SS パーセプター レビュー

 今回のレビューは、トランスフォーマー スタジオシリーズ より、

“SSー75 パーセプター” です。


 “戦え! 超ロボット生命体 トランスフォーマー” から “トランスフォーマー ザ・ムービー” 、そして “戦え! 超ロボット生命体 トランスフォーマー2010” まで活躍したオートボットの

“科学者 パーセプター” が、

スタジオ86シリーズで発売されました。


 初代アニメの第1期中盤から登場したオートボットの科学者兼発明家、パーセプター。

 ザ・ムービーではオートボット側の初代レギュラーがほとんど戦死するなかで生き残るばかりか、ウルトラマグナスらと行動を共にし、惑星ジャンキオンまで行ったりと意外に出番が多かったです。

 オートボットでは珍しい後方支援要員として、2010でもブロードキャストなどと共に重宝された印象。

 とくに彼の場合は亡きホイルジャックやラチェットの役割も振られた感はあります。

 V(ビクトリー)にも登場し、なぜか復活したホイルジャックとミネルバの3人でゴッドジンライをビクトリーレオに転生させたりしていますが、声はもちろん性格も2010までとはまったく違うキャラになっているので、たぶん別人(と思うことにする。ホイルジャックもww)。

 トイは、日本ではユナイテッドシリーズでロボットモードはおおむねオリジナルデザインに似た姿でリメイク。ただし顕微鏡には変形せず、武装雪上車(?)に変形する仕様でした。

 その後、レジェンズでヘッドマスター仕様という以外はほぼほぼオリジナル準拠でリメイクされたものが発売されています。

 それらを経ての今回、待望の正統派リメイクということになりますかね。

 でも、出るとすればWFCだと思っていたんですが、ジャズやダイノボットと同じくスタジオ86に割り振られることになりました。

 まぁ、確かにザ・ムービーではけっこう活躍したしね。

 というか、スタジオ86におけるオートボットとディセプティコンのキャラ比率・・

 レビューしています。


パッケージ

 まず最初に、こちらについて触れておかなければなりませんね。

 昨今の世界的なプラスチック削減の流れはTFトイのパッケージの仕様にも影響していまして、すでにキングダムでは内部のブリスターが廃止されていましたが、レガシーでは外箱のウインドウもなくなるそうです。

 スタジオシリーズではまだウインドウはなくなっていませんが、今回のものから面積が狭くなり、内部のブリスターも廃止。

 そして外箱自体、縦横がこれまでのものより一回りほど小さくなっています。厚みは同じですが。

 日本では同時発売となったSSー77 サイドスワイプと並べるとこの通り。

 ちなみにサイドスワイプは海外ではもっと前に発売されているので、パッケージ仕様は従来通り。内部ブリスターもあります。


 中身はこんな感じ。

 さすがにシリーズのウリである簡易ベースにもなる中台紙に直接固定するようなことはせず、同じイラストが描かれた台紙をもう1枚用意し、そちらに固定するという方式に。

 今回のパーセプターはデラックスクラスとしては若干大柄になっているので、箱が小さくなったことも相まってがに股で縛られています。

 なんか屈辱的・・?

 ちなみに固定具はいつものプラ紐です。いや、それも紙にしようよ。

 というかこれ、パッケージのコストはむしろ上がってない?


