今回のレビューは、1/144スケール ハイグレード より、
“HGTWFM 23 デミバーディング” です。
“機動戦士ガンダム 水星の魔女”より、チュチュことチュアチェリー・パンランチが新たに搭乗するブリオン社製の最新型モビルスーツ、
“MSJーR122 デミバーディング” が、
HG水星の魔女シリーズで発売されました。
いよいよ最終局面に突入した水星の魔女。
プロスペラの目的であるクワイエット・ゼロもその全部を顕し、ようやく主人公として自らの意思を持ったスレッタがそれに立ち向かうという構図が整った場面で終了した第21話。
ここへ来て登場する怪物と呼ばれた新ガンダム(実際は21年前に接収されたものらしいですが)、キャリバーン。
意外だったエラン5号の合流。
一方でただひたすら落ち込んでいくミオリネに、闇堕ちしたラウダ・・いや、ラウダは第2期OPのカットでもそんな気がしてたけども、矛先違わない?
まぁ、これで長く議論されてきたシュバルゼッテに誰が乗る問題には解答が出たかな。
そして、我らがチュチュ先輩。
スレッタを一人で行かせるわけにはいかないと名乗り出る漢前っぷりはさすがでした。
さらにマルタン以下、地球寮の面々も同行する決意を固めましたね。
いいチームになったもんだ。
しかし、一定範囲のパーメット機能を停止させるクワイエット・ゼロへの対抗手段がないと、いくら大勢(いや、今のところMSに乗れるの3人だけだけども)で行ったところで意味がないわけで・・
そこはきっとベルメリアさんが今までの醜態を帳消しにする働きを見せてくれるものと信じていますが・・果たして。
それでは、レビューしていきます。
キットはパチ組みに最低限の墨入れ、付属シールを貼ったのみです。
MSJーR122 デミバーディング
学園での実習用にも広く普及しているブリオン社製の汎用量産機、デミトレーナーでお馴染みのデミシリーズの最新型コンセプトモデル。
ノレアの暴走で学園内が戦場と化した際、乗り込む前に専用のデミトレーナーが破壊されてなす術がなかったチュチュに、セセリアが貸し与えました。
終盤で一気に株を上げてくるセセリアさんよ。
しかし、てっきりチュチュのデミトレが改造されてこうなるんだと思ってましたが、まったく別の新型機でしたね。
まぁ、実際にはグラスレー寮から脱出してきたニカの手でチュチュ用に調整されたわけですが。
色が似てるのはたまたまなのか?
まず初登場時の本体のみの状態で。
コンセプトモデルということでまだ量産は視野に入れず、とりあえず採算度外視で高性能を目指した機体のようです
下半身はおおよそデミトレーナーのままですが上半身は大きく横に張り出したスラスター内蔵の肩アーマーや、縦長菱形のメインカメラにブレードアンテナを備えた頭部など、わりと曲線主体で可愛らしい感じだったデミトレから形状がガラリと変わり、直線主体のけっこうヒロイックなシルエットになりました。
印象としてはほぼほぼ別物になってますね。
キットは4割ほどのパーツがデミトレーナーからの流用です。
カラーリングは先にも言ったようにチュチュ専用のデミトレーナーによく似ていますが、たまたまなのか、それとも本体デミシリーズはこういう色遣いが基本だったのか・・
バストアップで。
頭部はおそらくデミシリーズ伝統なのだろうドーム型が基本ですが、メインカメラの形状、その上に伸びるアンテナのおかげでまったく印象の違うものに。
加えて、そのカメラからぐるりと一周、クリアパーツで細いラインが引かれているのですが、これは周囲180度をカバーするセンサー的なものと解釈していいのかな?
