今回のレビューは、1/35スケール ZOIDS ゾイドワイルド より、
“ZW33 ジェノスピノ” です。
帝国所属の水陸両用大型ゾイド、
“XL型 スピノサウルス種 ジェノスピノ” が、
今年最後の大型アイテムとして、クリスマス商戦のトップバッターを飾ります。
・・にしても早くない?
ファーストシリーズでも、アニメ前作のラスボスとなる “デスレックス” がクリスマス前に発売されましたが、あちらは12月に入ってからでしたし、その前にアニメにも登場していました。
しかし今回のジェノスピノは、アニメではまだ発掘前の地層に埋もれた状態でちらっと出てきただけ(だったはず)で、そこに11月上旬発売というのは・・いくらなんでも早過ぎでは?
まぁ、なんかいろいろと大人の事情があるんですかね。個人的には、デスレックスや覚醒ワイルドライガーのときみたいに発売日とナンバーが前後しなかっただけでもいいか、という気持ちもあったり。
ちなみに12月発売アイテムの情報も解禁されましたが、その “ドライパンサー” はクリスマスが過ぎた26日の発売になっています。
また流用、そしてさらに価格がアップしておりますが、それはともかく・・いつもは土曜日発売なのに、年末ということで木曜日の発売になってますね。だったらもう一日繰り上げてまさにクリスマスに持ってこれなかったのか? そっちは流通上の事情があるんですかね。
話が逸れました(いつものこと)。
今回のジェノスピノ、モチーフはその名の通りスピノサウルスということですが、いやはや、スピノサウルスもティラノサウルスと並ぶ肉食恐竜の代表格としてすっかり定着してきましたね。
僕が子供の頃の恐竜の復元図は、いわゆる怪獣的なプロポーション、スタイルで描かれていて、とくにティラノサウルスやイグアノドンのような主に二足歩行をしていたとされる恐竜はすべて尻尾を地面に下ろして引き摺るようにして、ほぼ直立の姿勢で歩いていたとされていました。
それが、今ではティラノサウルスに代表される肉食の二足歩行恐竜は頭と尻尾が水平位置にくるくらいの前傾姿勢が本来の姿とされ、イグアノドンなどの草食恐竜は、むしろ普段は四足歩行をしていたような姿が正しかったことに。
またちょっと脱線してますが、スピノサウルスもそんな感じで昔はディメトロドンをただ直立させたような姿で描かれ、確かに大きな背ビレにインパクトはありましたが、特徴というとそれだけで、わりと地味な印象の恐竜でしかありませんでした。
それを一躍スターダムに推し上げることになったのが、ハリウッド映画、ジュラシックパーク3。
そこでスピノサウルスは、その頃すでに定着していた前傾姿勢でティラノサウルスを超える巨体にワニのような細長い頭、そしてもちろん背中には大きな帆と、それまでの常識を覆す衝撃的なビジュアルで登場し、かつての恐竜好き少年たちの度肝を抜いてくれました。
ゾイドもそんなスピノサウルスをモチーフとしていち早く取り入れ、映画公開後およそ半年で新解釈の姿を見事に再現した大型ゾイド “ダークスパイナー” を発売しています。
ちなみに、映画公開の4ヶ月ほど前には旧来の怪獣スタイルのスピノサウルスをモチーフにした小型ゾイド “スピノサパー” が発売されています。どちらもアニメ放送を機に復活した第2期における新作アイテムで、当時の開発の反応の早さというか、意地のようなものを感じずににはいられません。
そんなわけでスピノサウルスモチーフとしては3作めとなるジェノスピノ、アニメでの登場に先駆けて堪能させていただきます。
動力ユニット
ブラストギミックの基部やライトギミック用のLEDが内蔵されたメインユニット。
セカンドシリーズでもXL型はモーターユニットとギミックユニットをあらかじめ組みつけた仕様になるようです。まぁ、このあとセカンドシリーズ中にXL型の新作が発売されるかどうかはわかりませんが・・
モーターユニットの外枠の形もこれ、新規ですかね。
今回はこのメインユニット以外にも、
上下の軸が連動して回転する後脚基部のパーツや、
メイン武器となるジェノソーザーの基部や支柱も内部にギアなどが組み込まれた組み立て済みパーツになっています。
しかし、そもそもゾイドというキットシリーズは(コアとなるモーターユニットはともかく)こういった部分を実際に自ら組み立てていくことで動力伝達の仕組みなどを理解できる、良質な知育玩具でもあったと思う(持ち上げすぎか?)んですが・・すでにある程度できあがったものを与えられて、じゃあその仕組みはどうなってるんだ? と確かめようとする子供って、今どれくらいいるんだろう?
