SS アイアンハイド レビュー

 今回のレビューは、トランスフォーマー スタジオシリーズ より、

“SSー97 アイアンハイド” です。


 “トランスフォーマー ザ・ムービー” より、オートボットの

“警備員 アイアンハイド” が、

スタジオシリーズで発売されました。


 オートボットの初期メンバーの多くが生命を落とすザ・ムービー。

 そのなかでも一際印象に残る最期となったのが、ベテラン戦士でオプティマスの片腕にも等しい存在だったアイアンハイド。

 実写版でもその最期は壮絶なものでしたが、遡ること20余年前、初代アニメでもなかなか無残な最期だったんですよね。

 というか、それまでのTVシリーズでの戦いはなんだったんだ? というくらいあっさりとみんな死んでいくザ・ムービーなんですが、戦死者のほとんどはオートボットで、ディセプティコン側で実質的に死亡したのはスタースクリームとショックウエーブだけ。

 スタースクリームに至ってはその後度々亡霊となって登場する始末(笑)。

 ほぼ戦力失ってないディセプティコンはなんで2010開始時点であんなに困窮していたのか・・

 話をアイアンハイドのことに戻しましょう。

 シージにてサイバトロンモード、その流用でアースライズにてアースモードのリメイクが(以下、WFC型)わりと最近発売されたばかりのアイアンハイドを、スタジオシリーズでまたリメイクする・・

 流れとしてはアーシーと同じですが、今回は完全新規です。

 まぁ、そもそもアースライズ版の出来には賛否あったとは思うのですが、よりアニメデザインに近い姿、そしてなにより余剰なしでの変形を再現したものが登場したことでその存在意義が問われる事態になるのは必至かと。

 気の毒なことだなぁ。

 それでは、レビューしていきます。


警備員 アイアンハイド

 日本での肩書きは直訳してしまったせいでしょうね。

 本来の意味合いは司令官であるオプティマスの護衛役というような感じだと思います。

 海外設定ではオプティマスに次ぐ年長で、実質的な副官でもありました。

 TVシリーズでは勇猛果敢な性格と多彩な武器を駆使して活躍しましたが、ザ・ムービーで地球に向かう途中、搭乗していたシャトルをディセプティコンに急襲され、メガトロンの融合カノン砲の直撃を受けて死亡します。

 なお、シャトルに同乗していたプロール、ラチェット、ブローンもこのとき死亡。

 まぁ、明確に死亡シーンが描かれただけ彼らはマシという気も・・


 パッケージにはなんとも勇ましい姿が描かれていますが、

この直後にお亡くなりになります・・


ロボットモード

 非常にシンプルな箱型ロボット。

 頭身バランスなどもかなりアニメデザインに近いものになっていると思います。

 ぶっちゃけ、最初に出回ったリーク画像を見たときはちょっと安っぽく見えたのですが、やはり現物を見て、触ってみると印象は変わりますね。

 まぁ、脛にたたまれているパネル状のガワパーツが少し気にはなるのですが、少なくとも上半身のすっきり具合はとてもよい。

 ちなみにWFC型はデラックスクラスでしたが、今回はボイジャークラスになっています。

 といってもサイズアップしているわけではなく、要は同じスタジオシリーズのホットロッド(ホットロディマス)と同じで、ボイジャーのコストをかけて作られたデラックスサイズアイテムということ。

