V.F.G. VF-31D スクルド レビュー

 今回のレビューは、ノンスケール ヴァリアブルファイターガールズ より、

“V.F.G. マクロスΔ VF-31D スクルド” です。


 マクロスシリーズの代名詞でもある可変戦闘機、VF(ヴァリアブルファイター)と少女とを融合させたアオシマの新境地、V.F.G.(ヴァリアブルファイターガールズ)に

“マクロスΔ(デルタ)” で活躍するVF-31の練習機、

“VF-31D スクルド” が登場しました。


 まぁ、発売されたのは夏だったわけですが・・ここしばらくガール成分が足りなかったので、年内に補給ということで(笑)。

 ただ正直、V.F.G.は第1弾のジークフリード(初期ロット)が少々難アリだったので、もう手に取ることはないかな・・と思っていたんですが、アイテム数を重ねるなかで徐々にバージョンアップしているとのことなので、今回手淋しさもあって購入してみた次第です。

 もっとも、進化を実感するならば今日(?)発売のメサイアをこそ選ぶべきなんですが、あちらは肝心のガールのデザインがあまり好みでなかったので・・

 さらに本音を言えば、スクルドよりもカイロスのほうが欲しかったんですが、高騰してたのでこちらで我慢。

 ちなみに、僕はマクロスシリーズにはあまり詳しくありません。

 これまで観た作品は、劇場版の “超時空要塞マクロス 愛・覚えていますか” とOVAの “マクロスプラス” 、そして “マクロスF(フロンティア)” のTVシリーズと劇場版くらいです。

 今回のスクルドやジークフリードの出自であるΔはまだ観ていません。

 友人知人にも薦められているんですけどね。 なかなか機会がなくて・・いずれ観たいとは思ってます、はい。


 では、レビューしていきます。

 キットは素組みに最低限の墨入れ、一部塗装と付属のシール、水転写デカールでの仕上げです。


スクルドガール

 まずはガール素体から。

 特定のキャラクター(デルタに登場の女性キャラ)がモデルというわけではなく、今回はΔの舞台の1つである惑星ヴォルドールの先住民族、ネコ型哺乳類から進化したというヴォルドール人をモチーフにしたオリジナルデザインになっています。

 白スク水のネコ耳娘です。

  頭部以外、ほとんどのパーツがジークフリードからの流用ですが、造形やプロポーションはご覧の通りの高水準。組みやすさや強度、安定性含めてかなりよくできたキットだと思います。

 ガール系キットの雄、コトブキヤのそれに喩えるなら、メガミデバイスよりはFAGに近く、可動よりも見ため重視といった感じ。ムッチリ感が絶妙なラインです(笑)。

 肌色のパーツがかなりツヤツヤなのがちょっと気になります。髪と併せて艶消しを吹いたほうがよかったかな・・

 しかし、ガール系初挑戦(ジークフリードの段階で)でこれだけのものを作ってしまうのは、さすが老舗の底力といったところでしょうか。

 そんなわけで、キットそのものの出来にはなんら問題なし・・そんなV.F.G.のどこに難があったのかというと、色分け。

 そもそもマクロス・・とりわけVFといえば実際の戦闘機さながらの複雑なカラーパターンの機体が多く、キット化に際してその再現はどのメーカーでもほぼデカール頼りになる・・というのが僕のイメージでした。

 V.F.G.でも、のちほど紹介するVF、そしてこのガール素体ともに成型色でのカラー再現はある程度の範囲に留まっており、ただ組んだだけでは多くの部分で色が足りません。

 とはいえ、そんなことはそれなりにプラモ経験のある人ならわかりきっていることなので、そこはとくに問題ではありません。

 V.F.G.各種のパッケージには、実際に封入されるカラー再現用のシールの画像まで載せてあり、むしろ親切とさえいえます。

 問題なのは、そのシール。

 第1弾のジークフリードに付属のシールは薄いビニールのような素材で、とにかく粘着力が弱いうえに透過性があり、下地のパーツの色がうっすら透けてしまうような代物でした。

 このV.F.G.自体が、アオシマが新規客層獲得のために捻り出した一種の懸けだったと思うのですが、同時にプラモ初心者へのアプローチとしてこれまでは水転写デカールを採用していたところをシールにして敷居を下げた・・つもりだったのでしょうが、件のシールを綺麗に定着させるほうがむしろ難度が高い、というまさかの逆効果。

 ただ、膨大な数のシールは成型色でカバーしきれないカラーリングをほぼほぼフォローしており、それこそシールでなく水転写デカールだったら・・と思ったモデラーもいたことでしょう。全塗装派には端から関係ない話ではありますが。