ロボットモード

 基本左肩に固定のライトカノンのせいで顔が見えにくいので、全体図はいつもとは逆の方向から。

 いい具合にムッチリしていて、アニメデザインにかなり忠実なバランスになっていると思います。

 うむ。これはいいパーセプターだ。

 レジェンズ版は妙にくびれたプロポーションでしたしねぇ。これくらい太ましいほうがなんか安心する(笑)。

 ディティールは比較的あっさりしていて、全体に少しのっぺりしていたり、成型色、塗装共に淡い色調なのも、当時のアニメのイメージですね。

 やはりWFCとは若干方向性が違います。

 一方で、ほかの86アイテムよりも5㎜穴が多めでけっこうウエポナイズも楽しめそうな造りになっているのは面白いところ。


 バストアップ。

 パッケージアートでは妙に幼いというか、少年っぽい顔付きでしたが、実際はこの通り、ちゃんと大人なパーセプター先生になっています。

 ただ、もうちょっと顔が長いほうがよりアニメデザインに似ていたかな。

 胸部パネルは透明クリアパーツ製。

 オートボットのインシグニアは本体胸部にプリントされています。


 基本構造、可動性などはWFCシリーズに準ずるものになっていますが、腕部根元の接続がボールジョイントになっています。

 ボールジョイントは摩耗しやすいので、できれば軸接続がよかったですねぇ。

 でも、軸で同様の可動性を実現するためには最低2軸必要で、その分コストもかかるというところで、やはりこれはどう考えてもコストカットの影響ですね。  

 まぁ、WFC以前の仕様に戻ったということなんですが・・

 ほかにもおそらくはコストカットの結果か・・と思われる箇所がいくつかありますね。残念なことですが。


 背面。

 というわけで残念ポイントその2。

 変形時に頭部を収納する部分が、ぽっかり空いたままになっています。

 ここも蓋が欲しかったところ。

 脚部は踵がないデザインですが、足裏自体の接地面は広く、特別な背負いものもないので自立は安定します。


付属武器・ギミック

振動ライフル

 手持ちのライフル。

 テレビシリーズでは使用した形跡がありませんが、ザ・ムービーでは惑星ジャンキオンでの戦闘で使用していました。

 銃口部分は3㎜軸にはなっていません。

 ほか、とくに拡張製はなし。


ライトカノン

 左肩に装備するカノン砲。

 顕微鏡モードの鏡筒そのままですね。

 両端には一応接眼レンズ、対物レンズを再現した透明クリアパーツが仕込まれていますが、透明度が低いので覗いて向こうを見ることができません。

 そもそもオリジナルトイは本物の顕微鏡としても使えたそうで、まぁそこまで再現しろとはいいませんけども、上部のつまみも回らないというのはなぁ・・

 レジェンズ版ではつまみを回せば接眼レンズが伸縮するギミックがありましたけども。

 カノン砲を左右に振ることはできませんが、前方のジョイントを外すことで仰角を撮ることは可能。

 さらにアームを展開することでこんな位置にまで動かすこともできます。

 また、この部分にはクリック機構が仕込まれています。

 カチカチ言うの好き。

 というかこのへんのパーツ、変形にも関係ないのになんでこんなに動くようにしたんだろう? 

 背中側に回せばジョイントで固定することもできるんですよね。

 なんで?(笑)

 ちなみにこの背中のダボ穴、反対側にもあるんですが、そちらにはライトカノンは下ろせません。

 なんだろう? なんらかの流用への布石かな?


デバイスモード

 便宜上デバイスモードという呼び方でいきます。

 顕微鏡にトランスフォーム。

 劇中では変形と同時に小さくなったりするTFマジックも披露してたかもしれませんが、もちろんトイではそんなことはできません。

 変形はかなりシンプルで、オリジナルやレジェンズ版にも通じるパターン。

 見ためもオリジナルトイ、アニメデザインにおおむね忠実ではありますが、先にも言った通り実際の顕微鏡としては使えませんし、それ以外にもとくに遊べるギミックがないというのは寂しいですね。

 あと、股下のこのでっぱりがあるせいで微妙に接地が安定しません。

 なにこのでっぱり?


 振動ライフルは公式の仕様では側面(ロボットモードの肩)に取り付けますが、

後述の戦車モード時に使用するジョイントとライフル側面の窪みがジャストフィットするためこのように取り付けることも可能。

 これは本来の仕様なのか、それともたまたまなのか・・


ビークルモード

 顕微鏡モードから鏡筒と脚部分を少し動かすだけで戦車に変形。

 ライフルは鏡筒左側の根元部分に取り付けます。

 ただこの形態、そもそもTFでの公式形態ではなく、大基であるニューミクロマン版、顕微鏡ロボ・ミクロスコープの変形ギミック。

 なので、TFのアニメ劇中ではこの形態には変形しません。

 ただ名残なのか、顕微鏡モードで自走するシーンはあったりしました。

 レジェンズ版でも第3形態として変形可能でしたが、それもあくまで非公式という扱いだったので、今回初めて公式な第3形態として認められたことになります。

 そしてここでやっと鏡筒基部の可動が活きてくる。

 やっぱりこの形態で砲塔(鏡筒)をいろいろ動かすための可動なのかなぁ?

