今回のレビューは、1/1スケール chitoserium より、
“chitoserium Ⅳ-carbonia adamas” です。
浅井真紀×huke×グッドスマイルカンパニーの三者が紡ぐ新たなガール系キットシリーズ、
“chitoserium(チトセリウム)” の第2弾、
“carbonia adamas(カーボニア アダマス)”
が発売されました。
武装神姫やfigma、最近ではメガデバイスの基本素体、マシニーカでお馴染みの造形師、浅井真紀氏と、ブラック★ロックシューターなどで知られるイラストレーターのhuke氏、そしてねんどろいど、figmaなどを展開するホビーメーカー、グッドスマイルカンパニーという強力なトリオがガール系キット業界に参入。
huke氏が描く独特の世界観に、浅井氏マシニーカによる可動性を搭載したまったく新しいガール系キットが誕生しました。
第1弾、“LXXVIII-platinum(プラチナム)” は、ワンフェス2019冬にてprototype(プロトタイプ)が限定発売ののち2月に一般販売。世間に衝撃を与えました。
そして今回、第2弾となる “カーボニア アダマス” (以降、表記は基本片仮名となります)の登場となりました。
僕は、第1弾のプラチナムについてはなんとなく見たことがあるなぁ・・というくらいの感覚で、他のガール系とは明らかに違う独特の雰囲気には正直あまり惹かれるものがなく、ゆえにその詳細を知ることもありませんでした。
チトセリウムというシリーズ名も知らず、当然、どういった人たちが関わっているのかも知らず。
今回のアダマスの存在にしても、Twitterを始めていなかったら気付けなかったかもしれません。
購入に至ったきっかけにしても、彼女がラッパを吹いている画を見て、そのラッパ欲しい! というような次第で(笑)、シリーズの詳細については現物が届いてから知る(もちろん、すべて理解しているとは言いがたい)というありさま。
まぁ、こういうのはファーストインプレッションが大事ですもんね。
実際手に入れて組んでみたところ、やはりこれまで触れてきたガール系のどれとも違う異質な雰囲気に、見事に嵌まってしまいました。
速攻で12月発売の妹(?)のほうも予約しましたよ。あっちには小太鼓が付いてくるからね。
プラチナムも再販されるようですし、買おうかな。
それでは、レビューしていきます。
キットはパチ組みオンリーです。
まず、こちらがパッケージ。
もうここからして非常に雰囲気のあるデザインで、なんというか、アートっぽいです(語彙力のなさ・・)。
蓋を開けると、
未塗装のフェイスパーツのランナーが埋め込まれた紙のケースが入っており、そのケースの中に組み立て説明書とインレタ(いわゆるドライでカールですね)が入っていました。
説明書はフルカラーです。
しかし、微妙に説明不足の部分もあり、まだちょっとこなれてない感があります。
こちらがインレタ。
デフォルトでは①番のみ貼り付ける指示がありますが、今回は曲面に上手く貼る自信がなかったので貼っていません。
それにしても、この上から擦りつけるタイプのデカール、久しぶりに見ました。初期のガンプラMGでは定番でしたね。
平面に貼るぶんには手軽ですが、やっぱり曲面には水転写式のほうがいいような・・
公式サイトがなぜか英語メインなので、よくわからないのですが、チトセリウムというのはなんらかの概念的存在のことを指しているようで、そこから生まれ、それを守る少女たちのことは fragments(フラグメンツ)と呼ぶようです。
ほかにもいくつか用語があるのですが、一旦スルーしておきます(笑)。
素体状態
ゴシック調というのか、可愛らしさのなかに高貴さも感じられる独特のデザイン。
プラチナムはウサギ、あるいはキツネの耳のように見える頭部の飾りが特徴的で、それが余計に人外っぽいイメージになっていましたが、今回のカーボニア アダマスはわりとシンプルな装い。
しかし、生身といえる部分は顔だけで、その顔もどこか作りものめいた(実際作りものなんですが)美しさで生物感がなく、ドール、あるいはアンドロイドっぽい雰囲気が強いです。
胴体部分の色分けもほぼパーツ分割のみで再現。胸部のみ、先に言ったようにインレタでの補完箇所があります。
靴はヒールのあるブールタイプで接地面は少ないですが、足首が柔軟に動くので自立は問題なし。
交換用のフェイスパーツは、先の未塗装のものとデフォルトの包帯顔も併せて5種が付属。
左から未塗装パーツ、グレーアイ、ブルーアイ、目閉じ顔です。
