HGUC ゲルググ・ウェルテクス レビュー

 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、

“HGUC ゲルググ・ウェルテクス” です。


 コミック作品、“機動戦士ガンダム MSVーR ジョニー・ライデンの帰還” に登場する、ゲルググタイプの最終形(?)、

“MSー14J/BR ゲルググ・ウェルテクス” が、

プレミアムバンダイ限定のHGUCで発売されました。


 僕は、ガンダムシリーズは基本的に映像化された作品しか知らない(それらももちろん網羅できているわけではない)ので、最初にその姿を見たときは、なんだこの、“僕が考えた最強のゲルググ” みたいなのは? と思ったり(笑)。

 なんとなく、ジョニー・ライデンが専用機であるゲルググをひたすら改造していったものの成れの果て(言い方ww)かと思ったのですが、そうではなく、ゲルググの改修機であるリゲルグのデータをベースにアナハイム・エレクトにクスで新規開発されたもののようです。

 ややこしいな・・

 ウェルテクス・プラスという試験機を経て、ウェルテクス・テスタロッサ、同キュアノス、クサントスの3機が建造。それぞれのパイロットに合わせたカスタマイズが施されているようです。

 今回のキットは単にゲルググ・ウェルテクスという名称になっていますが、厳密には試験機であるゲルググ・ウェルテクス・プラスということになるのだと思います。

 ということは、いずれテスタロッサ、キュアノス、クサントスの発売も・・? 


 レビューしていきます。

 キットはパチ組みで最低限の墨入れ、付属シールでの仕上げです。

 シルエットにするとリゲルグとほぼ変わらないと思いますが、実際のところはなかなかインパクトのあるデザインです。

 まるでゲルググとリゲルグが2人羽織をしているかのよう。

 公式がこういう発想をしてくる時代になったか・・正直評価の難しいデザインではあります。

 設計ベースはリゲルグということですが、本体の見ためはゲルググに近いです。

 肩アーマーや前腕の装備がゲルググと同様のものになっていますからね。

 もちろん、中身はリゲルグの設計ベース、しかもおそらくは新規建造のはずなので、ゲルググとはまったく別物なのだと思います。

 まぁ、キット的にはゲルググの流用なのでしっかり15年前の構造のままですが(笑)。

 PC-116(ポリキャップ)も久々に見ましたね。

 ただ造形面では最近のキットと較べても決して見劣りするものではなく、プロポーションも含めて今でも十分通用すると思います。

 もっとも、一年戦争期のジオン製MSに関してはこだわりの強い人も多いと思うので、こうじゃない! という声も少なくないのでしょうが、個人的にはよいと思う。


 本体の外見上、唯一ゲルググと異なるのは頭部ヘルメット部分。

 といっても単独で見てもまずわからないので、余剰で付いてくるゲルググ(およびリゲルグ)のパーツと並べてみましょう。

 左から、ウェルテクス、角付きのゲルググ(およびリゲルグ)、角なしのゲルググのヘルメットパーツ。

 基本形状は同じですが、ウェルテクスではエッジが立った造形になっており、幅自体は変わらないものの全体に細く、シャープに見えるようになっています。

 また、ひさし部分のディティールの形状も変わっています。

 角(ロッドアンテナ)とトサカの形状は共通です。


 リアスカート内側のスラスターはリゲルグベースなので5連装になっています。

 ちょっと恥ずかしい格好ですが・・(笑)

 なお、ゲルググでは3連装です。

 また、スタンド対応穴は股関節のカバーパーツを外すことで現れるのですが、これが主流の3㎜穴ではなく、ダボ穴タイプになっています。

 ゲルググよりも少し前に発売されていたHGUC アッシマーやガブスレイといった可変MS(MA)に付属したスタンドと共通規格になっており、アクションベースなどを使う場合でも専用のアタッチメントパーツが必要になってきます(もちろんアタッチメントは各種アクションベースに付属しています)。

