今回のレビューは、1/24スケール ヘキサギア より、
“ヘキサギア バルクアーム・グランツ” です。
コトブキヤのオリジナルコンテンツ、“ヘキサギア” より、
第2世代型ヘキサギアの雄、“バルクアームタイプ” の改良試験機、
“バルクアーム・グランツ” が発売されました。
現在と過去・・という括りでいいのか、ともかくも2つの時間軸で展開されるヘキサギアのストーリー。
バルクアームなどの第2世代型ヘキサギアとアーリーガバナーを中心とした過去のストーリーはミリタリー色がより強めという印象でしたが、そんななか登場した今回のバルクアーム・グランツはビークルモードへのコンバート(変形)機構を搭載した2.5世代とでもいうべき実験的な機体という位置付けで、デザインも(その世界観においても)かなり趣味的なものに変貌しています。
設定としては、正規に兵器として開発されたものではないものの、ごく少数が実戦に投入されたことになっています。
変形機構の採用はのちの第3世代ゾアテックス型ヘキサギアにも繋がる重要な要素として意味があるんですが、最新の第3世代はほとんど変形しなくなったなぁ・・
それでは、レビューしていきます。
今回は同時期に発売されたポーンA1,センチネルの両ガバナーのVer.1.5キットも併せて紹介したいと思います。
それぞれのキットは素組みオンリーで済ませています。
バルクアーム・グランツ
ヒューマノイドモード
バルクアームタイプの改良機ではありますが、外装部分は完全新規。フレームパーツもコクピット周りや一部間接のみを流用しているくらいで、8割近いパーツが新規造型となっており、原型機の面影はほぼありません。
強いて言うならプロポーションは踏襲していますが、設定上も趣味的といわれる外見はヘキサギアというよりむしろフレームアームズに近い印象です。
原型機では四角い頭に四角いカメラ(標準タイプ)といういかにもモブ的なフェイスでしたが、グランツでは全体に流線型になり、バイザータイプのカメラにマスク、トサカも追加されたヒロイックな顔付きに変更。
ハンドパーツもM.S.G.ワイルドハンドの流用で、無骨な作業肢といった感じの原型機のものから、より精密な5指タイプのマニピュレーターに変更されています。
そしてやはり目を惹くのが、脚部に装備された巨大なアシストホイール。
太腿側面から伸びる後輪は伸縮式のフレームでしっかり接地させることができます。そのため、基本は2脚の人型であるのに、4脚型のマシンのようにも見えるのは面白いです。
もちろん、各ホイールは回転するのでこの形態での転がし走行も可能です。
武装・ギミック
ライフル
機体サイズに合わせた大型のライフル。
銃身下部に斜めに差し込むマガジンは取り外し可能ですが、それ以外にギミックはありません。
シールド
機体サイズに対してわりと小型なので、実際どれほどの効果があるのかはわかりません。
どちらかというとビークルモード時の前面装甲としての役割がメインなのだと思います。
ビークルモード時でキャノピーに相当する部分にはスモークブラックのクリアパーツが使われています。
六角軸のアタッチメントパーツを介して前腕側面に装着するんですが、六角軸なので位置や角度を変更するには一旦外して付け替えなければならないのが少々面倒。
あと、デフォルトの装着位置が高めなので、肩などに干渉しがちです。
内蔵式小型レーザーカッター
機関砲かと思いきや、レーザーで対象を焼き斬る近接武装でした。
ただ、これも機体サイズに対してかなり小さいので実用にはあまり向かない気がします。
アシストホイール
ビークルモード時に走行車輪となる大型のホイール。もちろん、ヒューマノイドモードでもその名の通り補助装置として高い機動性を発揮させることができるのでしょう。
タイヤはインパルスシリーズやボルトレックスのタイヤと同じPVC製。溝もしっかり彫られています。
溝は左右対象になっているので、組みつけ時には注意が必要。
コクピット
完全密閉型のコクピット。
後部ハッチと頭部を含めた胸部パーツを展開して乗降する仕様は原型機を踏襲。
内部パーツもほぼ流用になっていますが、コンソールのみ新規です。
原型機同様、操縦桿やフットペダルが可動しますが、原型機よりも密閉感がさらに増したため、そのへんはほとんど活かせません・・というか見えません。
そしてガバナーの乗り降りもさらに困難に(笑)。
ちなみに、搭乗モデルはこのあと紹介するポーンA1 Ver.1.5に務めてもらっていますが、時間軸に従うならアーリーガバナーを乗せるべきなのかもしれません。
