今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、
“HGUC バーザム(A.O.Z ReーBoot Ver.)” &
“HGUC バーザム(レジオン鹵獲仕様 A.O.Z ReーBoot Ver.)” です。
“機動戦士 Zガンダム” の公式外伝、“A.O.Z(ADVACE OF Z)” シリーズの第3弾、“A.O.Z ReーBoot ガンダム・インレ ー くろうさぎのみた夢 ー ” に登場する、地球連邦軍(ティターンズ)製の量産型モビルスーツ、
“RMSー154 バーザム” と、
それがジオン残党勢力の一つ、レジオンによって鹵獲後改修された、
“RMS-154 バーザム(レジオン鹵獲仕様)” が
揃ってプレミアムバンダイ限定のHGUCで発売されました。
いわゆるTV版バーザムが突如HGUC化され、一般販売されたのが2017年の5月。
もう4年以上も前のことになるんですね。
当時はかなり盛り上がったように記憶しているのですが、その後はやはりプレバン限定で強引にBF仕様としてカラバリが発売されたくらいで、キットとしてはほぼ単発に終わった印象でした。
というのもバーザム、けっこうバリエーションがあるにはあるのですが、ほぼすべてリデザインという珍しい存在なんですよね。
このあたり、ややこしくて僕もイマイチ理解できていないので掘り下げはしません(とうかできませんww)が、とりあえず今回のA.O.Z ReーBoot Ver.(以下、A.O.Z版)とTV版は見ためはそこそこ違いますが同じものであるようです。
要はガンダムウイングにおける大河原邦男氏のTV版とカトキハジメ氏のOVE(エンドレスワルツ)版はイコールである、ということと同じと思えばよいのかな。
そう思うと、Z放送当時はただのヤラレ負けに過ぎなかったはずのバーザムが出世したものだと思います。
まぁ、端からけっこう特殊な機体というか、妙な存在感はありましたけどね。
そんな感じでバーザムA.O.Z版、存在としてはTV版と同じものではありますが、キット的には流用一切なしの完全新規型になっています。
プレバン発の完全新規型キットも、もう珍しくなくなってきましたね。
それでは、2仕様まとめてレビューしていきます。
キットはパチ組みに最低限の墨入れ、付属シールでの仕上げです。
通常仕様
長いトサカの生えた頭部やほかに類を見ない独特な機体構造など、TV板同様の特徴は押さえつつ、各部のバランスが調整されたことにより全体にプロポーションが向上し、めちゃくちゃ格好よくなってます。
基本的なデザインはTV版を踏襲した上でのブラッシュアップという感じですが、目立つ変更点としては肩間接の露出や背部レイアウト(バックパックとリアスカート)の独立化、そしてなにより腹部がTRー6シリーズ特有のドラムフレームに置き換わっています。
さすがにキットではオミットされていますが、コクピットにはTRー6シリーズ同様にプリムローズ2が使われており、ドラムフレーム、リアスカートと合わせて脱出ポッドに変形できるそうです。
色分けは概ね成型色で賄われていますが、ドラムフレーム側面の白や各部ダクト内部などのグレーはシールでの補完となっています。
前腕装甲やバックパック、リアスカートのティターズT3部隊のマークはテトロンシールです。
では、各部をピックアップ
頭部
TV版よりトサカが大型化されたほか、モノアイスリットが狭くなったことで目付きが鋭くなっています。
モノアイはピンクのクリアパーツ製で固定。
ただ非常に小さく、モノアイスリットも狭いため、せっかくのクリパーツもほとんど目立ちません。
これならホイルシールでも十分だった気が・・
内部ディティールはそこそこ再現されてますけどね。
胸部
首関節はなぜか左右にスイング。
先にも言った露出した肩間接、キットとしての構成はがなかなか面白く、左右対称のパーツを2枚重ねてヒンジ状のジョイント(腕部接続部)で繋ぎ、一方のみを基部に取り付けることでごく狭い範囲ではありますが腕部の引き出しが可能になっています。
なるべく共通パーツを用いて金型のコストを下げつつ可動性やその動きの妙を感じさせるという意味では秀逸なアイデアだと思います。
腕部
デザイン自体はTV版を概ね踏襲。
ただやはり全体のバランスが変わっており、TV版の異形感は薄まっています。
肩と上腕の間にロール軸はありませんが、代わりに肘関節が上腕側がボールジョイント接続になっており、回転のほか捻りも可能です。
前腕も内側に若干スイングします。
ハンドパーツは汎用の持ち手のみ。
バーザムというと平手(あくまでTV版)のイメージが合ったので、それも付けてほしかったかな。