 なんにしても、そんなシールへの不満はけっこう大きな声になったようで、どのタイミングかはわかりませんが、より粘着力の高いホイルシールに変更されることなりました。

 なので、今回のスクルドに付属のシールもホイルシールとなっています。

 なるほど粘着力は増しましたが、耐久性には不安があります。そしてなによりホイルシールならではの艶感のせいで、面積の大きな部分に貼ると一気にオモチャ感が出てしまうという、また新たな問題が・・つくづくシールに悩まされるシリーズです。

 ポイントを限定して使うぶんにはホイルシールもアリだとは思うんですけどね。まぁ、綺麗に仕上げたかったら素直に塗れ! と(笑)。

 だから塗りましたよ。あくまで設定を参考に、完全再現はしていませんが。あと、ちょっとだけシールも貼りましたけどね。

 で、面倒臭がりの僕は筆塗りの際はあまりマスキングをせず、はみ出したときは溶剤を含ませた綿棒で拭いたり、ナイフでこそいだりして処理することが多いんですが、このスクルドの白色成型のパーツが異様に色移りするのには困りました。

 なんだろうなこの素材? 質感も硬いゴムみたい(だいたいのパーツがそんな感じなんですが)で、柔らかいからゲート処理は楽だったんですが、墨入れでもインク流したあとに拭き取ったら周り一面グレーになるし・・最終的にメラミンスポンジで磨いて、ようやく見られる程度に綺麗にはなりましたが。


 文字ばかり多くすみません・・


 気を取り直して、

 表情パーツは3種類。

 おすまし顔に、

 猫口顔、

 そして涙目の叫び顔が付属。

 さらに、デフォルトの右目が隠れる前髪以外に両目が見える前髪パーツも付属します。

 瞳は左右で色の違うオッドアイ。

 フェイスプリントは最近のコトブキヤキットなどと較ると輪郭線がくっきりとしていて、イラストっぽさが強い感じ。肌色パーツの艶感も相まって、若干のっぺりした印象を受けます。

 まぁ、可愛さは十分なレベルです。やはり猫口顔が眉毛の角度を含めて秀逸。


 尻尾は腰のアーマーの表面に取り付ける(イメージとしては中央の穴を通している)のがデフォルトですが、スタンドを使ったディスプレイがしたいときなどは専用アタッチメントと差し換え、アーマー内側に付け直すかたちになります。

 アーマーは取り外し可能。

 もちろん、直に尻尾を取り付けることもできます。ただ、取り付け穴の径が違うのでアーマーに付けるものとは別の専用パーツになります。

 曲がり具合も微妙に違うし、なんでこんな非効率なことに・・

 ちなみに、ジークフリードでは腰アーマーの取り外しは考慮されておらず、お尻にはめ込み用のピンが生えていましたが、金型改修により綺麗なお尻になっています。

 アーマーの接続はジークフリードではバトロイド形態時に使う腰のジョイント穴(画像では蓋をしています)に新規のアタッチメント(黒いパーツ)を挟むかたちになりました。

 ただ、なぜか骨盤の辺りから横に生えているピンはそのままだったので、それは切り落としています。なくてもなんの問題もありません。

 むしろサイドアーマーの可動に制限がなくなるので効果的。


 尻尾パーツ。

 一番上のものが素体に直接付けるもの、真ん中がアーマーを介して付けるもの。ご覧の通りジョイントの径が違います。

 一番下のものはパーツ番号もなく、説明書にも一切言及がない謎のパーツです。

 ランナーと一体化しているので見落としそうになりますが、先端がボール状になっており、3㎜穴に取り付けられます。

 ちょっと短いですが、威嚇状態の尻尾として使うことにします。


VF ファイターモード

 この状態ではガールと完全に独立しており、ちょっとデフォルメされた航空機モデルとしても楽しめる感じになっています。

 ジークフリードをより戦闘任務に特化した仕様に改修した一般機、カイロスの練習機、スクルドを再現したものになります。

 主翼が前進翼からデルタ翼になったことを除き、形状はほぼジークフリードと共通です。

 ベージュとオレンジというカラーリングは、マクロスにおける練習機、テスト機のはお決まりなんですかね。

 キットでは、一部同じランナーが色違いで2枚入っていますが、やはりそれだけではすべてのカラーパターンを再現することはできず、主にオレンジの部分をシールで補うかたちになります。