それも含めて、なんとなくドムっぽくも見えます。
なお、せっかくのクリアパーツですがメインカメラ部分はそのままだとどうしても暗くなって目立たないため、中にホイルシールの切れ端を挟んでみました。
多少は光って見えますかね。
胸部コクピットハッチ上部のセンサー、および左右の小型スラスターの色分けはシールでの再現です。
肩アーマーは側面に大型のスラスターを装備。さらに前後に計4機、小型のスラスターも備えています。
小型のスラスターの色分けはやはりシールでの再現。
アーマー上部のグレーもシールですね。
背面。
バックパックを装備していない状態ですが未完成な感じはとくにないです。
端からバックパックはオプション扱いで自由に換装できる設計なのかもしれません。
腹部から脛はほぼデミトレと変わりませんが、脛はチュチュ機同様足首部分にパーツが追加で延長されています。
腰部可動のロック機構はそのまま。
今回、バックパックも装備した状態だとけっこう重心が後ろに傾くので、この機構はありがたいですね。
では、そのバックパックを装備して。
21話の段階ではまだ登場していない形態です。
本体とそう変わらないボリュームのバックパックを背負ったことで一気に強力な機体になった感じ。
水星登場のMSでこれほど大型のバックパックを装備した機体はなかったので、けっこう新鮮。
後ろ姿にはなんとなく既視感もありますが・・
なお、先の通り重心が後ろに傾きがちなので自立は若干厳しくなります。
というか、腹部のボールジョイントが負けて仰け反り気味。
武装類
ビームライフルプラス
狙撃性能も高そうな長砲身の新型ライフル。
グリップの保持、さらに後部ジョイントを前腕外装の穴に差しこむことでしっかり固定できます。
側面のセンサースコープユニットに付いているサブグリップが可動、両手持ちも可能です。
いや、もう普通に鉄パイプかなんか持たせてやってよ。
フィストバルカン
マニピュレーターの手甲に内蔵された小型の2連装ビーム砲。スリット状のディティールがそれです。
威力は低く、あくまで牽制目的で使用するものだそうです。
なお、マニピュレーター自体はデミトレーナーのものが流用されているため、相変わらず指は3本。
平手は付属しませんが、デミトレーナー用オプションセットに付属の平手が流用できます。
成型色も同じチュチュ機に付属のパーツを使うのがいいでしょう。
ビームサーベル
標準的な近接格闘用の武装。
サーベル刃はいつもの汎用パーツです。
デバイスは脚部側面のフレキシブルブースター上部に1本ずつマウントされます。
フレキシブルブースターはチュチュ機のブースターの進化形のような感じで、同様に上下にスライド、回転が可能です。
足裏および踵にホイールを備えることで地上での高速移動を可能とするウィルダッシュプラスに推進器を増設、さらなる高速化を実現した脚部構造。
で、脚部というとデミトレーナーでは足首が軸接続で水平方向の回転しかできないためにポージングに苦労したのですが、今回はボールジョイント接続に変更されたので柔軟性、接地性向上しました。
この改修は、おそらく後述のバックパックを背負った状態で自立するために必要だったのでしょう。
デミトレの軸接続のままだと、たぶんバランスとれずに倒れたんだと思う。
バオリパック
フライトユニットも兼ねた専用バックパック。
大型のスラスターにビームキャノン、センサーポッドも備えた複合装備です。
左右のスラスターはボールジョイントで可動。
ビームキャノンは2箇所で可動し、肩越しや脇の間から正面に向かって射撃が可能です。
しかしこのバオリパック、センサーポッドの見ためはものにチュチュのデミトレの頭ですよね。
チュチュトレの残骸をベースにニカが作るんだろうか?
なお、パックは本体と分離でき、有線制御による遠隔操作が可能となっています。
キットでは本体、パックそれぞれに専用のアタッチメントパーツを取り付け、ケーブルにはリード線を使用。
ただ、今回スタンドが付属しないので、分離攻撃状態の再現には別途ウエポンディスプレイベースなどが必要です。
なお、パック側にに3㎜穴はなく、アタッチメントに3㎜軸が生えている仕様なのでまた別に3㎜穴ジョイントが必要と地味に面倒だったり・・
名称のバオリパックというのはたぶん二人羽織から来てるんだと思いますが、パックのほうにもコクピットあるのかな?
だったら有線である必要ない気がするけど・・
比較画像
チュチュ専用のデミトレーナー(左)、一般用のデミトレーナー(真ん中)と。
チュチュ機は同じデミトレでも現行機の数世代前の機体を改修したものなので、進化の系譜としてはこの並びの通り左から右へということになるんですが、カラーリングと装備のせいでデミバーディングはチュチュ機ベースの新型という感じがします。
実はイエローの色味はけっこう違うんですけどね。
それにしても、コンセプトモデルとはいえ化けたなぁ・・
これまでもこんな感じに尖った試作機とかは作ってたんだろうか?
