今回のレビューは、1/144スケール ハイグレード より、
ガンプラ生誕40周年記念キット、
“HG ガンダム BEYOND GLOBAL” です。
節目節目で発売されるRX-78 ガンダムの1/144スケールキット。
ガンプラ10周年のときに発売された “(旧)HG(ハイグレード)” では多色成型・・いわゆる色プラを採用。
そのHG ガンダムは、のちにHGUC版の発売をもってガンプラ初の絶版となった幻のキットですね。
20周年では、デザイン、プロポーションをPG(パーフェクトグレード)から流用しつつ単色成型で構造も最初期のキット並に簡略化した “FG(ファーストグレード)” が発売。
これは結局ガンダム、シャア専用ザク、量産型ザクの3つで終了してしまいました(それからかなり経ってから、OOシリーズの初期ガンダム4機のFG名義の低価格キットが発売されましたが、それもその4つで終了しています)が。
30周年にシリーズがスタートした “RG(リアルグレード)” は、MG(マスターグレード)、PGも含めたこれまでの技術の集大成として、その名の通りリアルさを追求したシリーズとなり、今なお継続中。
内部フレームがランナー状態で完成しているアドバンスドMSジョイント、金属光沢を手軽に再現できるリアスティックデカールなど、新たな要素も多数生み出されました。
さらに今から5年前、35周年記念企画として始動した “REVIVE(リバイブ)” では、すでにHGUCおよびHG SEEDシリーズで発売されていたキットのリメイクが行われました。
まぁ、これはいつの間にか冠が取れた格好ですが、その後もブルーディスティニーや陸戦型ガンダム、前回レビューしたインフィニットジャスティスガンダムなど、実質的なリバイブキットの発売はなお続いています。
ちなみに、リバイブキット第1号はガンダムではなくガンキャノンでした。これは、1999年(ガンプラ生誕から19年)にスタートしたHGUCの第1号キットがガンキャノンだったからですね。
というか、HGUCのスタートからもう21年も経つんだなぁ・・
ほかにも、周年や、シリーズに関係なく、“オールガンダムプロジェクト” だったり、“ガンプラ エヴォリューションプロジェクト” なんてものもありましたが、だいたいいつの間にかフェードアウトしてる感じです(笑)。
ともあれ、そんなこんなで40周年。今回のガンダム BEYOND GLOBAL・・通称ビヨンダムに至る、と。
BEYOND GLOBAL を直訳すると、世界を超えて・・というような意味になりますが、すでに世界規模で展開しているガンプラ。しかし、ここで満足することなく、さらにその先を見据えていかなければならない! という想いを込めたネーミングということなのかなぁ。
そういえば最近、ガンプラは宇宙にも行ったんでしたっけ?
なるほど。地球の重力に魂を縛られずに宇宙(そら)を見上げていこう、ということか。
レビューしていきます。
キットはパチ組みに最低眼の墨入れ、付属シールでの仕上げです。
なお、撮影環境改善しました。
ただ、如何せんカメラがまだスマホのままなので、照明との兼ね合いでこれまでよりむしろボケた画像になっているところもあったりしますので、ご勘弁を。
まぁ、拡大して見たりしなければ大丈夫だとは思います・・
およそ半年前に発売された、工業デザイナー奥山清行氏率いる “KEN OKUYAMA DESIGN” がプロダクトした “ガンダム G40” ほどではありませんが、アレンジ強め。
小顔脚長の細マッチョで、外装のディティールもほどほどにあり、アニメデザインとは大きく異なる、ここ最近のガンダムのキットのなかでもかなりスタイリッシュなプロポーションになっています。
なんというか、ライザップ後、見たいな感じ?(笑)
個人的に注目したのは太股と脛の長さのバランスですね。
今までのキットでは、太腿に対して脛がかなり長い・・というのがほとんどで、そういった比率はガンダムに限らずロボットアニメではよく見られるパターンなのですが、このビヨンダムでは人間の脚とだいたい同じ比率になっています。
そしてまた珍しいのが色使い。
ガンダムといえばのトリコロールカラーは、総じて淡い色調になっており、とくにホワイトはもうほぼアイボリーです。
なんというか、ガンプラというよりちょっとアートっぽい雰囲気を取り入れた食玩っぽいデザインというか・・
まぁ、色に限ってはMG ガンダム Ver.ONE YEAR WAR 0079 が、こんな感じの色合いだったような覚えがありますが。
とまぁそんなこともあって、今回墨入れはブラウンで行いました。ほかにもオレンジ、ブルーなど、下地の色に合わせて同系色のマーカーで墨入れをしています。