 ただ、シール貼り付け面積はジークフリードに較べてぐんと減っていますし、先にも言ったように素材の変更で粘着力もアップしているので指定通りに貼ってしまっても、少なくともジークフリードのようなのちのちのストレスは少ないと思います。

 今回、僕はごく一部を除いてシールは貼りませんでした。オレンジの面積が少なくて少々地味ですが、これはこれでいんじゃないかな、うん。いっそ全部ベージュで組んでもよかったかも(笑)。

 コクピット周りや各部ダクト、ガンポッドの先端などはブラックで塗っています。フォールドクォーツはクリアパーツのものを使いました。

 また、機首と主翼、エンジンナセルカバーには水転写デカールを貼り付けています。主翼のみ指定のデカールと違いますが、猫のマーキングが可愛かったので。ちなみに僕は犬派です。むしろ猫は嫌いです(笑)。

 なお、このデカールがまた粘着力が弱く、なかなか定着しなかったことも付記しておきます・・

 底面には3㎜穴があり、スタンドを使ったディスプレイも可能です。本商品にスタンドは付きませんが(笑)。

 

VF ガウォークモード

 VFといえばの中間形態。

 サイズがサイズということもあって完全変形とはいかず、組み換えでの再現となります。

 腕部と太腿にあたるパーツを追加。さらに上面にガール用のグリップパーツを取り付けて完成です。

 手首付け根のパーツは本来ベージュですが、オレンジにしてみました。

 膝関節は固定されており、脚部の可動は根元の回転軸のみなので接地性は微妙。スタンドを使ったデスプレイを基本としたほうがよいと思います。ただ、本商品にスタンドは・・


 今回は複座式の練習機の再現ということで、ガールのタンデム搭乗が可能なようにフットペダルが新規のものになっています。

 猫の足跡(肉球)がモールドされているのが可愛い。こんな、普通はほとんど見えない部分にも手が込んでいます。

 白いラインのシールがずれてしまってますね・・


 ガール搭乗。まずは一人で。

 フットペダルの突起で踵を固定できるので、グリップを握らせなくても搭乗姿勢はわりと安定。


 タンデムで。

 窮屈な感じはありません。

 後ろのコも、フットペダルと踵の接続だけでほぼ問題なく安定します。


ガール+VF バトロイドモード

 ガール素体がVFをアーマーパーツとして着込んだ、V.F.G.の完全体。

 専用のジョイントパーツを追加してガール素体でVFを背負うような格好で、エンジンナセルカバーをブーツのように履いています。さらにガールの腕とVFの腕部を併せて4本腕状態に。ガウォークモードではシートになっていたコンテナブロックはこの形態では余剰になります。

 画像では隠れてしまっていますが、尻尾は付けたまま合体可能です。

 おおまかには昔ながらのパワードスーツのデザインがベースですが、ウイングと機首からなる背面ユニットのおかげで独特のシルエットになっています。

 重心が後方に偏りがちですが、自立は問題なし。少なくとも現状では(こんなことばかり言ってる気がするけど・・)。

 背部パーツの2点固定はジークフリードから変わっていませんが、腰のジョイントがガールの腰アーマーの取り付けに使う新規アタッチメントパーツ上部のハート状のもの変更され、わずかながら上半身を捻る動作ができるようになりました。