 ここは3㎜穴の空いた股関節パーツを新規で付属させるとか、それくらいしてくれてもいいのに・・


 背面。

 やはり遠目にはリゲルグに見えますね。

 バックパックはリゲルグのものをベースに、側面にリゲルグの肩アーマーを流用したアクティブバインダーを取り付け。

 結果としてバックパックだけでかなりのボリュームになっています。

  しかし、足が大きく接地面積が広いこともあり、直立姿勢での自立はまったく問題ありません。

 カラーリングはライデン機のゲルググ(B型)を踏襲していますが、成型色での再現のため色違いの同一パーツの余剰が複数出ます。

 なので、多少のカラバリも楽しめますね。


付属武装・ギミック

 過去のゲルググ系キット由来のものを中心に、豊富な武装が付属します。


ゲルググ用ビームライフル

 とくにギミックはなし。

 カラー再現にはスコープ部分をピンクで塗装する必要あり。今回はもうそのままにしています。

 保持には銃持ち手を使用。

 これまでは右銃持ち手しか付属しませんでしたが、今回は新規造形で左銃持ち手が付属。おかげで豊富な武装を持て余すこともなくなりました。


ロケットランチャー

 ライデンが専用のゲルググ(B型または高機動型)で使用していた実弾武装。

 同キットからの流用で付属しますが、余剰もそれなりにくっ付いてきます。

 サブグリップはボールジョイントで可動。マガジンの着脱はできません。

 センサー部分にはシールなどは付属しないので、カラー再現には塗装が必要です。今回は成型色のまま。


リゲルグ用ビームライフル

 リゲルグが使用した大型のビームライフル。

 こちらにはセンサー用のシールが付属します。

 とくにギミックはなし。


メガ・ガトリングガン

 ヤクト・ドーガ(クエス機)が使用したものと同型のビームガトリングガン。

 実際にウェルテクス・プラスが装備した武器はこれのようです。

 やはりヤクト・ドーガ(クエス機)からの流用になり、ランナー都合でけっこうな数の余剰パーツが付いてくるのも同様。

 サブグリップが可動しますが、メインウエポンのはずなのにセンサー用のシールがない・・

 なお、このメガ・ガトリングガンのみグリップ右側に固定用のダボがあるため、ゲルググ由来の右銃持ち手で保持することができません。

 そのため、わざわざダボ穴を空けた右銃持ち手の一部(人差し指が造形されたパーツ、下画像左上)が新規で付属しています。

 なんというか・・もうグリップのダボを削ってください、でよかった気もするんですが。

 左銃持ち手では問題なく保持できます。


ビームナギナタ

 長い柄の両端から幅広のビーム刃を発振する。ゲルググの代名詞的な格闘用武装。

 とはいえ、案外系列機で装備している機体は少ないんですが。

 今回のビーム刃はクリアブルー。

 保持には左右の汎用持ち手を使用しますが、とくに固定はされないのでしょっちゅうずり落ちます。

 非使用時は専用のパーツを介してリアスカート上部やシールドの裏にマウント可能です。


シールド

 こちらもゲルググと聞いてすぐイメージできるサーフボードのような形状の大型シールド。

 裏面の可動式ジョイントで前腕に取り付けます。


 ビームナギナタのマウント位置は左右どちらかを選択。


バックパック

 本体はリゲルグと共通。

 右側に装備するミサイルポッドはハッチが開閉します。

 ただ、ハッチは小さいダボの間に挟み込んでいるだけなので、開いた状態ではポロリしやすいです。

 アクティブバインダーは3点でフレキシブルに可動。

 内部のスラスターは2基になっており、新規造形で再現されています。

 なお、テスタロッサ以下の完成形ではリゲルグ同様スラスターが3基になっており、そちらも流用パーツに交換することで再現可能です。

 リゲルグ用のビ-ムサーベルはプラスではオミットされており、マウント箇所にも蓋がされています。


 サーベル自体は2本組むことができます。

 ビーム刃は付属しませんが。


 なお、ホイルシールのシートには貼り付け指定のない白いライン状のシールも2本あります。今後の布石でしょうか?


比較画像

 ジョニー・ライデン専用高機動型(B型)ゲルググと。

 カラーリングは踏襲。

 本体部分の外見上の変更点は、先にも言った頭部ヘルメットとリアカート内側のスラスターの数くらい。

 なお、今回のキットではS型ないしA型仕様でライデン機カラーのゲルググを組むことはできますが、バックパックのパーツが足りないため、B型として組むことはできません。

 ちなみに、ライデン専用機となるウェルテクス・テスタロッサは胸部や脛前面のカラーリングが異なるほか、先述の通りウイングバインダー内のスラスターが3基になり、左腕にバックラーシールド、バックパックにビームサーベルが追加。射撃武装としてはガーベラテトラのものと同型のビームマシンガンを装備しているそうです。