普段そんなこと滅多にやらないんですけどね(笑)。記念だし。せっかくだし。
なお、色分けは1/144スケールの鬼門(?)だった腰のV字までもがパーツ分割で再現されており、ホイルシールはツインアイ用のもののみで、メインカメラ(トサカの前後)すら成型色で再現という徹底ぶり。
さらにこれ、もう小さ過ぎてわかりませんが、頭部のバルカン砲もちゃんと黄色のパーツで分割されています。
まぁ、ツインアイと一体成型なんですけどね。
つまりツインアイも黄色のパーツで分割されているということで、墨入れさえすればもうシールを貼る必要もないかもしれません。
バックパックは2パーツと意外に割り切った構造で、メインスラスターの可動はオミット。
本体の可動性能は、総合的には間違いなく現状の1/144スケールでは最高レベル。
胸部はオリジン版ザクのようなブロック構造になっており、外装ごとわずかに前方へ引き出すことが可能。
ただし、最近主流の肩間接自体の前方への引き出しはできなくなっています。
一方で、腕をそのまま真上に上げることは可能。
しかし、この可動のために肩の外装は一部欠けた状態でフレームが剥き出しになっています。
肘は二重関節。前腕の途中にも可動部があり、回転や捻りが可能。
股関節は左右独立して前後スイングが可能。これまでも同様の構造はありましたが、今回はかなり思い切った可動域になっています。
脚の付け根と太腿の間にも可動部があり、これによって脚を内側に向けることが可能に。
膝はもちろん二重関節。足首も柔軟に動きます。
ソールは一体成型で、爪先と踵の独立可動はできませんが、その分接地性はよく、かなり大胆なポージングでも安定して自立してくれます。
とまぁ、そんな感じで腕部脚部はよく動く一方、胴体部分は思ったほど動きません。
胸部腹部間で前後、左右のスイングは可能ですが、どちらも気持ち程度といった具合。後ろにはまったく反れません。
ここはオリジン版ガンダム、ジム系フレームのほうがはるかによく動きます。
コアブロックシステムの再現をオミットしたわりには・・という印象ですね。まぁ、過去の1/144でもそこはほぼオミットされてるんですが。
首はそれなり反らせることはできます。
総合して、間違いなく最高レベルではあるけれど、決して最高ではない、という・・
付属武装
ビームライフル
このガンダムにて始めて小型化に成功した、MS用の携行式メガ粒子砲。
威力は戦艦の主砲並み! がキャッチフレーズ。
アレンジ強めの本体に較べると非常にシンプルです。
サブグリップ、スコープが可動します。
保持には右銃握り手を使用。とくに固定用のピンなどはありませんが、ぐらつくようなことはありません。
右側面にジョイントがあり、そのまま腰部リアアーマーにマウント可能。
スコープの後ろ側に黄色い軸が突き抜ける仕様はなんか新鮮です。
ビームサーベル
メガ粒子を結束させて斬撃用の武器としたもので、これもガンダムで初めて実用化されたんでしたかね?
通常はバックパック左右側面に1本ずつマウントされますが、今回そこがかなり緩く、すぐポロリします。
一方で、左右の汎用持ち手による使用状態の保持はけっこうフィットするので安定。
サーベル刃はいつもの汎用パーツです。
シールド
赤地に燦然と輝く星(連邦)マークがチャームポイント。
積層構造になっており、とにかく頑丈な本体装甲とが違い、攻撃を受け流す、威力を分散させることを主軸とする防御装備だそう。
とくにギミックはありませんが、星マーク左右のディティールや裏面の構造にアレンジが見られます。
前腕先端の外装の窪みに、カチッと嵌め込むタイプのジョイントで取り付け。さらに後ろ手にグリップを握らせるような格好です。
前腕装甲の回転、さらにジョイントとシールド裏面基部の間で回転させることで装備位置、角度の変更が可能。
グリップは取り付け向きを変えることで展開と収納を再現できます。
バックパックへのマウントはジョイントを外した状態で。
比較画像
HGUC ガンダム(左)、HGUC REVIVEガンダム(右)と並べて。
なお、左のHGUC ガンダムはガンキャノン、ガンタンクを3体セットで発売されたV作戦セットのもので、単体版とは成型色が異なり、追加のマーキングシールも貼った状態になります。
まあ、成型色うんぬんの前にもはやかなり黄ばんでしまっている状態ですが・・
さて、基本的にアニメデザインをブラッシュアップするかたちで設計されただろう両HGUC版と較べると、やはり今回のビヨンダムはかなーり攻めてますね(笑)。
そして脚の比率、違いがよくわかりますね。