 さらに腕部や肩アーマーの取り付け方法も変更され、ガールの腕周りの可動域が増しています。

 VFのハンドパーツには握り手のほかに平手が追加されていますが、相変わらず手持ちの武器などは付属しません。ガンポッドやアサルトナイフくらい付けてくれてもいいのに。

 手持ちの武器がないため、当然穴空きハンドパーツもないので、ほかのキットからの武装の流用も難しい状態です。


比較画像

 すでにワンカット登場済みですが、第1弾キットのジークフリードと、各形態で。

 なお、我が家のジークフリードは初期ロットのもので、付属のシールはすべて貼った状態になります。

 部位によっては粘着力がほぼなくなり、テロンテロンになっていますが、あえてそのままにしてあります(笑)。

 まずはガール素体で。

 頭部以外はほぼそのまま流用されていますが、先にも言ったように一部金型が改修されています。

 肉感的なプロポーションは最初から完成されていますね。本当、色分けさえ気にならなけば(シールさえ貼らなければ)よいキットです(笑)。

 なお、表情パーツには互換性があります。スクルドガールのパーツの側面にも穴が空いているので、ちゃんとジークフリードの横髪も取り付けられますよ。


 金型改修の成果がこちら(笑)。

 ただ、横向きに生えているピンはそのまま(画像のスクルドでは切りとっています)です。


 VFのファイターモードで。

 カラー以外の変更点は主翼の先端と垂直尾翼、カナード翼とウイングのみに集中しており、本体の形状はまったく同じ。

 それにしても、あらためてジークフリードはシール頼みですなぁ。


 ガウォークモード、搭乗姿勢で。

 この形態での変更点はとくになし。フットペダルがタンデム可能な新規パーツになっているだけですね。


 バトロイドモードで。

 こちらもシルエットに大きな変化はなし。

 しかし、先にも言ったように背面ユニットや腕部、肩アーマーの取り付け方法が変わっており、わずかながら可動性能が向上しています

 ただ、肩アーマーに関してはジョイントパーツがボール接続になったことで横に開けるようになった反面、上下の可動域は狭まっています。

 なお、ジークフリードの膝の保持力がガタ落ちで、この状態で立たせるのは至難の業でした・・

以下、画像

 まずはスクルドガール単体で。

 肘と膝の可動は90度ほど。股関節は下向きにスライドし、付け根の可動域が若干広がります。

 首、そして胸部から腹部の可動はガウォークモードでの搭乗時に自然に反って前を向ける程度。

 逆に前向きに曲げる動きは苦手です。

 この画像の右手のハンドパーツ、上向きでなにかを受け取る、あるい捧げるような雰囲気のかたちなんでが、なにか元ネタがあるんでしょうか? 左はなくて右手のぶんだけなんですよね。


 VFのファイターで。

 当然、ガウォークモード用のグリップはこの形態でも取り付けられるので、こんな乗り方も可能。


 ガウォークモードで。

 この形態で脚部の可動が制限されるのは、ガールの脚の置き場に困るからですかね。
 コンテナブロックをシートとしてそこに完全に座るかたちにすれば、もう少し自由度もあったのかも。

 ジークフリード教官の熱血指導に涙目のスクルド候補生の図。

 ただ尻尾を握られて痛いだけかもしれない(笑)。


 バトロイドモードで。

 実際のところ、可動性能の向上はわずかなもの。

 それよりも評価すべきは、この形態でもスタンドディスプレイが容易になったことでしょう。

 ガールの腰アーマーに取り付けるアタッチメントで3㎜軸の汎用スタンドが使用可能になりました。ただ、アタッチメント自体の取り付け軸が短く、けっこう簡単に外れる点は注意です。

 パッケージイラストの雰囲気で。


 以上、“V.F.G. VF-31D スクルド” でした。


 手淋しさに買って組んでいて、とくにレビューするつもりもなかったんですが、ちょうどネタ切れしたこともってどうせなら、ということで駄文を綴ることにしました。

 最後まで付き合っていただいた方には、正直申し訳ない気持ちもあったりなんかして・・(笑)


 さて、実に1年半振りのV.F.G.ですが、なんだかんだでいいキットですね。

 今回は端から設定カラーは気にしないことにしたので、ほぼストレスなく組めました。

 ガールに航空機、そしてロボットと、1箱で3度美味しいボリューム満点のキットです。

 と、ここまで書いてから過去のジークフリードのレビューをあらためて読み返したのですが、けっこう同じようなこと書いてる(笑)。

 まぁ、一貫しているということで大目に見てください。


 ジークフリードの初期ロットから金型回収やパーツ追加、シールの素材変更などいろいろと修正を続けてきた流用キットもこのスクルドで最終形となるのでしょうか。

 最新作のVF-25S メサイアは、ざっと見たところ完全新規に近いキットのようで、これまでのVF-31シリーズからのフィードバックはもちろんのこと、可動性の向上や手持ち武装の追加など、かなり充実した内容になるもよう。シールの仕様がどうなってるのかだけは気になりますけどね。

 とりあえずはオズマ機がモチーフになっています(なんで主人公のアルト機じゃないんだろう?)が、これもきっと各種バリエーションが発売されることでしょう。手持ち武器の概念が加わったことで、機体形状やカラーだけでなく付属品でも差別化がされそうな気がします。

 狙撃仕様のミシェル機や、電子戦仕様のルカ機モチーフのキットが出たら買おうかな。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 退屈と惰性と

    2020.01.15 04:18

    @てっさん教えていただきありがとうございます。 F観てたけど、ぜんぜん覚えてないや・・
  • てっさん

    2020.01.14 00:26

    謎の右手は、Fの主人公アルトが、手を飛行機に見立てて動かしていたあのポーズの再現用なのではないでしょうか。Δでそのシーンを誰かがやっていたかどうかは憶えていないのですが。