でも、この機体にアーリーガバナーが乗ってる画には違和感しかないです。まだこのポーンA1やセンチネルのほうがしっくりくる。
ビークルモード
巨大なレーシングカーのような形態にコンバート(変形)。
ちょっと違うかもですが、サイバーフォーミュラというタイトルを思い出しました。
変形パターンは単純で、頭部を含めた胸部と腰部を二段階に展開して前方に伸ばし、脚部も前に。後輪はフレームを縮めて後方に回し、腕部も後ろへ。胸部を展開したことで空いた隙間にはシールドを被せ、余ったシールド用アタッチメントに今度はライフルを挿して前腕側面に取り付け。最後に各ホイールを接地させ、脛装甲に収納されているライトを展開して完了です。
後付け設定ではありますが、事実上初のコンバート機能を搭載したヘキサギアにもかかわらず、これまでに発売されてきた変形機構を持つ第3世代型ヘキサギアのビークルモードよりよほど綺麗にまとまっています。
しかも、腕部下(脇)にアタッチメントを追加することで後輪フレームとボディとをしっかり固定できるため、安定感も抜群です。
まぁ、キットとしては最後発ですし、そもそも動物モチーフのメカを変形させるのもなかなか大変ですからね。そのへんは仕方ない部分もあるでしょう。
もちろんこの形態でも後部ハッチは開閉するので、ガバナーの乗り降りは可能です。
ガバナー アーマータイプ : ポーンA1 Ver.1.5
ヘキサギアもこの8月で2周年を迎えました。
ということで、第1弾ラインナップとして2年前の8月にレイブレード・インパルス、ボルトレックスの2体のヘキサギアと同時に発売されたガバナー2種がバージョンアップして再登場することに。
まずは、すべてのガバナーの基礎ともなったポーンA1。
Ver.1.0からの改良点としては、まずボディの構造が一新され、首に関節が追加されたほか、PVC製だった腹部や腰部がPS製の組み立て式に変更。それに伴い、PVC製のパーツはハンドパーツのみになりました。
ボディおよび頭部はデザインは同じながら、構造の変更もあって新規に金型が起こされています。とくに頭部は一体成型から3パーツで色分けもされた組み立て式に変更され、造型的にもシャープさが増したように思います。
なお、頭部右側のセンサーは塗装済みパーツです。
主にはVer.1.0でユーザーからの不満が多かった素材による塗装のしづらさや各部パーツの外れやすさの解消と、そのついでくらいの感じでごくわずかに可動性能の向上が図られた、といった感じでしょうか。
正直、期待していたほどの変化はありませんでした。オプション含め、半分近いパーツがVer.1.0からの流用です。
まぁ、所詮1.5ですしね。でも、どうせなら足首の構造も最新のフォーマットに更新してほしかったなぁ。
個人的にVer.1.0での最大のストレスは足首の外れやすさだったんですよ。そこがそのまんまで500円アップっていうのはちょっとなぁ・・
ガバナー パラポーン・センチネル Ver.1.5
センチネルについても、ポーンA1と同様の仕様で再リリース。
まぁ、センチネル自体がポーンA1のバリエなので、もう書くこともないです(笑)。
頭部ゴーグル部分は塗装済みパーツ。
オプションの追加とかあってもよかったのに・・ねぇ。
比較画像
まずはバルクアーム・グランツ。原型機のバルクアームα(一般仕様)と。
パッと見の共通点は体型と腕部構造くらいでしょうか。全体のボリュームはかなり増しています。
ちなみに、バルクアーム・グランツのパッケージはアグニレイジやウインドフォールと同じ横長タイプで厚みも同等です。大振りなパーツが多いので、実際のパーツ総数は前の2アイテムほどではないんですが、それでも箱のサイズが同じなのに価格に2倍近い差があるのって・・
話が逸れました(笑)。
この機体をベースに、およそ実用的とは思えない変形機構を組み込むとか、本当に趣味以外のなにものでもないですね。まぁ、そういったところから技術は進歩していくのでしょうが。
グランツを変形させて。
もはや系列機とは思えない。そして同一世界観の機体とも思えない・・(笑)
続いてポーンA1。左がVer.1.0。右が今回のVer.1.5です。
センチネル。同じく左がVer.1.0。右がVer.1.5です。
プロポーションはほぼ変わりません。新規造型になっている頭部を含めたボディ部分はやはりシャープになっているように思いますが、そうと言われないと気付かないかもしれません。
単純に違いとしてわかりやすいのは、組み立て式になった腰部パーツの左右の四角いユニットが色分けされた(ポーンA1のみ)こと、くらいかなぁ。