ボーン復元
さすがにXL型。でかいです。そして重いです。
硫酸海の深い海底に埋まっていた・・という設定もあっての真紅のボーンパーツということなのでしょう。
既存のシリーズアイテムのボーンパーツの多くが黒かグレーというなか、ボーンに色が付いているだけでもう特別な存在ということがよくわかります。同様にボーンが紫色だったギルラプター指揮官機も希少種ということでしたしね。
でも、伝説の存在ということになっているワイルドライガーやその系譜であるはずのビーストライガーは、普通に黒いボーンだったな・・
おそらくはラスボスでXL型、そしてその姿勢、フォルムから、てっきりデスレックスの流用かと思っていたんですが、実際には完全新規でした。
ブラストギミックがまったく違うので、胴体部分はともかく、手脚くらいは流用してくるかと思ってたんですけどね。さすがにラスボスで流用はないか。なお主人公機・・
1番の特徴である背中の帆については、まだ骨組みだけの状態ですがすでにしっかりと存在感があります。
一見ワニのように見える長い口を持った頭部の造形もなかなかにリアル。湾曲した上顎に鋭い牙がびっしりと並んだ様は迫力満点。
腕部は爪の部分が分割されていますが、残念ながら可動はしません。
ブラストギミック内蔵の都合もあって若干首が太短いですが、ここまではモチーフ本来のしなやかなシルエットの再現にはまずまず成功していると思いますが、その全身を支えるための後脚のせいで最終的なシルエットがデスレックスと大差ないものになってしまっています。
要は、後脚が太短い。これではパッと見でデスレックスの流用と勘違いしてしまうのも無理はない(正当化)。
ただ、モーターの主回転軸が左右一対のみ、かつ1パーツ成型の脚部2本のみでこれだけの巨体を歩行させるためには、この太さ、短さでなければバランスがとれないのでしょう。
旧シリーズでも、二足歩行恐竜型の大型ゾイドの後脚はボリュームのあるものがほとんどでしたし、ある程度は仕方のない部分ではあります。しかし、今回のワイルドシリーズではほかのゾイドたちがわりとリアルなプロポーションになっているだけに、このジェノスピノやデスレックスのデフォルメ感が悪目立ちしてしまった感があります。
復元完了
外装と武装を取り付けて復元完了。
真紅のボーンに漆黒の外装という、デスレックスとは真逆のカラーパターンとなっています。
頭部外装には格闘用の衝角(ノーズボーン)が備わっており、すスピノサウルスらしい顔付きではなくなってしまいました。まぁ、ワイルドシリーズではありがちなことですが。
一方で背中の帆にはノコギリの刃が追加されたことでより目立つ格好になり、まぁスピノサウルスには見えるかな、という感じです。
実際のスピノサウルスが水辺で暮らしていたのではないか・・(ジュラシックパーク3公開時には、まだその節は一般的ではありませんでした)という説に則って、今回は水陸両用機ということになっており、尻尾の外装には魚の鰭のような突起が見られます。
そう思って頭部に目を戻すと、どことなくサメのような雰囲気もあって面白いです。
ZOバイザーはもちろん塗装再現・・
射撃武装としては水中用に背部にA-Z魚雷ランチャー、上陸してからの対地、対空用に脚部側面にA-Zロングレンジキャノンを装備。
背中の帆・・通常時は折りたたまれて収納されているメイン武器のジェノソーザーは、実は機体の中心線ではなく右寄りに固定されています。
ソーザーの基部が支柱の右側にある回転軸に取り付けられており、支柱が機体の中心に近い位置にある(完全に中心ではない)ために、そのまま収納すれば当然この位置にくるわけです。
支柱の位置をずらすなり、いっそ左右に2枚のソーザーを付けるなりすればバランスもとれたとは思いますが、このアシンメトリーなところが、無理矢理改造された感があって今回の世界観に合っている気がします。
まぁ、開発側はそこまで考えていたかどうかはわかりません。単に軸をずらすのが面倒だった可能性もあります(笑)。