 しかし、そもそもアイアンハイドは大柄なので、端からボイジャーでもよかった気がするなぁ。


 顔もちゃんとアニメのアイアンハイドです。

 優しさと頼もしさが同居したイケメンフェイス。

 今にも速水奨さんの声で語りかけてきそう。


 背面。

 ・・うん、ちょっと裏側感が強めでしょうか。

 正面のすっきりした姿とは対照的に、けっこうごちゃごちゃしています。


 腕部では前腕裏の空間が気になるところ。

 一応内部にディティールは施されているのですが、やはりここは蓋をしてほしかったなぁ。


 そして正面同様に脚ですね。

 ビークル時の後輪を隠す意味もあるのですが、どうしてもガワパーツが浮いて見えるので、もう少し一体感があればよかったと思います。

 あと足も、たたまれたウインドウパーツが内側と後ろとでちょっとずつはみ出しているのも気になる・・

 ビークル時のリアハッチ部分がそのまま足裏になるので、接地面がフラットじゃないのも。

 まぁ、面積が広いのでとくに自立しにくいというわけではないんですが。


 背中はバンパーパーツのせいでアニメのようなすっきりしたデザインではなくなっていますが、バックパック感もあってこれはこれでいいかも。

 ただこれ、本来は矢印の部分でジョイントされてしっかり固定できるはずなんでしょうが、

腕部基部パーツが当たってジョイントできません。

 腕部基部のこの部分に凹みがあるので、本来はバンパー部分がここに収まるのでしょう。

 コンマ数㎜のズレか、バンパー部が塗装されることを考えずにギリギリで設計親し待ったのかはわかりませんが、とりあえずはまりません。

 基部側をわずかに削ってやれば収まるようになると思います(改修は自己責任で)。

 僕はとりあえず様子見。固定できなくてもプラプラというわけではないので、今のところとくに問題ないですし(なら言うなww)。


 腰部は、前面のいわゆるパンツパーツが前に跳ね上げられるようになっていて、脚部可動を妨げないようにはなっています。

 しかしご覧の通り、パーツ上げると股関節のはめ込み部分が丸見えになるのが残念。

 せめて左右別個に動くようにできなかったかな。

 というかここはべつにWFC型と同じ処理でいいだろうに、なんでわざわざパンツ作っちゃたんだろう。


付属武器

ビームガン

 アニメ劇中で使用した武器を再現。

 2丁付属します。劇中で2丁使っていたのはラチェットのほうなんですけどね

 銃口は3㎜軸。

 非使用は背部や、

脚部にマウントできます。

 左右、上下の向きは自由に付けられます。

 脚部の場合は位置の関係で銃口を上向きに取り付けるしかないですが。


ビークルモード

 オリジナル設定では日産チェリーバネットに変形。

 今回はかなり雰囲気の近いワンボックスカーにトランスフォーム。

 シルエットはばっちりなんですが、側面にある腕部基部やガワパーツの可動ヒンジの露出がちょっと目立ちますね。

 あと同じく側面のオレンジのラインがないのはなぜなんだ?

 ライセンスの有無は関係なさそう(そもそも日産だったらわりと簡単に許諾してくれそう)だし、 たんにコストの問題ですかね。

 リアハッチのウインドウやライトも塗装されてませんし。

 サイズも、思ったよりコンパクトです。

 イメージとしてはもう一回りくらい大きくてもよかった気がしますね。

 そうであれば、先の可動ヒンジ部の露出も、もう少し気にならなかったかもしれない。

 あと天面部分も。

 本来はフラットになるはずなんでしょうが、微妙に歪んでしまっています。

 個体差もあるとは思いますが、そもそもがかなりタイトな設計なんですよね。

 やはりもう一回り・・でもそうなるとロボットのサイズ感が狂ってくるのかな?

 難しいですね。


 一方で設計とかサイズとかは関係なく、なんでこんなことになってるの? というのが運転席左右のウインドウパーツ。

 組み間違い防止のためでしょう、左右の向きと位置を示す刻印がくっきりと・・

 もちろん裏面にあるのですが、クリアパーツだからばっちり透けて見える。

 右側にももちろんR1、R2と刻印されています。

 なんでこれでよしとしたのか?


