HMM ライガーゼロイクス レビュー

 今回のレビューは、1/72スケール ハイエンドマスターモデル より、

“HMM053 ライガーゼロイクス” です。


 “ZOIDS ゾイド” より、ガイロス帝国製の真のライガーゼロにイクスユニットを装着した、“暗黒獣王” こと、

“EZー054 ライガーゼロイクス” が、

HMMで発売されました。


 HMM ライガーゼロの共和国仕様・・いや、アニメ仕様というほうが正しいのかな? ともかくそちらが発売されたのが、2010年の11月ですから、それから実に11年と1ヶ月。

 長かったですね。

 まぁ、ライガーゼロ帝国仕様として、赤いゼロアーマーの付いたライガーゼロは2017年の7月に限定で発売されており、今回もこのイクスと同時発売でマーキングプラスVer.として、やはり限定ですが事実上の再販がされています。

 その帝国仕様に装着するためのイクスユニット単品も限定発売されているのですが、僕は今回一般販売のライガーゼロイクス(帝国仕様のゼロアーマーなし)を購入しました。

 イクスユニット単品一般だったら、限定の帝国仕様ゼロと併せて買っていたかもしれませんが・・

 さてライガーゼロイクス、先に真のライガーゼロと言いましたが、そもそも先に登場した共和国製のライガーゼロというのが、帝国で開発中の試作機を奪取してそれをベースに量産したものなんですよね。

 チェンジング・アーマー・システム(CAC)は共和国の技術だったと思うんですが、今度はそれを帝国側が取り入れて完成させたものがイクスユニットです。

 奪取されずに済んだもう一体の野生体をベースに完成した帝国製ライガーゼロ素体の性能自体も、たぶん共和国製のものより高いはずで、そこにイクスユニットを装着したライガーゼロイクスは多数のバリエーションを誇るライガーゼロのなかでも最強形態の1つと言われています。

 そんなライガーゼロイクスのHMM版。

 秋頃から新作ラッシュだったHMMの最後というだけでない、2022年のゾイドの最後を飾るに相応しいキットになる、と思っていたんですが・・


 レビューしていきます。

 キットはパチ組みしたのみです。


素体状態

 アーマーユニットをなにも装着していない、裸のライガーゼロですね。

 プロポーションとしてはあくまでアーマー、ユニット類装着後のバランスでHMMらしいスタイリッシュなものを目指したと思われ、素体のみだとかなり細身になっている印象。

 横から見ると胴体の薄さが少し気になります。

 外見は共和国製と変わりないのですが、今回のHMM版ではメインの成型色が茶系、キャップが黒色になっています。

 共和国製のメインカラーは黒で、キャップの色は赤でした。

 また、共和国製では基本装備のゼロアーマーと同色のアイボリーだったコクピットハッチなどのカラーはゴールドになり、全体に落ち着いた雰囲気はこのままなにも付けていない状態でも十分に格好いいとは思います。