一般的な表情の変化ではなく、目のかたち、瞳や眉毛の色を変えていわば別人にしてしまうというアプローチは新鮮です。
デフォルトの包帯顔の目は大きめで可愛らしい感じなのに対し、グレーとブルーはクールビューティー系とでもいうのか、ちょっとお姉さんっぽい感じがします。
未塗装パーツには右半面に亀裂の入ったディティールが施されており、やはり彼女たちは人間のような生身の存在ではなく、創造されたナニモノか、という印象が強まります。
この状態に包帯を巻いたものが、デフォルトの包帯顔ということなのかもしれません。
その包帯顔ですが、ショートカットの髪の色に瞳の色、そしてなにより包帯という記号のために某ファーストチルドレンを彷彿とさせます。
まぁ、表情は彼女よりもずっと柔らかいので、包帯姿にも不思議と痛々しさはないのですが。
なんだかんだでデフォルトの包帯顔がやはり1番可愛いと思うので、以降フェイスパーツの交換は基本いたしませんので悪しからず。
フル装備状態
頭部前面にバイザー、両肩にマウントラッチとラッパ、腰にアーマーとフレキシブルに動くジョイントアームを2本、そのアームの先端に槍と盾をマウントしたフル装備状態。
槍や盾はもちろん、ジョイントアームにも細かくエレガントなディティールが入っていて、トータルデザインが徹底されている感じ。
肩のマウンとラッチはポーチのようにも見えます。
もちろん、この状態でもしっかり自立しています。
では、それぞれの追加パーツを詳細に見ていきましょう。
頭部バイザー
左右のパーツは素体状態でも取り外すことはできませんが、前面のバイザーのみ任意で取り付けを選択できます。
それぞれは開閉可能。
前面バイザーは前後逆に取り付けることもできますが、そのへんの説明はとくにありません。僕は基本、後ろ向きに付けています。
さてこのアダマス嬢、基本の握り手、平手、持ち手以外に独自の特殊形状
ハンドパーツが2種付属するのですが、そのうちの1つがバイザー持ち手。
おそらくは、こういう使い方が本来想定されていたものだと思います。
おそらくというのは、説明書ではとくに言及されていないから。
なので、一部でこのような勘違いも起こりました。
へいらっしゃい!
寿司握り手、ですね。
そう言われると、もはやそれにしか見えない(笑)。
1/12スケールの寿司のミニチュアとかないかなぁ・・そのうち作るか。
槍
これまた実用性というよりは装飾性を重視したような、アーティスティックなデザインです。
基本的に腰裏から伸びるジョイントアームに接続されていますが、もちろん外して普通に柄の部分を持って保持することも可能。
赤い部分に施された模様は塗装済みです。
後述するケースへの収納時には、下のように3段階に折りたたみます。
複雑なレリーフ状の抜きのディティールが施された、美しい盾。
アダマスの全身を楽に覆えるサイズで迫力があります。
槍同様ジョイントアームに接続されていますが、裏面にグリップがあり、これも持ち手で保持可能。
ケース収納時には、上下を左右に分割ののち内側にたたんでコンパクトにまとめます。
ある意味本体(笑)。
ランナー状態の組み立て式のものが2つと、組み立ておよび塗装済みのものが1つの、計3つ付属します。こちらは塗装済みのもの。
モノ自体は3つとも同じものです。なんでわざわざ組み立て塗装済みのものを付けたのか・・まぁ、ありがたいですが。
保持にはやはりラッパ持ち手を使用すべきなんでしょうが、バイザー同様、持ち方の説明がないので、これで合ってるのかどうか・・イマイチフィット感はないです。
このように、背中のマウントラッチに取り付け可能。こちらのラッパは組み立て式の未塗装のものです。
なお、このマウントラッチ、説明書と公式画像では左右逆になっています。
収納ケース
ディスプレイベースにもなる六角形の収納ケースが付属します。
こういったものが付属するのは新鮮です。
中央のエンブレムは塗装済み。
実際のディスプレイはこのように。
専用のスタンドアームを介してディスプレイします。
そして収納状態。
武装も含めたフラグメンツ本体とスタンドアームをすべて収納することができます。
槍、盾はもちろん、ラッパも2妻運とした状態で問題なく収納できます。
このギミック再現のため、素体となる専用マシニーカにはメガミ以上の可動性能が与えられているのですが、詳しくは後ほど。
画像ではちょっとわかりにくいですが、スタンドアームは2分割され、ケース上下の側面にそれぞれ取り付けられています。
なお、あくまでフル装備状態のフラグメンツ1体とスタンドアームが収納できるということで、交換用のフェイスパーツやハンドパーツのことまでは考えられていません。