 ともあれ、この第3形態の再現をやるなら、スタジオシリーズよりもWFCか、その後続のレガシーのほうがよかったのでは?

  劇中再現するのがスタジオシリーズなのでは?

 しかも、今回はあくまで形状として戦車モードを再現しているだけで、底面にコロがないので転がし遊びはできないという。

 非公式のレジェンズ版はできたのに・・

 あと、キャタピラも塗り分けされてないし。

 パッケージイラストだとちゃんと黒いのに。

 なんかいろいろとモヤモヤする仕上がりになってますな。


 すでにチラ見せしていましたが、簡易ディスプレイベースの背景は地球のオートボット基地。

 ディセプティコンの猛攻を受け、オプティマス以下多数のオートボット戦士が死亡し、ウルトラマグナス以下の生き残りは2隻の宇宙船に分譲して地球を脱出します。

 冒頭から酷くあっさり死んでいくオートボット初代メンバーたちに対し、ディセプティコンは(少なくとも現場では)誰一人死なない・・


比較画像

 ユナイテッド版と。ロボットモードで。

 今回のSS版がかなり大柄なことがわかります。

 ユナイテッド版は海外コミック版のデザインがベースなんでしたっけ? まぁまぁアレンジ強め。

 日本版はメタリック塗装も手伝ってけっこう硬派なイメージもあります。

 しかしまぁ、パーセプターらしさはちゃんと抑えてありますね。

 なお、ライトカノンに相当する武器は右肩に固定です。


 ビークルモードでも。

 ユナイテッド版は顕微鏡には変形せず、武装雪上車に変形。

 というわけでSS版も戦車形態で。

 まぁ、まったく別物ですね。

 というか、ユナイテッド版のビークルモードにパーセプター感が一切ない。色とキャタピラくらいしか共通点がないです。


 レジェンズ版と。ロボットモードで。

 わかりやすく真正面から見てみましょう。

 こちらも、SS版のほうが一回りほど大きいです。

 凹凸の少ないプロポーションに色味と、やはりSS版のほうがアニメのイメージには近いですね。

 本体とライトカノンの大きさの比率もSS版のほうがよいバランスになっていると思いますが、そのために鏡筒になんのギミックも仕込めなかった(まぁ、サイズだけの問題ではないと思いますが)のだとしたら、う~む・・というところでもあります。


 顕微鏡モードで。

 変形パターンなどはほぼ同じ。

 レジェンズ版のほうがコンパクトにまとまっていますが、やはりアニメのイメージに近いのはSS版か。


 戦車モードでも。

 この形態への変形パターンも、ほぼ同じ。

 ただ、キャタピラ部分の延長など、よりオリジナルトイの仕様に近いのはレジェンズ版。

 ちゃんとキャタピラも塗り分けされていますし、なによりコロ走行が可能ということも加味すると、こちらの完成度については断然レジェンズ版に軍配が上がるかと・・

以下、画像

 変形都合で膝周りに複数の可動軸があるため、様々なポーズでより躍動感を演出できます。

 立て膝とか。

 走るポーズも格好いい。

 膝自体深く曲がるので、正座に近いかたちも。

 内股にすると・・

 あれ? 新人のウーマンサイバトロンですか?

 

 ライトカノンは基部パーツの可動でいろいろと遊べます。

 脚に較べて腕の可動は平均的ですね。


 レジェンズ版のライトカノン(取り外せる)と連結してるふうでヘビーカノン。

 今回のライトカノンも、顕微鏡ギミックがないならせめてレンズ部分が5㎜穴とかになっていれば・・WFCならそうなっていたかもしれませんね。


 スタジオ86としては豊富な5㎜穴を使ってコグをウエポナイズ。

 もう臆病者だなんて言わせない!

 意外と気にしてたのかな?


 スタンド対応穴は腰裏にあります。

 あまり跳んだり跳ねたりのイメージはないですけどね。

 というか、日本では絶叫要員としても活躍していた彼。海外ではとくにそんなキャラではないようなので、今回も叫び顔ではなかったですね。

 いつかマスターピース版が出るなら、きっと交換フェイスがいろいろ付くんだろうなぁ。


 戦車モードはコアクラスが乗るには少し小さいですね。

 バトルマスターやマイクロマスターは復活しないのだろうか?