 ただ、キットとしては11年前のものからとくにアップデートはされておらず、今見るとかなり古臭い・・もとい、組み応えがあります(笑)。

 とりあえず接着剤は必須ですね。接着しないと細かいパーツはポロポロ外れます。 

 とくに尻尾や後述する膝はバラけやすいですね。あと、後脚は根元からも外れやすいです。

 まぁ個体差もあるとは思うんですが、よくも悪くも一昔のコトブキヤキットです。


 では、各部を見ていきましょう。


頭部

 コクピットハッチは開閉可能。

 レブラプターではパイロットフィギュアは組み立て不要の一体成型になっていましたが、今回は以前の組み立て式のものが付属します。


体幹部分

 胸部(底面)に装備している2連装ショックカノンは上下にスイング。左右にもある程度可動します。

 その上のコアユニットは取り外し可能。

 ゾイドコアは大型ゾイド共通のクリアレッドの軟質パーツです。

 コアを外す場合はある程度ユニットを分解しなければなりません。

 なお、前面のゴールドの外装は取り外すことも可能。上側の外装は上下にスイング可動します。


 体幹は首、胸部、腹部、腰部の4ブロックに分かれており、それぞれ可動。

 腹部はわずかですがスライド伸縮し、伸ばすことで胸部を左右に捻ることも可能になります。

 腰部底面には3㎜穴があり、スタンドディスプレイに使えます。

 ただこのサイズで3㎜はちょっと不安。


四肢

 前脚の肩にあたる部分と後脚の腰にあたる部分はほぼ同じ構造で、それぞれ独立して可動するようになっています。

 ただけっこう緩いので、簡単に動いてしまう感じ。

 また、前脚の前腕、

後脚の脛がそれぞれスライド伸縮します。

 ただ、後脚のほうは伸ばすことで先がわずかに深く曲げられるようになりますが、前脚のほうはとくに可動域に変化はありません。

 あと、先にも言いましたがこの膝部分、かなり簡単にバラけます。


 手および足にあたる部分の構造は前後左右で共通。

 爪は裏打ちパーツともども一体成型なのですが、下画像の赤線の部分でカットすることで簡単に独立可動させることが可能です。

 このように、まっすぐ揃えることも可能に。

 以前、共和国製ゼロを組んだときには気付きませんでした(笑)。


尻尾

 同じ構造のユニットを3組繋げる構成になっています。

 赤丸部分でロール可動、青丸部分でスイング。

 一方のパーツが緩いアールを描いた造形になっているため、可動させる際、自然な曲線を描くのは微妙に難しいです。

 なお、余剰扱いですがユニットはもう一組組めるので尻尾の延長は可能。

 ただスイング可動部が緩めでかなりへたりやすいです。


 先端に取り付けるビーム砲は今回余剰扱いですが、もちろん取り付けることができます。

 あと尻尾の付け根に付ける外装も今回は余剰扱い。


 ではイクスユニット装着・・の前に、MG F90での恒例行事(?)に倣って、素体とユニットを並べてみました。

 イクスユニットはもちろんすべて新規造形。

 素体と較べるとさすがに随分と組みやすくなっています。

 まぁ、あくまでオプションなので構造的にあっさりしていることもありますが。

 装着箇所は頭部、首、背部、腰部上面、尻尾先端と四肢の付け根、そして脇腹。

 共和国製のユニットに較べてパーツは少なく、付け根以外の四肢は剥き出しになります。


 ではあらためて、


ライガーゼロイクス

 漆黒とブルー、ゴールドのカラーリングがイカしてる。

 余計なものを削ぎ落としたというか、わりとゴテゴテとしていてカラーリングも派手めな共和国製のユニット装着時の姿と較べるとかなりシンプルで洗練された雰囲気があります。

 しかし先にも言ったように、四肢は基本的に素体のフレームが剥き出し状態なので、そもそも細身のHMM版では思っていた以上に華奢に見えます。

 帝国製なのに共和国製のバリエーションよりもむしろシールドライガーっぽい雰囲気があるのが意外というか皮肉というか・・

 正直ライオンというよりはもっと小型の、ヒョウやジャガーっぽいプロポーションに思えるんですねぇ。

 なお、オリジナルでは胸部装甲(HMM版ではコアユニットの外装の一部となっています)とその下の2連装ショックカノン砲は装備していないので、それらを外すことでよりオリジナルに近い形態にすることが可能です。

