃなく紫(厳密にはラインだけのマークなので、色は胸部の地の色が出てしまっているだけなんですが)になっているので、やっぱりディセプティコンにしか見えない。

 ちなみに、僕個人のオーボットのイメージって、ここ最近で随分変わったんですよね。

 日本のアニメシリーズだと、オートボット(サイバトロン)はまさに正義の軍団というか、お行儀がいい印象があったんですが、実写版だと司令官のオプティマスからして口が悪いし、ほぼ無法者の集まりという感じで、むしろディセプティコンのほうが集団としての統制がとれているようでした。そのイメージをずっと引き摺ってるんだなぁ。


 話を本題に戻しましょう。

 腹部の後ろ側だったり、脛の内側にちょっと肉抜きが目立つ感じですが、そのぶんロボットモードのサイズはデラックスクラスでは大きめ。アイアンハイドと同じくらいですね。

 キャラ的に小柄では様にならないですし、仕方のない部分ではあります。

 でも、ならいっそボイジャークラスにしてくれてもよかったんだけどなぁ。

 ウェザリングは脚部側面にありますが、ロボットモードではほぼ目立たず。


ビークルモード


 サイバトロンモードの戦車にトランスフォーム。

 こちらもコミックデザイン準拠・・なんでしょうか? 

 車体前面にドーザーブレードが付いているのが、なんとも渋い。オレンジの車体とも相まって、建機っぽい雰囲気もあります。

 ロボットモードとは対照的に、車体本体の前面から側面とほぼ全面にウェザリングが目立つ感じになっています。

 ただ車体の横幅がロボットモードの身体の幅と変わらないので、ちょっとこぢんまりしてしまっている感は否めません。

 戦車に変形するオートボットなんて、パッと思いつくのはワーパスくらいかなぁ。かなり珍しい気がします。

 砲塔部分を、ロボットモードの腕部で武器パーツを挟み込むかたちで形成するパターンは同じシージ版メガトロンなどでもお馴染みの定番の仕様ですが、そんなところもまたディセプティコンっぽい。

 一方で、車体本体は脚部側面を展開してぐるりと囲むような構成になっており、わりと新鮮でした。


付属武器

 前月発売のバリケードもそうだったんですが、このインパクターでは説明書における武器名の表記が型式を除いて英語以下の4ヶ国語ではなく、サイバトロン語になっています。

 画像検索したらアルファベットの対応表が出てきた(たぶん、海外版シージの公式サイトかなにかにあるものだと思います)ので、そちらを基にまずアルファベットに変換、さらにカタカナ表記にしたのが以下の武器名となります。

 バリケードの時点で気付いてはいたんですが、そのときは翻訳まで気が回りませんでした。そのうち当該レビューでも修正追記したいと思います。

 しかし、どういうつもりでこういうことになっているのか・・このサイバトロン語表記に伴い、今回のインパクターのパッケージ裏面の内容物表記(なんか食品みたいですが)には、ほかのシージアイテムの多くが武器の正式名称まで記載されているのに対し、ただ “武器” としか書かれていません。バリケードは辛うじて型式は表記されていたんですけどね。今回はそれすらなし。

 こういう部分も含めて、日本版には一切説明がないのはどうにかしてほしいです。

 前シリーズのパワーオブザプライムから、海外版と仕様上の違いがなくなったわけですが、モノ自体やパッケージはともかくとして、説明書くらいは日本独自のものを付けて、そこにキャラクター解説くらいは載せておくべきじゃないのかなぁ。

 また、次期シリーズのアースライズの販売形態からもわかることですが、ここ最近のトランスフォーマーは日本のファンをないがしろにしていると思わざるを得ません。

 実際に開発してるのは、ほとんど日本人のはずなのに・・


HP エネルゴン マイン ブラスター

 ビークルモードでは主砲となるメインの手持ち武器。

 変形に組み込む都合もあって側面にも5㎜軸や穴があり、汎用性が高いです。


アースブレイカー キャノン

 ロボットモードの右肩に装備する、六角形の砲口が特徴的なキャノン砲。

 専用のジョイントによる接続で、縦向きに起こすことはできますが回転や仰俯角の変更はできません。

 基本的に固定装備で取り外しは想定されていませんが、実際には簡単に外すことができ、上下に空いている5㎜穴でほか武器などに取り付けることも可能です。


フック

 フックというよりはモリか、そうでなければ小型の銃のような形状ですが、後端に5㎜軸があり、右の拳を収納したところに現れる5㎜穴に取り付けることで、よりコミックのデザインに近くなるようです。