 ともあれ、ロボットモードから追加パーツなしでの変形が可能になっています。

 いや、そんなの今さら普通だろ? と思ったりもするのですが、アイアンハイド(そしてラチェット)の場合はそれがそうでもないんですよね。

 本当、不思議なんですが。

 実際にロボットモードからビークルモードへの変形を追ってみると・・

 上半身についてはWFC型との共通点も多く、比較的まだ大人しめです。

 とはいえ胸部をぐるっと180度回すなど、なかなか大胆なパーツ移動もありますね。

 まぁ、それもWFC型と同様なんですが。

 一方の下半身。

 急に変態的になったな・・

 とくに足部分、幾重にもたたまれたパネルを展開していくさまは実写版トイにも近いものがあります。

 決して複雑ではないんですが、先の通り設計がタイトなので、手順を間違えると破損の畏れもあるので注意。

 ことくにの側面のパネルですね。

 まず上に開いてから横に開かないと、ウインドウ部分が当たってヒンジが割れてしまうかもしれません。

 しかも、ちゃんと手順に沿ったとしても、ここのクリアランスがまたギリギリなので、ちょっと擦れる感覚があります。

 うちのは右側が擦れがちで、実際すでに白化してます(悲)。

 最初からしてた気もするけども。

 クリアパーツが多用されているのも、まぁまぁ怖いですね。

 しかしあんなにシンプルな箱型ロボットから、同じくシンプルな箱型の車に変形するのがこんなに大変だとは・・

 そもそもオリジナルトイが特殊ですからねぇ。

 あれを見てこのロボットのデザインを考えたアニメのデザイナーの頭がおかしいとしか(こら)。


 武器はルーフ、

または車体後部底面にマウント可能です。

 説明書には記載されていませんが、前部底面にもマウントできます。

 ロボット時は背面に来る部分ですので。


 スタジオシリーズ恒例、中台紙の簡易ディスプレイベースの背景は、ザ・ムービー劇中でアイアンハイドたちが地球に向かうシャトルのブリッジ内部。

 ここでこの四人は生命を落とすことになります。

 そんなことは露とも知らず、それぞれ所定の位置に付こうとする面々。

 ラチェットはER版、ブローンはSSBB版でとりあえず。


比較画像

 シージ版と。ロボットモードで。

 サイバトロンモードとアースモード。最初からこれくらい変化があれば・・

 この画像だとわかりにくいですが、実はほんの少し、今回のSS版のほうが背が低いです。

 腕や脚も気持ち細くなっている感じで、全体によりシンプルに、すっきりとしたものに。アニメデザインの再現重視なので、そうなるのは当然ではありますが。

 基本的な構造は先の変形の流れを見てもらっておわかりの通り、脚部以外大きく変わるものではありません。


 ビークルモードでも。

 サイバトロンモードとアースモード。最初からこれくらい・・(二回め)

 アースライズ版と。ロボットモードで。

 シージ版の流用で作られた、一応のアースモード。

 当時はまぁこれでもいいのかな? とは思ったのですが、あらためてアニメデザインにより忠実なものが出てくるとやはりこれじゃなかった感が強い・・


 ビークルモードでも。

 しかしビークルは、ER版も捨てがたい出来映えですよね。

 SS版はあくまでアニメ作画の再現。ER版はより実車に近い雰囲気を再現している感じで棲み分けはできそう。

 ER版は側面のラインもちゃんとあるし。なんでSS版には・・

 ただER版の欠点は後ろ姿が雑なこと。

 ロボットの足の裏がまんまだから。

 そう思うと、本当今回のSS版は見事だなぁとは思います。

 ウインドウやライトの塗装ないけど・・

 ER オプティマスプライムと。ロボットモードで。

 わりといいサイズ感だと思います。

 しかしこの司令官と並ぶと、どうもこのアイアンハイドはちょっとずんぐりして見えるなぁ。

 アニメだと意外にスマートな印象もありますからね。

 単体で見てるといい感じかと思ったんだけど・・


 ビークルモードでも。

 こちらもなかなかいいサイズ感だと思います。

以下、画像

 可動性は良好。

 とくに足首の柔軟性が高く、接地性も抜群なのでストレスなくポージングできます。

 腕部はそのまま横向きに水平まで上げられますし、可動時には蛇腹状のパーツが露出するので見栄えも悪くありません。

 ラストシューティング!(違う)

 頭部はボールジョイント接続に変形のための基部の可動も加えて多少上を向かせたり、俯かせたりすることも可能。


 立て膝もばっちり。

 手首ロールも可能です。

 片脚立ちも余裕でこなせるバランス感覚。

 爪先が伸びるので美しいハイキックも。


 スタンドを使って。

 なお今回のアインハイド、スタンド用の3㎜穴が腰裏にある以外、一切の3㎜、5㎜穴がありません。

 つまりウエポナイズは不可能。

 スタジオシリーズとジェネレーションラインの垣根がほぼなくなってきた今になってなんで?


 WFC型の武器を持たせて。

 アイアンハイドというと多彩な武器を扱うことも印象深かったので。

 でも5㎜穴がないから手で持つしかないんだよなぁ・・


ク「ちょっと行ってデストロンの2、3人血祭りに上げてやりますよ!

ア「おうさ! 引きずり下ろして細切れにしてやる!

司「なんだアイアンハイド。いつになく威勢がいいじゃないか。

ア「そうですね。なんだか最近調子がいいんですよ。まるでボディが新しく生まれ変わったみたいだ。

司「ハハハ。私も負けてられないな。よし。デストロンどもの顔を剥いでやろう!

 いやそれ、別の世界線の台詞(笑)。


 真の副官決定戦 第2ラウンド開幕!