腹部
ドラムフレームと胸部はボールジョイントで接続。
腰部はフレームと一体化しており、回転は胸部接続部でのみ可能です。
さらに、ドラムフレームの可動により胸部は前屈、反りが可能。シリンダーも連動して可動します。
背面
TV版のデザインではすべて一体化していた背面レイアウトですが、A.O.Z版ではそれぞれが独立。
バックパックはボールジョイントの2点接続で上向きに可動。
リアスカートはドラムフレームに接続されており、接続部で回転できるほか、スカート、中央のスラスター(?)がそれぞれ独立して可動します。
スタンド対応穴は腰裏にありますが、使用の際にはリアスカートがけっこう邪魔になります。
下半身
股間の前面デザインはTV版の正式設定と共通。
股関節は左右一体で前後にスイングし、脚付け根も接続部を引き出すことで60度ほどですが横向きに跳ね上げることが可能です。
足首後部のスラスターも可動し、足首はもちろん、爪先も可動します。
付属武装
ビームライフル
グリップは側面に横向きに生えており、後部から生えたケーブル(というか今回はアーム?)は上腕に側面に接続します。
ケーブルおよびコネクタは上画像のように可動するので、保持後の腕部の可動にもある程度は追随しますが、ケーブルは軟質パーツではありませんし、持たせたまま腕を動かすのはパーツに負荷がかかるのであまりよろしくないかと。
基本的に右手で保持するもののようですが、左手で保持することも可能。
ガンダムMKー2と共用のはずの、頭部に外付けするバルカン砲。
サイズは今回のバーザム用にアレンジされていますが、これも基本デザインはTV版から変わりません。
左側面のディティールの色絵分けはシールになっています。
ビームサーベル
末端部分が細くなっている、専用のビームサーベル。
左右前腕装甲内に1本ずつ装備されるもののようですが、今回収納ギミックはオミット。
ビーム刃はいつもの汎用パーツで色はイエローです。
レジオン鹵獲仕様
1年戦争終結後に火星に逃れたジオン軍キシリア派が立ち上げたのはジオン・マーズ。
そこにデラーズ紛争五に落ち延びてきたギレン派残党がレジオンを名乗って覇権争いに発展したところにグリプス戦役後にアクシズと結んだティターンズの残党の一部がまた火星にやってきてレジオンと合流して・・と、負けたやつら同士がなにを小競り合いを繰り返しているのか? という感じですが、とそんななかで、レジオンは鹵獲したハイザックやバーザムなどを火星環境下で扱い易いように改修して一般兵用に配備、再生産しているということらしいです。
この赤いバーザムも、まさにそういった経緯で生まれた機体なのですが・・
ざっとウィキとかに目を通したものの、レジオンが連邦系の組織と戦ってる場面出てこないんだけど。
どのタイミングで鹵獲したんだろう?
鹵獲仕様というからには、ティターンズ残党から供与されたのではないんですよね?
通常仕様からの大きな変更点はカラーリングと脚部に追加されてた高機動ホバーユニットですが、それ以外にもよく見ると細々とした違いが。
まず、股間前面のデザイン。
これは長年論争が続いていたものに近年やっと明確な答えが出されたもので、それはTV版および先の通常仕様っでもそうだったように、フラットな表面の左上にコネクタ状の突起物がある、というものでした。
しかしこのレジオン鹵獲仕様では、もう一方の解釈であったメガ粒子砲のように窪んだ形状の中央に砲口のようなものがある、というデザインが採用されています。
ある意味ファンサービスというか、お遊び的なデザインの変更といえるのかもしれません。
実際、機能等についてはとくに言及されていないようなので。
たぶんスラスターでしょうけど。
あと、脛全面、
およびくるぶし外装内側のスラスターの形状も変わっています。
これらも、理由はよくわかりませんね。
また、モノアイの色はピンクからグリーンに変更されています。
目立たないことは変わらず。
全身の色分け、シール補完についてもほぼ通常仕様と同じですが、肩アーマーのスラスター内部、黒のシールが追加されています。
また、T3部隊マークに代わるレジオンマークはやはりテトロンシールです。
貼り付け位置は通常仕様のマークと同じですね。
付属武装ほか
グランユニット
火星重力下での高速移動を可動とする高機動ホバーユニット。
普段は脛裏側にたたまれていますが、フレームがスライド、さらに可動してユニットが接地するようになっています。
ただし、足と揃えて接地させようとするとけっこう角度は制限されます。
また、肝心のホバー機能を発揮すると思しきパーツは展開時のみ取り付ける仕様で、収納時は外しておきます。
これはどういうことなのだろうか?