なお、この一連のブラストギミック絡みの構造ゆえに、多くのゾイドで定位置となっている首後ろにライダーの搭乗席を設けることができず、
ライダーはこれまた右側にずれるかたちで肩の外装と一体化した搭乗席に跨がることになります。フィギュアもこれまでのL型以上で共通だった着座タイプではなく、もっとも数の多いジョッキータイプになっています。
ライダーの顔の位置にモニターもしくはターゲットスコープのようなものが造形されているがいいですね。
なお、アニメではライダーはゾイド搭乗時、電磁シールドのようなもので保護されている描写がありますが、キットでは相変わらずそういったフォローはなし。これで水底を歩くというんだから、ライダーにも酸素ボンベとか、相応の装備が必要になってきますね。
頭部外装を外すと、例によって色の失われたアイパーツが。
本来の頭部形状と相まってなんとも愛嬌のある顔付きに、悲哀を感じずにいられません。
マシンブラスト(兵器開放)形態
背中の帆が前方に展開して巨大な回転ノコギリとなるマシンブラスト形態。
背部左側にあるスモークディスチャージャーが切り替えスイッチになっており、それを押し込むことでロックが外れ、支柱が跳ね起き、同時に半分にたたまれていたジェノソーザーが円形に展開します。
このジェノソーザーを高速で回転させ、対象を粉砕するのが兵器開放技 “殲滅破壊(ジェノサイドクラッシャー)” 。
ともあれ、こういった展開形ギミックの常でキット的には非常にリーチが短いです(笑)。
ソーザーは独立した8枚の刃の集合体になっており、それぞれの基部にはバルカン砲(ソーザーバルカン)も備わっています。
この状態で撃ったら自分にも当たりそうですが。
改造計画書
スティレイザーで初めて改造武器セットとの組み合わせのみで再現可能なプランが提示され、今後も少なくとも一方はそういうかたちになるのかな、と思っていたんですが・・
両方ともがっつり外装の形状も変わってる・・つまり今まで通り。
中途半端に武器セットのパーツを使ってるところなんか、もうどういう感覚なんだか・・
電動アクション
ボリュームのある後脚での歩行と連動して口が開閉し、前脚が前後に、尻尾が左右に振られます。
後脚は組み立て済みの連動ユニットの効果でゆっくりと大きく動くので、機体の巨大感が感じられます。
そしてこの状態で切り替えスイッチを押し込むと、ジェノソーザーが展開、回転すると同時にライトギミックも発動。口腔内のA-Z高熱火炎放射器が赤く発光します。
まぁ、肝心のジェノソーザーが例によって設定ほどの高速回転はしない(そもそもあまりスムーズに回転しない)ことや、火炎放射器は点滅ではなくずっと光っていること、さらにその火炎放射器のパーツと1体でクリアパーツ成型になっている頭頂部のトサカパーツにまではLEDの光が到達しないことなど、いろいろとツッコミどころはありますけどね。
ともあれ、これまでL型以上のゾイドは通常形態からブラスト形態への変形が電動アクションと完全に連動しており、通常形態による歩行 ⇒ 立ち止まってのブラスト発動 ⇒ 通常形態に戻って歩行再開・・を繰り返すという仕様でしたが、ジェノスピノでは多くのM型以下のゾイドと同様に変形を手動にしたことで通常、ブラスト両形態で歩行し続けられるようになりました。
変形もスイッチ1つで可能なので、動画のように歩行途中でもワンタッチ(というほどスマートにはできませんでしたが)で切り替えられるのは画期的。
さすがに通常形態に戻すときは一旦止めないと難しいですが、個人的にはおおよそ希望していた仕様になってくれて嬉しいところです。
比較画像
旧シリーズより、同じスピノサウルスモチーフのダークスパイナーと。
ダークスパイナーは、ギミックの都合もあってか旧シリーズの二足歩行恐竜型ゾイドのなかでもとくに後脚の長い機体なので、プロポーションの違いは歴然。頭部や帆の形状も含め、ジェノスピノよりも断然スピノサウルスらしいです。
というか、ダークスパーイナーは第2期の新作アイテムのなかでもデザイン、ギミックともに最高レベルだと思います。でもアニメには登場しなかったんだったけかなぁ?