 自分(クローン)を使って自分(小っこいクローン)を見るパーセプター先生。

 飽くなき探究心。科学者の鑑です。


 これはクローンの失敗作。

 ザコロボ感強し(笑)。


 パーセプター師団、出撃!

 意外に武闘派なビークルモードが揃ってしまいました。

 しかし、なんだかんだでリメイク機会の多いキャラだったんですね。


 ザ・ムービーより、司令官オプティマスプライムの最期を看取る面々。

 実際にはアーシーの手前にダニエルと、映っていないところにカップもいます。

 このあと、ウルトラマグナスにマトリクスを託し、オプティマスは死亡(モノクロに)・・


 それからなんやかんやあって、惑星ジャンキオンにて新生ディセプティコンの攻撃を受けるウルトラマグナスとパーセプター。

 たぶん、アニメ劇中で振動ライフル使うのここだけ。

 マグナスもこれの流用でよりアニメイメージに近いスタジオ86版が出たりするんだろうか・・?


 オートボット勢合流。

 BGMのみでジャンキオンも含めて踊り回るという謎パートが始まります。

 それにしてもパーセプター、2010組と並んでもとくに違和感なく馴染んでますね。

 変形モチーフが実在の車とかじゃないからかな。

 ただ妙にでかいけど(笑)。

 ・・それと、なんかブラーのポーズがお爺ちゃんみたいになった(笑)。


 アクスタと一緒に、オリジナルトイのパッケージイラスト風。

 イラストではライトカノン右なんですよね。実際に右にも左にもできたみたい。

 あと、手持ちの武器も2種類あってイラストでもちゃんと両手に武器を持っているので、コグのライフルを拝借しました。



 以上、“SS パーセプター” でした。


 過去2回ほどリメイクの機会がありましたが、ヘッドマスター仕様でもない、純粋なG1イメージのリメイクは今回が初めて。

 ロボット、顕微鏡の両モードはまさにアニメの雰囲気そのままで、とりあえずビジュアル的には間違いなく過去最高レベルのリメイクになったと思います。

 可動性も、とくに脚部は変形都合で複数の可動軸があり、余り御アーセプターのイメージにはないですが躍動感のあるポージングが楽しめます。

 5㎜穴もスタジオ86シリーズとしては多めで、WFC的な遊びも可能。

 ただ・・オリジナルトイ、レジェンズ、そして今回のSS版と、なぜか新しくなるたびに単体として遊べる独自のギミックが削られていくという・・

 第3の戦車モードもTFとしてはたぶん初めて公式形態となったのですが、これもとりあえず最低限の外見を再現したという程度で、コロ走行すらできないというのはさすがに・・

 オリジナルトイと完全に同じギミックの再現は無理だとしても、前回のリメイクでできていたことができなくなっている(そういうこと多いけど)のは残念で、せっかくロボットモードの再現度は素晴らしいのに、惜しい・・という一言に尽きます。

 そもそも劇中再現重視のはずのスタジオシリーズで、こんな中途半端な戦車モードを再現する必要があったのか? という気もしますね。

 コンセプトがぶれているというか・・

 とはいえ、そのへんはこちら側がまだこだわっているだけで、もはや造る側はさほど気に留めていないのかも。

 シリーズの垣根がほぼ取り払われている現状を鑑みると・・ね。

 もっとも、ギミックのオミットや構造の簡略化などは厳しいコストカットの影響なのかとも思えます。

 そなんなかで、最大限できることをしてくれているのだと信じたい。

 しかし、値上がりもしてるのに中身のクオリティもちょい下がるというのはなかなか納得がいきませんけどね。

 どうしようもないなら、いっそのこともうちょっと値を上げてクオリティを保ってほしいとかも思うけども・・難しいですね。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 退屈と惰性と

    2022.05.07 11:56

    @あけち?ともあきコメントありがとうございます。 期待していたこともあり、ついつい厳しい感想になってしまいました。 ただロボットモードの出来はよい!脚の可動の柔軟さは気に入っています。
  • あけち?ともあき

    2022.05.07 11:20

    SS86のダイノボットたちを彷彿とさせるような、特にギミックのないザ・パーセプターという感じのパーセプターでしたね!思った以上に大きくて満足です。デラックスでこの大きさで、このパーセプターっぷりならまあいいかなーと思いましたw