基本的な可動はデミトレーナーから大きく変わるものではありませんが、足首の接続変更で接地性が幾分向上し、大胆なポーズでも自立させやすくなりました。
一方、肩が根元から外れやすい、肘関節がバラけやすいなど、デミトレで気になっていた構造的な粗さはは相変わらず。
まぁ、このへんは水星HGシリーズ全体の欠点でもありますね。
パーツ数を減らし、組み立ても簡略化したことで手軽になったぶん脆弱になっている印象。1/144スケールだからなんとかなってる感じですね。
ライフルで遠距離から狙撃。
腰部可動も手伝って立て膝は綺麗に決まります。
でも結局はこう。
チュチュのデミトレについては、地球寮の財政事情破損した場合修理がままならないという理由で極力接近戦をしないように長距離狙撃用のライフルが装備されていたわけですが、チュチュ自身はむしろ接近戦でガンガンやりたいタイプなんですよね。
それわかってるんだし、もう機体の修理うんうん言ってる場合じゃないんだからでかい棍棒とか持たせてやってほしい。
あ、スタンド対応穴は股下にあります。
バオリパック装備で。
急に高性能機っぽい雰囲気出してくるなぁ。
やっぱりバックパックって大事だね。
ちょっとでか過ぎて立たせにくいですが・・
スタンドを使って。
フライトユニットも兼ねているということなので、単独で飛行も可能なんですよね。
まぁ、もう宇宙でしか戦わなそうですが。
バオリパック分離。
僕はこれ、チュチュの一人乗りだと思ってるんですが、でも有線の遠隔操作とかチュチュできるかなぁ?
という懸念はありますね。
AIで勝手に動いてくれるパターンかもしれないけど。
しかし、フライトユニットも兼ねているものが分離するとかどうなんだろう?
飛行中に思わず分離しちゃって本体が落ちる・・とかありそうなんだけど。
まぁ、さっきも言ったけど劇中ではもう地上での戦闘はなさそうだし、その点は安心ですかね。
あと演出としてありそうと思うのは、本体破壊されてチュチュ死んだ!? と思わせておいて、分離したバオリパックにやっぱりサブのコクピットがあって、いつの間にかそっちに乗り移ってて無事だった、とか。
再び戦場となった学園。
孤軍奮闘するフェルシーの危機に颯爽と現れた我らチュチュパイセン!
フェ「ポンポン頭!?
チュ「手伝え! こいつらぶっ潰すぞ!
フェ「アーシアンが仕切んじゃねぇ!
そしていつしか芽生える友情・・
それにしても、学生でMS乗って迎撃に出たのってこの二人だけ?
まぁ、ただの学生だし無理もない・・というか、この二人の勇気がある意味異常。
カミル先輩も、「学園仕様だから前に出過ぎるな」じゃないんだよ・・
その後、ノレアの死、エランの逃亡でガンヴォルヴァは機能停止。
学園内での戦闘は終結しましたが、生徒に多数の死者を出すことに・・
偉そうなことを言いながらテロという手段しか使えないのがシャディクの限界だなぁ。
一方で、あれだけスペーシアンを嫌っていたチュチュと、アーシアンを馬鹿にしていたフェルシーが学園の守るために共闘するわけですよ。
人は解りあえるんだ。
ガンダムシリーズ共通のテーマですよね。
チュ「スレッタ、おまえ一人だけを行かせねーぞ!
漢前なチュチュパイセン。
チュ「ニカねぇ、ちょっと重いんだけど・・
最終決戦に臨んで、武器を積めるだけ積んでいくのは伝統です。
デミトレ用のオプションはすべてそのまま取り付けられます。
フルアーマーデミバーディングですね。
どうせ最後は全部ぶん投げるんだと思いますが(笑)。
以上、“HG デミバーディング” でした。
いかにも学生の実習用という感じのシンプルな機体だったデミトレーナーも、高性能を突き詰めればこれだけ戦闘的な機体に化けるんだなぁ。
学園にがっつり食い込んでいる印象のブリオン社も、その実決して現状には甘んじず、御三家の位置を虎視眈々と狙っていたんだろうなとも思わせるデミバーディング。
ここ数話で一気に株を上げてきたセセリアさんの存在含め、案外最終的に生き残るのはブリオン社という気がしてきましたね。
ペイルとグラスレーはもうダメだし、ジェタークは立て直しが急務。株式会社ガンダムもどうなるかわからない。そんななか、ブリオン社はノーダメージ。
さて、キットのほうですが、おおまかにはデミトレーナーの流用ですが、新規造形パーツがかなりのボリュームで、また新鮮な気持ちで組むことができました。
一方、基本構造を踏襲しているがために、デミトレで気になった点はほぼそのまま。
ただ、足首接続はたぶん自立のためでもあったんでしょうがボールジョイントに変更されていて、そこだけはアップデートされててよかったです。
武装面では、実質チュチュ専用機なので彼女に相応しい得物も欲しかったですが、一応そのままでもライフルを鈍器として持てたのでまぁいいか、と。
最大の特徴でもあるバオリパックは、まさか分離するとは思いませんでしたね。
ただその機能をチュチュが使いこなせるとは思えないんだけど・・
いや、技術的というよりも、性格的にね。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
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