ダークスパーイナーにも、頭部を下げ、腰を高く持ち上げた状態で背中の帆を展開する、ジャミングモードという特殊形態があります。
この形態では電動スイッチを入れても歩行はせず、背中の帆・・ジャミングブレードを左右に揺らす動きのみを行います。なお、通常歩行時もジャミングブレードは動きます。
こういったギミックが、今のワイルドシリーズに繋がっているわけですね。
この2機もこの状態で並べるとシルエットが似ています。
ダークスパーイナーは基本的に電子戦に特化したゾイドで、旧シリーズではほかにディメトロドンやゲーターといったディメトロドンモチーフや、ゴルドス、ゴルヘックスといったステゴサウルスモチーフなど、とくに背中に特徴的な突起などを持っているものはそれをレーダーに見立てるというパターンが多くありました。
ワイルドシリーズでも、やはりディメトロドン種のディメパルサーにその役割が与えられていましたね。
しかし一方で、ステゴサウルス種のステゴゼーゲは背中の板をノコギリに見立てた格闘戦重視の機体することで、旧来のパターンから脱却しています。
ジェノスピノも、そんなステゴゼーゲに倣った感があります(同じくノコギリだし)が、実はダークスパイナーの発売から遡ること9ヶ月ほど前に発売されたスピノサパーでは、帆にあたるパーツはアーム接続でフレキシブルに動くチェーンソーになっており、そちらからの着想もなくはない、という感じです。
デスレックスと。
先にも言いましたが、カラーパターンが逆転しているのが印象的。
ボリュームはだいたい同じくらいです。シルエットも、だいたい一緒でしょう? 頭の大きさは較べものになりませんが(笑)。
ちょっとわかりにくいので、真上から撮った画も。
意外にも、頭部の長さはほぼ一緒だったりします。
射撃武器を一切持たないデスレックスに対し、遠・中距離射撃武器を備え、おまけに水中でも活動可能と総合力ではジェノスピノが一歩有利という印象。
ビーストライガーとのサイズ感はご覧の通り。
接近戦でガチンコ勝負だったファーストシリーズのワイルドライガーとデスレックスと違い、依然として裸一貫のビーストライガーでは死角なしのジェノスピノに現状どう考えても勝ち目はなさそうですが・・
今回、主人公機のパワーアップはどうなるんだろうなぁ?
待望の後継機が来るのか、それともファーストシリーズ同様に覚醒Ver.を出すのか、それとも改造武器セットによるカスタマイズでお茶を濁すのか・・
以下、画像
ロングレンジキャノンの口径が久々に5㎜だったので、お馴染み(笑)のトランスフォーマー シージ ジェットファイヤー付属のエフェクトパーツの取り付けが可能です。サイズ的にもぴったり。
ただ、ロングレンジキャノンは裏側ががっつり肉抜きされているので、あまり煽りで撮ると残念な気持ちになりますね。
ジェノソーザー展開!
ソーザー基部の展開はスプリングギミックになっているので、仮に通常形態からブラスト形態への変形が電動アクションと連動していた場合、ライガー系と同じく数歩歩いたところでブラスト、以降はブラストしっぱなしで歩き続けるというパターンになっていたかと思います。
ジェノソーザーの支柱の本体への取り付けは六角のジョイントになっているのですが、それぞれにダボがあり、取り付け方向が固定されています。しかし、そのダボを削ってしまえば、60度刻みで向きを変えて取り付けることができるので、画像のように水平方向に取り付けてソーザーを横向きに回転させることも可能なはずです。
実際にはパーツを削りたくないのでやってません(画像ではかっちりとははまっていません)が。
もちろん、デフォルトの向きで取り付けなければ収納はできませんし、勝手な向きに取り付けて破損した、と文句を言われても敵わないないので、基本は固定式にしたんでしょうか。
ならばそもそもジョイントを六角になんてしなければいいと思いますが、そこは上級者に向けての1つの提案だと思うことにします。
VSビーストライガー
アニメでも中盤あたりに登場、圧倒的な力を見せつけて去っていくという、お決まりのパターンだろうと思いますが、今のところ主人公サイドのゾイドはガトリングフォックスも含めて3機しかいませんし、前作でフリーダム団とシュプリーム団の混成チームを退けたデスレックスほどのインパクトは残しにくいような・・となると、共和国の正規軍なり基地なりを1機で壊滅させる・・くらいのことをしてくるかもしれません。
互いのブラスト技で激突!
ていうか、その角度だと激突する前に火炎放射器でやられそうだけどね(笑)。
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