ケースを開いた状態でも、スタンドアームを取り付けてのディスプレイも可能です。
比較画像
同じマシニーカ素体を使用しているメガミデバイスと。
髪形とか、もろもろ雰囲気が似ているChaos & Pretty ウィッチさんと並べて見ます。まずは素体で。
頭半個分ほどアダマスのほうが背が高いです。
胴体部分はほぼ同じサイズなんですが、脚が長いんですね。
頭部は気持ちアダマスの方が小さく、結果としてプロポーションはかなり違ています。
武装状態でも。
魔導師と、その魔力で動く人形兵のような感じ。
ついでに、装備がほぼ同じBARRETT KNIGHTS ランサーとも。
ランサーの槍が馬鹿でかいことを除けば、けっこう似た感じのデザインです。
まぁ、キャラ的な雰囲気はまったく違いますが。
ちなみに第3弾にしてこのアダマスのバリエーションらしいlonsdaleite(ロンズデライト)の装備はライフルのようで、盾こそ持たないものの、そちらはランチャーの通じるものがあります。
やはりコンビにそれぞれ近距離と遠距離を担当させるというのは定番ですからね、被るのも無理はない。
さて、ではチトセリウムとメガミ、それぞれのマシニーカの構造および可動性の違いについて少し詳しく見ていきます。
先に結論を言うと、あくまで基本構造が共通というだけでまったく同じものではなく、互換性はほぼありません。
マシニーカを採用しているキットにはもう一つ、ダークアドヴェントというシリーズがありますが、あれも似たような感じなのかなぁ?
なお、あちらはちょっとエロ系に偏っているようなので、今のところ我が家にお迎えの予定はありません(笑)。
まず上半身。
肩間接が一体成型になっており、メガミにおけるパチ組みだと肩胛骨にあたるパーツが外れやすい・・といったストレスとは無縁です。
また、腕部の接続がボールジョイントではなく軸接続になっているので、メガミでよく聞く肩ジョイントの破損の心配もなさそう。
というか、そのメガミの肩ジョイントの破損、僕はまだ遭遇したことがありません。ほぼパチ組で塗装もしないからかもしれませんが・・
なお、軸接続になったことと、そもそもの肩間接の可動域がメガミよりも若干狭いこともあって、肩周りの柔軟性はメガミに分がある感じです。
あと首。
首の長さ自体はチトセリウムもメガミもほぼ同じなんですが、頭部側のジョイント受けが、チトセリウムはメガミより随分奥にあります。
肩間接のボリュームも手伝って、結果として首が短く見えてしまっているのは少し残念。
続いて下半身。
先のケースへの収納ギミック再現のため、腰部にスライド機構が仕込まれており、メガミと比較して前方向により大きく曲げることが可能になっています。
また、股関節はメガミのような左右一体のT字型ジョイントではなく、鼠径部を軸に左右独立して動くものになっており、外向きは持ちろん、内向きにも広く柔軟に動くようになっています。
まとめると、上半身はわずかにメガミ、下半身は圧倒的にチトセリウムのほうがよく動く、という印象です。
互換性はほぼない・・のですが、強引に各部を交換するとこのようなものに。
思った以上にバランスが妙なことに・・(笑)
頭部接続のボールジョイントはメガミのほうがわずかに大きいものの、ギチギチということもなくわりとすんなりはまりました。逆にチトセボディにメガミヘッドはけっこうグラつきます。
腕は上腕部分で交換可能。
ハンドパーツはそれぞれそのまま流用できます。ただ、手首ジョイントは前腕側の軸がチトセリウムのほうがわずかに細く、メガミのジョイントはチトセの前腕にはギチギチでそのままはめるのは危険なのでやめました。
胸部前面パーツの仕様はほぼ同じで、パッと見互換性がありそうでしたが、接続軸の感覚が違うため交換不可能。
脚部は付け根の接続が3㎜で共通なので、そのまま交換可能。ただし、メガミの腰にチトセの脚はボリュームがあり過ぎすため、ほぼ動かせません。
あと、フェイスパーツの互換性は、もちろんありません。これは同じメガミ間ですらほぼないので端から期待はしてませんでしたが。
こんなところですかね。
以下、画像
おおよそメガミと同じ感覚で動かせます。
ただ、場所によっては可動部でもかなりキツイ部分もあるので、そこだけは注意が必要です。
やはり腰や顔関節の可動を活かしたポージングをとりたくなる。
寿司握り・・もとい、バイザー握り手の使い勝手がよいです。相手を挑発するような雰囲気。
さっきの蹴りポーズもそうですが、なんとなく中華っぽい雰囲気もあるんだなぁ。カラーリングかな?