 少し前に発売されたGフレームでは完全再現されていましたね。

 HGUCでもプラスとテスタロスをコンパチにするくらいでよかった気がするけど・・


 せっかくなので後ろ姿も。

 B型バックパックの成型色での色分けには情熱を感じる。

 リゲルグと。

 シルエットはほぼ同じ。

 アクティブバインダーですが、 リゲルグの肩アーマーそのままかと思いきや、リゲルグでは片側にしかなかったスリットが ウェルテクスでは両側に入っているので、貼り合わせのパーツの片方のみ新規造形になっています。

 また、今回のキットではリゲルグの腕部グレネードランチャーのパーツがオミットされているので、色違いのリゲルグとして組むことはできません。


 こちらも後ろ姿を。

以下、画像

  まぁ、構造的には15年前のキットですから、可動性についてはそれなりでしかありません。

 肘、膝はともに90度ほどしか曲がりませんし、足首も一応ボールジョイント接続ではありますが、脛装甲の干渉もあってあまり柔軟性はないので、接地性はよろしくないです。

 ゆえに、直立は問題ないのですが、ポージングによっては自立ままなりません。

 立て膝はバランスをとればなんとか。

 スカートは前ろ後ろは固定ですが左右が少し引き出しつつ動かせるので、太腿を90度近く上げることはできます。


 というわけで、以降はスタンドを使って。

 今回はたまたま出しやすいところにあったHGUC アッシマー付属のスタンドを使用。

 このスタンド、前後左右に角度が変えられるうえ各部がビス留めなので保持力も高く優秀です。

 ただ、ダボ接続なので使えるキットが限られる・・


 アクティブバインダーは思っていた以上によく動くので、複雑な空中機動イメージでのポージングが映えます。

 また、左銃持ち手の追加で豊富な武装バリエーションが楽しめるのもよいですね。

 なんでかHGでは頑なに銃持ち手の左右完備を避けてくるからなぁ・・


 後ろからも。

 大量のバーニアスラスター。

 浪漫ですね。


 以上、“HGUC ゲルググ・ウェルテクス” でした。


 なんだかんだ息の長いキットですね、HUGC ゲルググ。

 基型は15年も前のキットなので、さすがに可動性は大したことありませんが、見ためにはそこまで古さを感じません。

 ゲルググも1年戦争期のMSのHGUC化としてはかなり後半でしたしね。そのあとに続いたアッガイ、ゾックも良作でした。

 今回のウェルテクスは、ともすれば反則に近いインパクトのあるデザインですが、そんなトンデモ感がある意味ジオン系MSらしい。

 最初こそ微妙に感じたものですが、実際立体物を目の当たりにすると、案外いいんじゃない? と思えるくらいまとまってるんですよね。

 むしろアクティブバインダーの機能を考えると、肩アーマーとして装備するよりもバックパックに付けるほうが理に適ってる。 

 となるとリゲルグのほうがトンデモ兵器なのか?(笑)


 さてさて、ゲルググからの流用キット。リゲルグが出たのが2018年の7月で、ライデン専用機がその2ヶ月後。袖付き仕様のリゲルグが19年の3月と、このあたりは比較的短期間でリリースされています。

 そしてなんだかんだで2年以上開いて、今回のウェルテクス。

 ここから短いスパンで専用機3機の連続リリースなるか? というところですね。

 それとは別に、もうみんな忘れてるかもだけど、MG ゲルググVer.2.0のバリエーションてどうなったの?

 かなり新規造形を盛り込んだユーマ・ライトニング機以降、まったく音沙汰がない・・

 あのときは、ザクが一段落したから次はゲルググのバリエーション展開をMGでやるつもりなのか? と思ったものですが。

 なさそうですね。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

 

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 退屈と惰性と

    2021.08.24 10:25

    @ポンコツ丁寧な解説、ありがとうございます。 なるほど、中身はシャアの反乱期でも最新鋭の技術が詰まってるんですね。 フルバーニアンからの流用まで。アナハイムのいいとこどりみたい。
  • ポンコツ

    2021.08.24 10:05

    通りすがりにすみません。 ウェルテクスのプラモはリゲルグの改修機ですがコミックの方ではゲルググのレプリカにアナハイムの秘匿技術(GPシリーズやアクシズのMS)を追加した機体になります。 元の機体も外見はレプリカゲルググですが中身は連邦の最新技術(コックピットはアームレイカー)で作られた旧来のゲルググとは別物と言う設定だったりします。 後ろのアクティブバインダーもパーツはリゲルグですが機構的にはGP01-fbの物と言う事です。 参考までに。