たとえば展開時に外装が割れたりして、中からこの部分が出てくるということなのか? それとも、本当にホバー走行するときだけ増設するのか?
いや、それなら普通は一式後付けにするよね。
基部だけ脛裏にたたんだとしても邪魔だもん。
・・わからん。
ほか、基本武装は通常仕様と同一のものがふぞくします。
ビームライフル
側面に装甲版が追加(キット的には赤い円形パーツから変更)されている以外は、通常仕様と同じものです。
もちろん保持方法も一緒。
ちなみに、表面に貼っているレジオンマークは説明書では本体に貼るものと同サイズの指示がされていますが、せっかく大判のものも付いているのでそっちを貼ってみました。
バルカンポッド
側面ディティールの色が赤から白に変わった(もちろんシール)だけです。
ビームサーベル
これも通常仕様から変更なし。サーベル刃の色も一緒です。
比較画像
TV版と通常仕様で。一応、同じもののはずです。
そもそもHGUC化に伴ってかなりスタイリッシュになったバーザムですが、今回のA.O.Z版ではさらに各部のバランスが変更さえ、もはや大本の設定画と較べるとまったく別物に見えますね。
頭部はトサカは大型化したことで相対的に小顔になっていますが、頭部そのもののサイズはほぼ一緒です。
胸部は小さく、腕も少し短くなり、ハンドパーツは一回り以上小さくなりました。
一方で股間の例の部分は大きくなり、ライフルの銃身部分も化なり長くなっています。
背面も。
一体化していた背面のレイアウトがバックパックとリアスカートに分離したことでけっこう印象が違うものになりました。
通常仕様とレジオン仕様で。
バーザムといえばティターンズカラー。
ハイザックやマラサイと違って、端からティターンズカラーなので、ほかの色のイメージはほぼなかったんですが、案外紺色以外も似合うじゃないの。
顔付きとか、なんとなくバウっぽいし(トサカだけやろww)。ということは、緑や銀色似合うかもしれない。
なお、説明書などではなんら言及されていないのですが、脚部が膝関節部分で簡単に取り外すことができ、それがそのままTRー6シリーズの脚部に接続することが可能です。
こんなふうに(画像では同じティターンズカラーのヘイズルⅡを使用しています)、折りたたんだ状態の脚部にそのまま接続することができます。
というのも、TRー6にはその胴体部分をコアとして四肢やオプションパーツを交換、追加することで既存MSに近い機能、性能を代替するというコンセプトもあり、そのなかにバーザムあるいはヘイズルといった汎用量産機の代替後継機としてバーザムⅡというものもあるようなのです。
実際には頭部にバーザムⅡに近いトサカを追加したり、肩にも追加外装が付いたりするようですが、腕部と脚部は今回のバーザムのものをそのまま接続したものになります。
今回、画像のように脚部は加工も追加ジョイントも梨でそのまま連結することができましたが、腕部はプレバンで発売されたヘイズル改あるいはアドバンスドヘイズルに追加されたTRー6用拡張ジョイントパーツを使っても軸径が合わないため不可能でした。
しかしまぁ、そのうち発売されますよ。ランナー2枚ぶんくらいの新規パーツで済みそうですしね(笑)。
今回みたく、2色同時発売になるんじゃないですかね。
しかしTRシリーズ・・ガンダムでは珍しい換装や合体ギミックが目玉ともいえる機体群なのに、HGUCだと結局差し換えパーツや専用ジョイントなど、その都度新造されるパーツが多くて、なんだかなぁ・・という気持ちもあります。
1/144スケールだと仕方ないのかな。
以下、画像
可動はなかなか優秀。
とくに下半身、前と左右にスカートやアーマー類がないデザインなので、脚部の可動を妨げるものがほぼなく、根元から大きく動かすことができます。
立て膝はもちろんこと、
ただこれ、実は腰は浮いていて、後ろはリアスカートで支えてます(笑)。
もちろん完全に腰を下ろしてしまってもいいんですが、そうなると当然脚をもう少し前に伸ばさなければならないため、膝を抱えている感じにならないのでね。
ちなみにレジオン鹵獲仕様の場合は、グランユニットを下ろした状態で同様に立て膝、
こちらはグランユニットが支え手になるので、より安定感があります。
フレームをスライドさせれば完全に接地させることもできます。
ではあらためてポージングおば。
まず通常仕様、ライフル装備で。
バーザムといえばやはりこのライフルも特徴の一つ・・ではありますが、なんでこんな取り回しにくいの作っちゃったんだろう?