 まぁ、言われないと気付けないくらいかも。


 では、再度各部を見ていきましょう。


頭部

 左右の頬部分にあるタテガミ状のパーツはカッターフェアリングという放熱板兼格闘武装で、4枚がそれぞれ独立可動します。

 ただ、前脚(肩)と干渉しやすいです。


背面

 背中に装備するスタティックジェネレ-ターは各種装備に必要となる電力を生み出し、

腰部のドラムコンデンサーで増幅します。

 ともにイクスユニットの生命線となる装置ですが、ならばもっと狙われにくい位置に装備しろよ・・とは言わない約束(笑)。

 ジェネレーター、コンデンサーのコイル(ゴールドの円柱状パーツ)はそれぞれ回転させることができます。


四肢アーマーユニット

  イクスの特殊機能の多数をになる複合ユニット。

 上面の突起は対物ブレードセンサーで、上下にスイング可動します。

 クリアブルー成型されている外装パーツは前面にエネルギースクリーンを発生させて後方の景色を投影する光学迷彩(アクティブステルス)装置です。

 ヘルキャットに採用されている技術を発展させたもので、その精度はもちろん段違いとのこと。

 また、後述のエレクトロンドライバー使用時には外装が開き、内部の放熱用フィンが展開するのですが、もちろんそれぞれ可動し、展開状態を再現可能。

 外装を開くとシリンダーパーツが連動可動します。

 フィンに挟まれた位置にあるダクト状の部分はチャフディスペンサーです。尚

 なおこのアーマー、無茶苦茶外れやすいです。

 接続軸が1つだけで、しかも緩くて短いのが原因ですね。

 新規造形パーツと11年前のパーツの相性もよくないのかも・・


アースユニット

 尻尾の先端に装着。

 左右の突起(アース)が可動します。

 エレクトロンドライバーなど、大量の電力を使用する際にはその突起を地面に突き刺して、まさしくアースとして機能します。


エレクトロンドライバー / スタンブレード

 両脇腹に装備し、通常は背面にたたまれているイクスのメイン武装。

  通常、背中にたたんでいる状態では左右のブレード基部が互いのジョイントで固定されます。

 そのままブレードパーツを前方に向けることで高電圧ビームを放つエレクトロンドライバーとして遠距離攻撃が可能。

 変形手順としては、まず4枚のブレードを基部ごと前方に向け、さらにブレード自体を前方にスライドさせます。


 また、左右に展開して対象を切断、ショートさせる高電磁スタンブレードとして格闘戦にも使用可能。

 固定用のジョイントを外し、ユニット全体を左右に広げることで変形完了。

 ブレードはそれぞれ独立可動します。

 脇腹の接続基部も外側にスライドさせることができます。


比較画像

 オリジナルのトミー版と。まず素体状態で。

 オリジナルはかなりごつい印象・・いや、これはやはりHMM版が細過ぎるんだな。

 頭部の大きさ、四肢の太さなど、ライオン型としてあらためてオリジナルのプロポーションの見事さを思い知りました。

 いやまぁ、HMM版もスタイリッシュで格好いいんですよ。

 なお、カラーリングはかなり近い感じになっています。

 オリジナルに一部赤いパーツがあるのは、同梱されている帝国仕様のゼロアーマーとの兼ね合いですね。

 HMM版では全体の雰囲気に合わせて配色が変更されています。


 イクスユニットを装着して。

 もちろん基本的なデザインはそのまま、HMM版では各部のディティールアップで情報量を増し、エッジ感も増したことでよりシャープな印象に・・なっていはいるんですが、やっぱり細い・・


 エレクトロンドライバー発射形態でも。

 エレクトロンドライバーのボリュームはHMM版のほうがありますね。


 スタンブレード展開状態でも。

 オリジナルでは2枚のブレードは固定。

 ブレードのスライドギミックの効果もあって、派手さではHMM版に軍配が上がります。


 ついでに、せっかくなのでオリジナルのほうに帝国仕様のゼロアーマーを着せて。

 オリジナルは以上のオールインワンパッケージで当時価格3000円だったんですよね。

 ちなみに共和国仕様はゼロアーマー付属の基本形態で2500円。つまりイクスユニットだけだと500円。

 イェーガー、シュナイダー、パンツァーの各ユニットは単品発売ですべて1000円でした。

 もっと言うとバーサークフューラー用のシュトゥルムユニットも単品1000円。

 数字だけ見ると・・いい時代だったなぁ。


 HMM版の共和国仕様のゼロと。素体状態で。

 共和国製の姿勢が若干悪いのは、経年劣化で間接がユルユルのため。

 尻尾に至ってはスタンドで支えていますのでご了承を。

 変更点は成型色のみ・・かと思いきや、ランナー都合でイクスには付属しないパーツ(肩のアール状の外装パーツなど)があるので、色違いというだけではなかったりします。

 カラーリングに関しては、今回の帝国仕様の色のほうが各部のディティールがくっきりして、パッと見の情報量が増えているので個人的には好きです。


 では、帝国仕様にはイクスユニットを装着して、共和国仕様は各種ユニットを着せ替えて。

 まずは基本のゼロアーマーと。

 さすがに基本形態と較べるとボリュームのあるイクスですが・・

 こうして見ると基本形態のライガーゼロが実はライオン型としてはかなり異質なデザインだというのがわかります。

 実際、最初に見たときは衝撃でしたもの。これが新時代のゾイドか! と思いましたよ。


 イェーガーと。

 機動性重視の “蒼き狩人” ことイェーガー

 攻撃能力という部分ではパンチ力に欠けますね。色味は若干似ていますが。

 というかイェーガー・・久しぶりに着けてみたけど、なんかヤマアラシみたいだな(笑)。


 シュナイダーと。

 格闘戦特化の “紅の剣” ことシュナイダー。

 武装だけを見るとシュナイダーが一番近いというか、ブレードライガーからの流れでライガー系の格闘武装といえばこれ、というような刷り込みが共和国、帝国双方にあったのかもしれませんね。


 パンツァーと。

 多数の射撃武装を装備した遠距離砲撃仕様の、“深緑の重火器” ことパンツァー。

 重装備で低下した機動性を補うために重装甲にしてさらに・・という、ある意味ライガー系の本質とは真逆の仕様。

 格好いいけどね。


 イェーガー、シュナイダー、パンツァーと、それぞれの得意分野ではイクスに勝る性能があると思われますが、それぞれに一長一短あって総合力ではイクスに及ばない、というところなんでしょうか。