 先端が3㎜軸になっているのでバトルマスターに付属の銃撃エフェクトなども取り付けることができ、いっそうフックというよりはサイコガン的な雰囲気があります。


パワートレイン & ハイジャンプ

ロボットモード


 日本における初出は例によって “トランスフォーマーZ(ゾーン)”。ただ、アニメには未登場だったようです。

 オフロードパトロールチームから2名が選抜。

 左がパワートレイン(日本名フリード)。右がハイジャンプ(日本名ナットシェル)。両方とも完全新規です。


ビークルモード

 パワートレインがトレーラーキャブに、ハイジャンプが4WDカー(オリジナルはスズキのジムニーだったようです)にトランスフォーム。

 ちょっと並べたときのサイズ感はおかしなことになってしまいましたが、マイクロマスターでそんなことを気にしていたらキリがない(笑)。

 パワートレインでは車体上部が180回転、ハイジャンプでもロボットモードの脚部を90度曲げることで車体後部を再現するなど、今回はそれぞれ変形パターンに少し趣向を凝らしている印象です。


ウエポンモード

コンファウンダー キャノン

 せっかくビークルモードへの変形ではちょっと捻ってきたのに、こちらはまたいつもの・・

 まぁ、まだまとまりはいいほうですかね。

 ただ、重さでグリップとなるハイジャンプの5㎜軸がへたり気味。


比較画像

 レッカーズの初期メンバーたちと。まずはジャンプスターターの双子と。

 こちらは同じデラックスクラスなので、身長はあまり変わらず。頭の大きさも、双子がヘッドマスター仕様にもかかわらず引けを取りませんね。みんな舞台映えする顔だ(笑)。

 ただ、双子がわりと太ましいうえにどちらも肩に嵩張るものを備えているために、どうしてもインパクターがボリュームで負けている印象です。

 ビークルモードだと、微妙だなぁ・・

 とりあえずインパクターはこれ軽戦車ですね。

 ドルバック出身の二人と。

 ロードバスターはともかく、ホワールの異質感・・

 こちらの二人はともにボイジャークラスということもあり、ボリュームの差は歴然。

 ビークルモードでも。

 ヘリになるホワールはまだいいとして、ロードバスターが変形した装甲バギーと並ぶと、インパクターはもはや豆戦車ですね。可愛いけど。

 リーダーの威厳を示すためには、やっぱりボイジャークラスで作ってほしかったかなぁ。


以下、画像

 上半身では、肩が関節ごとよく動き、手首も変形都合で内外へスナップが利くようになっています。その代わり拳の回転はできません。

 ほか、胴体の回転軸が腰ではなく胸のすぐ下にあったり、腰を前方に90度曲げることができたりと、変形のための可動も織り交ぜることで独特のポージングが可能です。

 脚の付け根にはデラックスクラスでは珍しく、開脚方向にクリック機構があります。ただ、感覚が少々広いため微妙に邪魔(笑)。

 足首の内側へのスイング幅は狭いため、あまり大きく開脚すると接地性がイマイチに。逆に外側には大きく開く(これも変形都合)ので、画像のような意外と躍動感のあるポーズも可能だったりします。

 スタンド対応穴は定番の腰裏に。

 膝は90度ほど曲がるだけなので、立て膝はあまり上手く決まりません。

 画像は銃で支えている状態です。

 パワートレイン & ハイジャンプのウエポンモードを構えて。

 腰の可動がいい仕事してます。

 ビークルモードでは砲塔の回転が可能。主砲の仰俯角もある程度変えられます。

 レッカーズ初期メンバー勢揃い。

 こういう構図だと、インパクターのサイズもそれほど気にならない・・かなぁ?

 日本ではレジェンズシリーズでのロードバスター、ホワールの発売からちょうど5年。このときを待っていたファンも多かったはず。まぁ、日本ではあまり馴染みのない面子ですが。

 個人的には、なぜかロードバスターのオリジナルを思っているので彼だけはわりと思い入れがあります。


 以上、“SG インパクター” でした。


 かつて版権の関係で日本では発売されたなかったキャラクターたちがリメイクされ、勢揃いした光景はなかなかに壮観であります。

 シリーズを跨いでのリメイクということで、基本仕様は共通ではないものの、そもそも由来や出自が全然違う連中なのでとくに違和感もありません。

 逆にこの統一感のなさが独立愚連隊(?)レッカーズらしいのかもしれません。

 インパクター単体の感想としては、やはりサイズが少し気になるものの、シージらしい堅実な作りで触り心地は安定しており、ロボットモードはもちろんビークルモードでも砲塔の回転などある程度の可動が確保されているなど、完全新規による初の立体化を心待ちにしていたファンの期待を裏切らないものになっていると思います。

 ただ当初の企画でディセプティコンとしてデザインされたせいか、オートボットとしながらも溢れるディセプティコン臭はもう少しどうにかならなかったのか? と思わずにはいられません。

 などなど、なにかとツッコミどころの多い今回のインパクターではありますが、それもまたトランスフォーマーらしいということなのかなぁ。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

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