先にも言いましたが保持状態で腕部を可動させにくいです。
無理に動かすとケーブルがコネクタから外れたり、コネクタが上腕から外れたりしますね。
サーベル2刀流で。
蛇のようにうねる腕。
肘や前腕のスイング可動で、一般的なMSにはできない変則的な動きができるのは面白いです。
続いてレジオン鹵獲仕様。
グランユニットですが、フレームの長さや可動域がイマイチというのは先にも言った通り。
フレームの保持力も大したことないので、あまり支えにもなってくれません。
疾走感を演出したい場合はスタンドがったほうがいいかもしれませんね。
そのスタンド用の穴ですが、なんでいつもの股下ではダメだったんですかね?
リアスカートを下ろした状態だと使えない・・
あとこれ、踵の後ろにホバー装置付けても、本体の足の裏はたぶんそのままなのに引っかかって転倒したりしないんだろうか・・?
戦闘イメージで。
正規所属機と鹵獲機という関係性なのだから、当然こういう場面もあるのでしょう。きっと。
今度は打って変わって体育座りで並べたり。
某河川敷でイチャつくカップルみたい(笑)。
オレ変形、バーザムタンク。
わりと綺麗にまとまった感。
ならばこちらはバーザムジェット・・
にしたかったんですが、脚部が水平に開けなかったのでバーザムバードになりました。
でも案外グリプス戦役期の可変機っぽく見えるかも。
以上、“HGUC バーザム(A.O.Z Re-Boot Ver.)” & “HGUC バーザム(レジオン鹵獲仕様 A.O.Z Re-Boot Ver.)” でした。
とうとう A.O.Z 関連からTRシリーズ以外の機体が発売されるまでに・・
まぁ、ハイゼンスレイやハイゼンスレイⅡまで出したので、ガンダム系で残るのはもうインレなどの超大物くらいでしょうから、そろそろガンダム以外の出番かな? とは思っていましたが、いきなりTRシリーズですらないバーザムですか。
もっとも、これもバーザムⅡへの布石でしょうし、ならばTRー6関連ということになるのか。
とはいえ、既存キットからの流用のない完全新規型で、そもそも特徴的なデザインの機体。キットとしての構成にも珍しい部分も多く、楽しく組むことができました。
通常仕様と鹵獲仕様の違いも、色とホバーユニットの有無だけかと思いきや股間や脚部のスラスター形状も変更されており、もちろんキットでもしっかり再現されていました。
とくに鹵獲仕様の股間の形状は長年の論争を背景にしたもので、デザイナーの藤岡建機氏の遊び心を感じます(と、勝手に解釈しています。ひょっとしたらそういう発注だったのかもしれないし)。
というか、あのバーザムがここまで格好良くなるとはなぁ・・
プロポーションだけでなく、キットとしては可動も十分でネタ的なポージングもいろいろとできますし、よいものです。
さて、こうなると次も非ガンダム系の機体のリリースを期待してしまいますが・・ロゼットからのダンディライアンとかⅡじゃないキハールとか、欲しいなぁ。
まぁ、その前にバーザムⅡが来るのは間違いないでしょうが。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
0コメント