拳法やってる感じのポーズが意外に似合う。
立て膝もすごく自然。
お呼びでしょうか? ご主人様。
ちょっとアンニュイな感じも。
軸可動股関節の効果でギリ脚を組んでる感じにもできますね。
バイザーを上げて、ちゃんと顔を見せて挨拶をするアダマス。
バイザー持ち手のさらなる活用法として、将棋盤か碁盤があればなぁ・・と思いながら、なかったのでとりあえず卓袱台と湯飲みを置いてみただけです(笑)。
フル装備状態でも。
素体のみだと、どうしてもネタっぽいポージングばかりとらせたくなってしまいますが、さすがにこの状態だと格好いいポーズで決めたくなります。
槍、盾をジョイントアームから外して直接持たせて。
保持力等にとくに問題はありません。
こうなると、ラッパもなにかの特殊兵器のようにも思えます。
アダマス「目覚めて飛び出てプップクプ~
ウィッチ「・・・・・
結局、目覚まし代わりになりました。
以上、“chitoserium Ⅳ-carbonia adamas” でした。
FAG、メガミデバイスのヒット以降、様々なメーカーからいわゆるガール系キットが発売されるようになりましたが、いずれにもそれぞれのメーカーの特色というか、秀でた部分があり、単なる模倣に終わっていないところは凄いと思います。
そんななかでも、チトセリウムのゴシック調のデザインの美しさは一際異彩を放っています。もちろん、その美しさをしっかり再現できてる造形のレベルも非常に高いです。
ほかのガール系キットに、実際の設定はさておき、生身の少女を思わせる柔らかさや暖かみがあるのに対し、チトセリウムのフラグメンツたちは明らかに作りものめいていて、そこが雰囲気の決定的な違いなのかな、と。
まぁ、あくまで僕個人の捉え方なんですが、フェイスパーツに表情差分がなく、目閉じ顔以外は基本無表情(包帯顔は少し微笑んでいるようにも見えますが)というのも、無機質というか、どこか機械的なイメージを強調するための意図があるのかもしれない。
一方で、このアダマスにはラッパや寿司握り手(違う)、プラチナムには本と、これまたほかのガール系ではあまりお目にかかれないオプションが付属しており、見ため通りの耽美的なシチュエーションはもちろん、ネタ要員(笑)としても使えるというギャップに無限の可能性を感じずにいられません。
単純にアクションキットとしての性能も高く、基本素体マシニーカにはシリーズ独自の構造も採用され、姉妹関係にあるメガミとはまた違った魅力があります。
武装状態で丸ごとケースに収納できるというアイデアも素晴らしいと思います。
ただ、プラモデルとしてはまだ粗い部分もあり、例えば手首ジョイントや股関節などは最近のメガミ同様、柔軟性があって破損しにくいソフトと保持力重視のハード、2種類の素材画お使っていたりもするのですが、手首ジョイントについてはどちらの素材でも、可動部がすぐに緩んで外れてしまいます。
軸の調整で少しはマシになりましたが、それでも動かしていると隙間が空いてくるので、おそらく軸だけが問題ではなさそうです。
ほかにも、肩アーマーや太腿など、単純にパチ組みした合わせめも、しばらくいじっているうちにやはり徐々に隙間が開いてきたりと、素材に問題があるのか、パーツ精度の問題なのか・・
また、肩と上腕の間や脚の付け根と太腿の間の可動部などはそのまま組むとかなりキツい部分もありますし、パチ組みでもある程度様子を見ながら、調整しつつ組んでいくほうがよいのだと思います。
正直、初心者には厳しめのキットですね。
初心者に毛が生えた程度の技倆しかない僕が言うんだから、間違いない(笑)。
もっとも、コトブキヤのキットが組みやすくなったのもごく最近のことですし、シリーズが数を重ねるごとにいろいろと改善されていくことでしょう。
ちなみに、現状でもホイホイさんよりは組みやすいです(笑)。
さて、妹の発売まで半年ですね。
今度の小道具はライフルと、旗と、小太鼓ですね。あとは、どんな特殊形状のハンドパーツが付いてくるのか・・楽しみです。
長姉の再販は来年かなぁ?
・・と、ここまでで実に7000字オーバーですよ。
最近だと1レビューでだいたい4000字弱、多くて5000字くらいなのに、自分でも引くほど書いてる(笑)。
久々の新シリーズで興が乗ってしまったようです。
でも、さすがに長いな・・
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を
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