ポーンA1、センチネル両ガバナーのVer.1.0キットについては以下もご参考に。
首に前後可動する間接が追加されたことで、見上げる、俯くといった動作が可能になりました。
ただ、ポーンA1の場合は後頭部の形状に問題があるのか、あまり効果がありません。
腕部の可動域に変化はなし。
開脚に至っては腰部パーツの素材変更が仇となって、むしろ狭まってしまっています。一応、腰両サイドの四角いユニットがわずかに可動することで干渉を逃がす構造になってはいますが、ご覧の通りさほど効果はなし。
Ver.1.5は、とりあえず安定性の確保を最優先した更新・・というのが僕の見解です。
以下、画像
まずはバルクアーム・グランツ。
人型としての最低限の可動性能は有しています。
しかし、これは原型機もそうでしたが、保持力確保のためか、腰の接続が六角軸になっているため腰のみ基本的に回転しません。一旦外して付け替えることで角度の変更は可能ですが、それも60度刻みなのでかなり極端な姿勢になってしまします。
ほかの間接部については現状では硬過ぎるくらいですが、これは経験上、けっこう早い段階で緩くなってくると思います。
今さらですが、プラモデルにも定期的なメンテは必要ですね。
まぁ、そんな感じで肘や膝はちゃんと曲がるんですが、ずんぐり体型のせいであまり動いてるように見えないのが玉に瑕。
画像みたいに立て膝も可能なんですけどね。
ただそのぶん、4輪の大型ホイールがいいアクセントになっています。
スタンドを使ってドリフト(?)イメージで。
ただこのとき、変形のために展開する腰部が脚部(+ホイール)の重みで自然と開いてしまいがち。
ここは破損防止のためにも、しっかりとしたロック構造を付けておいてほしかったですね。
ビークルモードでも。
変形ギミックを活かしたまま外装や武装を変更して、より実戦的な戦闘用の機体に改造するのも面白そうです。
シルエットが流線型なので、飛行タイプにするのも簡単でよさそうです。
ガバナーたちで。
先にも言いましたが、ストレスの軽減を主眼としたバージョンアップなのかな、という印象です。
確かに、腹部や背部のヘキサグラムコネクタもVer.1.0ではたびたび外れることがありましたし、それらがほぼ解消されたことは評価できます。
でも、足首がなぁ・・今のところは問題ないですが、コトブキヤキットの “今” はほぼ信用できないからなぁ(笑)。そのうちポロポロ取れるようになってしまう気がします。
ボディ構造以外に変更点がないのにおよそ25%の値上がりというのもどうなんでしょう?
この2体でモーター・パニッシャーやスケアクロウよりもお高いんですよ。
以上、“ヘキサギア バルクアーム・グランツ” & “ポーンA1 Ver.1.5”、“センチネル Ver.1.5” でした。
原型機の無骨さを一切斬り捨てたような趣味的なデザインには賛否ありそうな気はしますが、シンプルながらガラリとシルエットの変わる変形機構はこれまでのヘキサギアのなかでもっとも綺麗にまとまっており、可変キットとしての出来はなかなかのものだと思います。
ただ、やはり世界観的に浮いている感は否めませんね。
さて、バルクアームタイプもこのグランツで3体め。12月にはβ ランバージャックが発売されますから、それも併せると4体になり、ヘキサギア(機体)のバリエーションとしては最多になります。
・・なんだろうなぁ。
僕としては、ヘキサギアはそもそも動物をモチーフにしたメカの組み換え重視のキットシリーズとして始まったという認識なので、これだけ人型の機体が増えてくる状況にはちょっとモヤモヤします。
まぁ、決して嫌いではないのでずっと併走しているんですが、人型ならもうフレームアームズでいいじゃん、という気持ちも多少あります。
もちろん、1/24スケールでパイロット(ガバナー)を搭乗させるという要素もヘキサギアの醍醐味ですから、そういう意味ではちゃんと差別化されてはいるんですけどね。
個人的には、もっと動物型でいろいろ出してほしいんですよ。インパルスシリーズくらいの基本サイズでいいので。
というか、大型機はもうアグニレイジの段階で限界が見えてしまいましたしね。
そして、そんどんアメコミ化していくガバナーも、もうそろそろいいかな(笑)。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
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