でもこのなかだと、やっぱりREVIVEガンダムが1番アニメのイメージに近いのかなぁ・・
僕は、旧HGUCの角張ってる感じも好きですけどね。
以下、画像
アニメデザインとはかけ離れたプロポーションながら、アニメ劇中で見られたような躍動感あるポージングが再現可能というのがこのキット最大のポイント。
いや、実際そんな動きできるわけないだろ、というような体勢を再現するための肩や股関節の可動で、まさしくプラモ的な仕様です。
なので、ある角度から見ると凄く自然で格好いいポーズでも、別の角度から見ると、脚の生えてる位置おかしい! というようなことがあります。
要は見てはいけない角度がある(笑)。
もっとも、それは今に始まったことではないんですけどね。
ビームライフル装備で。
ラストシューティングっぽい感じでも。
ここはやはり、もう少し胴体が反れればなぁ・・という思いも。
サーベル装備で。
前腕の途中で捻り、回転が可能なので、振り下ろす、薙ぎ払うといったサーベルの軌道がなんとなく見える気がします。
平手が左のぶんしか付属しないのは残念。
REVIVEだと両方付いたのに・・
徒手空拳で。
インジャばりの蹴りポーズもばっちり決めてくれます。
ついつい妙なポーズをとらせたくなる・・(笑)
最後に月が地球をバックに、戦闘を終えて帰還してくるような雰囲気で締め。
以上、“HG ガンダム BEYOND GLOBAL” でした。
この40年の間に、1/144スケールだけでもいったいどれだけの数の “ガンダム” のプラモデルが発売されたのか・・
僕なんかはもちろんすべてを網羅できてはいませんが、それでも最初に挙げた周年記念のキットはすべて組んでいますし、HGUC版とそのバリエーション、Ver.G30thなど、今思い出せるだけでも確実に10個以上は持ってますね。
まぁ、息の長いシリーズですし、ファンの層も厚い・・というか深いので、みんなそれぞれ理想のガンダム像があるとは思うのですが、果たして今回のビヨンダムはどういうふうに受け止められているのか・・
僕個人はガンダムそのもののデザインにそれほど強いこだわりはないのですが、やたら細身でディティールが細かいデザインよりは、少しがっしりしているというか、腕はちゃんと長方形の箱型で、脚はわりとむっちりしてるくらいのほうがガンダムらしい気がします・・って、十分こだわってんじゃねぇか!(笑)
そういう意味では先にも言いましたが、HG REVIVE ガンダムが僕のなかでのイメージには1番近いかと。
今回のビヨンダムについては、公式画像などを見ていただけの段階では、顔付きもなんか悪そうだし、色味含めてまたなんでこんな尖ったアレンジにしたんだろう? と思っていたんですが、実際に手に取ってみると、そこまで違和感はありませんでした。
単体で遊ぶぶんには、可動の妙も含め、ネタ的な意味でも楽しめるアイテムになっているかと思います。
一方で、10周年ではHG、20周年ではFG(3つで終了してしまいましたが)、30周年ではRGといずれもシリーズかを意図したものが発売されたわけですが、今回のBEYOND GLOBALはあくまで記念の一点モノという印象です。
可動こそ1/144スケールでは最高クラス(決して最高ではない)ではありますが、新技術、新要素と呼べるようなものもなく、正直地味な印象は拭えません。
だから、ちょっと見ためだけでも変えてみようかという感じでこんなアレンジになったのかなぁ・・という気もしますが、半年前にそれこそ見ためがかなりの変化球だったG40が発売されていますし、なんでまたそれとは別に40周年記念アイテムとして今回のBEYOND GLOBALを世に出したのか、よくわからない部分もあります。
まぁ、新技術、新要素に関しては、もはやガンプラにまったく新しいナニカが加わる余地はないのかもしれません。
今後は、これまでに培ってきたものをさらに研鑽していくくらいしかないのかなぁ・・とか思いながら、それで十分だから、ガンダムばかりじゃなくてもっといろんなMSをキット化してほしい、というのが個人的な本音ですね。
基本パチ組み勢なので、最低限のシールを貼るくらいで色分けはほぼ再現、そこそこ動いてくれて自立は安定し、設定上のギミック(武装、変形など)は差し換えでもいいのですべて再現・・してくれてたらなにも言うことはないんですが・・って、十分注文多いし。
で、最終的にプロポーションが-、とか言うんだろうな、こいつ(僕)ww。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
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