 日本だとマススターことジャズが副官というイメージが強いですが、海外設定ではアイアンハイドがその地位に一番近い感じかなぁ。

 とあるコミックではプロールが副官だったりもします。

 でもやっぱり、ザ・ムービーを生き延び、2010ではウルトラマグナスのサポートに回ったジャズが僕的にはベストオブ副官ですね。

 でも、あれ? 2010だと事実上ナンバー3に降格してる?


 オリジナルトイリスペクトモード!

 運転席の中は残念ながら上下逆ですが・・

 実際にオリジナルトイの仕様を再現したリメイクも見てみたい気はします。

 べつにアイアンハイドやラチェットとしてではなく、それこそダイアクロン版本来の姿で、コアクラスのキャラが乗り込めるパワードスーツにすれば面白いんじゃないかなぁ。


 司令官の命令で地球に向かっていたアイアンハイドたちが搭乗するシャトルを、突如ディセプティコン部隊が襲った!

 メガトロンが変形したワルサーPー38はスタースクリームの手によってブローン、

さらにプロールを一撃に下に葬り去る・・

 アイアンイドとラチェットも立ち上がって応戦するが、完全に後手に回ってしまった。

 多数の銃撃を浴び、倒れる2人。

 ロボットモードに戻ったメガトロンが、その屍たちを乗り越えて悠然と操縦席に向かう。

ア「ま、待て・・!

 アイアンハイドはまだ死んではいなかった。

 メガトロンの足に縋り付き、最期の抵抗を試みるも・・

メ「このくたばり損ないが!

 無慈悲にも至近距離からの融合カノン砲の直撃を受け、アイアンハイドは死亡。

 そしてこれが、オートボットにとって最悪の被害をもたらしたユニクロン戦争の、文字通り銃爪となった。

 いやぁ、TVシリーズのときのメガ様だったらきっと、「牢屋に放りこんでおけ!」と言うだけだったんだろうけど、ザ・ムービーの彼にそんな甘さはなかったですね。

 というかディセプティコンにとってTVシリーズでの戦いは本気ではなかったのかも。


 以上、“SS アイアンハイド” でした。


 アースライズ版での消化不良を解消するロボット、ビークル両モードのスタイル改善、そして余剰なしでの変形実現は劇中再現を謳うスタジオシリーズならではというところでしょうか。

 さすがにデラックスクラスのコストでは収まらず、ボイジャークラスに格上げされたわけですが、ボイジャークラスとして見た場合は正直ちょっと微妙な気はします。

 サイズは一般的なデラックスよりも大きめですがボイジャーとしては小さいですし、 本体の密度はそこそこですが、付属品は同型のビームガンが2つだけとちょっと寂しい感じも。

 初見で感じたほどの安っぽさはなかったものの、ボイジャークラスとして満足感のあるものかと問われると、個人的にはSS ホットロッド(ホットロディマス)ほどはは感じない、と言わざるをえません。

 ロボットモードでは前腕裏の空間だったりパンツだったり、本当にボイジャークラスのコスト使い切ってる? と疑ってしまう箇所がちらほら。

 本体のみでビークルに変形するのは、その変態的なパターン含め見事だと思いますが、設計がタイト過ぎて逆にビークル時のシルエットが歪んだり、ほんのわずかな誤差でロボット時背中のガワが固定できなかったりといった調整不足な点はもったいないなと思ってしまいます。

 塗装箇所も多くない(クリア製のガワパーツをほぼ赤く塗っているのはべつにして)し。

 なんか、わりと絶賛の声が多かった気がするので、ここはあえて厳しめにいっといたほうがいいかな? と思って、ちょっと重箱の隅をつつくようなこともいくつか書かせていただきました。

 しかし、確実にWFC型からはトイとして進化していますし、アニメデザインの再現度も当然向上しています。

 現状、通常ラインのアイアンハイドとしては最高のものには違いないでしょう。

 ただ、デラックスクラスでこれだったら素直にすごいと思ったんでしょうが、ボイジャークラスならもうちょっとできたんじゃないか? っていうね。

 ほぼ脚部の変態構造追加だけで+2000円もするの? っていうね。

 もうちょっと頑張れば本当に最高傑作になったと思うから、とにかく惜しい。結局その一言に尽きます。


 さて、いずれラチェットも発売されるはずですが、彼のときもまた同じようなこと言うと思うのでご了承ください(笑)。

 というかラチェットはまず赤十字マークが付けられないからなぁ・・


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

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