 オマケで。オリジナルの帝国仕様ゼロとHMM版のゼロで。

 結局のところ、どちらもいい(笑)。


以下、画像

 まず素体状態で。

 HMMの第1弾キットであるシールドライガーの発売からちょうど4年経って発売されたライガーゼロ。

 当時はその進化・・とくに可動性の向上に驚かされたものでした。

 そんなわけで、かなりよく動いてくれると思います。

 ネコ科らしいポージングはおおよそできるかな。

 高いところから飛び降りた感じとか。

 胸部と首の上下スイングに前腕のスライドを組み合わせれば、ギリお座りも可能。

 可愛いね。


 イクスユニット装着で。

 スタンド使用で獲物に飛びかかるイメージ。

 先にも言いましたがカッターフェイアリングと肩のアーマーが干渉するので、頭部の可動が少し制限されますかねぇ。

 それ以外は、素体状態から目に見えて可動域が狭くなる、という印象はないです。

 共和国製ユニットと比較すると圧倒艇に扱いやすいのは確かですね。

 四肢のアーマーだけはポロポロ外れますが・・


 エレクトロンドライバー発射!

 総火力ではパンツァーに及ばないものの、自ら生み出す電力を放つので、継戦能力では勝るというところですか。


 スタンブレードでも!

 ブレードが全部独立可動するようになったのはよいですね。

 リーチや一撃の攻撃力ではシュナイダーに劣るものの、変則的な起動に手数とさらに追加効果で勝負できる感じ。

 ふむ。派手に動かしていると細っこさも気にならなくなりますね。


 な、なんだあの黒いライガーゼロは!?

 なぜ帝国にゼロが!?

 一般兵はライガーゼロの出自を知ってたんだろうか?

 仮に知っていたとしても、本物の性能の高さに絶望したかもしれない。


 見よ、これがライガーゼロ究極の最強形態だ!

 いや、たぶんこれダメなやつ(笑)。

 長所ばかり掛け合わたところで、全部が全部の足を引っぱる感がすごいです。

 アクティブステルス作動させてさっさと逃げたほうがいい。


 以上、“HMM ライガーゼロイクス” でした。


 共和国仕様のCACの最後となったパンツァーユニット(およびライガーゼロパンツァー)の発売から9年以上待たされることになりましたが、ともかくも帝国製の真のライガーゼロ、その正装姿(?)がついに発売となりました。

 2021年最後のHMM。ゾイド関連アイテムとしても最後を飾るものになったわけですが、正直、人を選ぶキットになったような・・

 まぁ、そもそもHMMは中級者以上向けのキットという感じはあるのですが。


 ライガーゼロのHMMは、CACの各種ユニット装着後でもネコ科らしいしなやかなプロポーションを実現するために、かなり細身にアレンジされたのだろうと思うのですが、それが、装着するパーツの少ないイクスでは仇になってしまったかな? というのが、組んでみての個人的な印象です。

 もちろん格好いいですし、これはこれでアリだとは思うんですが、どうにも力強さに欠けるというか・・まぁ、そのへんは好みですね。

 ポーズを決めればさほど気にならなくなりますし。

 しかし、やはり本体・・およそ11年前のキットそのままなので、かつてのなにかと難儀なコトブキヤキットです。

 まぁ、バラける・・

 総じてパーツのはめ込み軸が細くて短いんですね。

 さすがに組んでしばらくは大丈夫だろうと思っていたんですが、膝なんか撮影中に何度バラけたか・・

 今回は、可動や換装に直接関係しない細かいパーツはいくつか接着しましたが、それでも完成後かなりストレスが溜まるものになってしまったので、これから組もうという人はそれなりに覚悟して挑まれるのがよいかと思います。

 レブラプターで初めてHMMに触れた人が、次にこのイクスを選んでノックアウトされたりしないか心配です。

 下手したらプラモが嫌いになるかも・・(言い過ぎか)

 逆に、久々に歯応えのあるキットを組んでみたい、という人には俄然お薦めします。

 プロポーションには好き嫌いはあるでしょうが格好いいことは間違いないですし、ゾイドとしては珍しい換装ギミックでプレイバリューも高いですし。

 僕は共和国製ゼロは本体一機にCAC各種を単体で持っているだけですが、基本形態も含めた全6種のバリエーションが並んださまは壮観でしょうね。


 さて、すでに発表だれています今後のHMMの展開。非常に熱いです。

 まぁ、2022年内にどれだけ発売されるかわかりませんが・・今回のゼロイクスと同じパターンという意味ではグリーンホーン AB(アタックブースター仕様)というものも控えています。

 レッドホーンはライガーゼロよりさらに古いキットですからね。いろいろな意味で楽しみです。

 まぁ、レッドホーンも、ダークホーンも、ハリー仕様も持ってますけどね。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

 

 

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