今回のレビューは、1/24スケール ヘキサギアより、
“ボルトレックス・ラース” です。
ヘキサギアシリーズの記念すべき第1弾キットとして、レイブレード・インパルスやポーンA1、センチネルと同時発売されたボルトレックスの後継機、
“ボルトレックス・ラース” が、
発売されました。
HMMゾイドシリーズの展開がかなりスローペースになっていた頃、コトブキヤのオリジナルシリーズとして産声を上げたヘキサギア。
動物モチーフのロボットものということで、どうしてもゾイドと比較してしまう部分があり、僕は当初、HMM本格再開までの繋ぎくらいのものだろう・・と考えていました。
それがあれよあれよという間に4周年突破。
今ではコトブキヤのメカ部門のトップを走るほどのコンテンツにまで成長しました。
確かに、一見ゾイドと被る雰囲気はあるものの、キットブロックというカテゴリが示す通り、その根本はまったくの別物。
容易かつ奥が深いカスタマイズ性、搭乗者となるガバナーや周辺メカニックにもしっかりフォーカスした展開と、今となっては非常に濃厚な独自性を発揮するに至っています。
もちろん、シリーズ開始当初からその片鱗は見えていました。
レイブレード・インパルス、ボルトレックス共通でタイヤを組み込んだデザインで、ゾアテックスモード(いわゆるビーストモード)からそのタイヤを活かしたビークルモードへのシステムコンバート(変形)は斬新でした。
人型のバルクアームシリーズの登場から、第2世代、第3世代といった時系列への意識も加わり、その後のアーリーガバナーの投入でさらに世界観は深まっていきました。
大型アイテムであるアグニレイジの発売は、シリーズが成功した証といえるのかもしれません。
ただそれ以降、第3世代機の展開はややトーンダウンします。
既存の構造では大型機を維持するための保持力が決定的に足りない・・それは僕が個人的に感じたことですが、たぶん開発側でも苦慮していた問題だったと思います。
そしてしばらく時間を経た後に登場した完全新規の第3世代機、ウィアードテイルズでは専用の大型パーツを使うことで保持力の強化が図られました。
それに伴い、既存のフレーム構造は影を潜めることになったわけですが、人工筋肉という新たな技術が導入されたという設定を盛り込むことで見ためにも以前よりも有機的なデザインで高性能な第3世代機という存在に仕立て上げたところはさすがだと思います。
無論、カスタマイズ性が損なわれることはなく、むしろ特徴的なパーツが増えたことで組み換えにも個性が出しやすくなったのではないかと思います。
まぁ、一方で原型機の印象が強くなってしまう、とうこともあるわけですが。
それらを経て、満を持して登場したのが今回のボルトレックス・ラース。
レイブレード・インパルスにはその原型機ながらキットとしてはアップデート版となるロード・インパルスがありますが、ボルトレックスにはカラバリのLA仕様があったのみ。
アグニレイジには一部パーツが流用されていましたが、純粋なバリエーションを望む声は多かったはず。
そんなわけで、ウィアードテイルズのフィードバックを得て新生したボルトレックス。
レビューしていきます。
キットはパチ組みに一部塗装での仕上げです。
ヴェロキラプトルのような中型の肉食恐竜(獣脚類)モチーフのボルトレックス。
その後継機であるラースは、各要素と基本なシルエットは基型のそれをしかっり引き継いでいるのですが、より有機的な姿へと変貌を遂げています。
もっとも大きな変更点は、やはりタイヤがなくなったこと。
ビークルモードへの変形がオミットされてゾアテックスモードのみとなり、よりその獣性を発揮できるようになったそうです。
頭部の後ろにバイクの本体に似たガバナー用シートが配置されているなど、胴体部分の基本的な構成は基型を踏襲。
しかし、ほぼすべてが新規パーツとなっており、プロポーションおよび可動性、保持力が大きく向上しています。
というか、今回のラースは完全新規、あるいはウィアードテイルズからの流用があるのかと思っていたんですが、脚部や尻尾部分に基型のパーツが流用さえており、ウィアードテイルズからの流用がありませんでした。
では、各部をピックアップ。
頭部
左右ともに細い目(センサー)が三つ並ぶデザインは基型にも共通するものですが、顔付きは基型よりもアグニレイジに近い感じです。
目はクリアパーツの裏打ちで再現。額のヘッドブレードは基型からの流用ですね。
タイヤがオミットされたことで新たに装備された口(複合破砕装置)が開閉。
両頬の作業肢(ボールジョンとで若干可動)含めてプレデターバイトと呼ばれる一式の装備となっており、ロード・インパルスのハウンドバイト同様に拡張グリップの保持が可能になっています。
上下左右からガッチリホールドできるため、ロード・インパルスのそれよりも簡潔かつ堅牢な装備になったとか。
マルチグリップとでも呼ぶべきアタッチメント。
デザインはロード・インパルスに付属したものとほぼ一緒ですね。
両端に3㎜穴が開いているので、いろいろなと追加装備が可能です。
基本は格闘用の武器・・槍とか剣とかを付けるのがいいでしょうね。
また、公式ショップでの購入特典として別タイプの頭部パーツが付属します。
ただ、追加で付属するのは左右の外装部分のみで、ブレードと上顎の牙パーツ、下顎を接続するためのパーツは通常仕様頭部の共用となります。
成型色は一緒でもいいから、一式付けといてほしかったなぁ・・
目の部分も色分けはされていないので、そこだけメタリックレッドで塗りました。
もちろん口も開閉。
通常仕様とはかなり印象の違う、魚類的なデザインですね。
組み換え用のパーツとしても可能性が広がると思います。
一般販売のヘキサギアを特典欲しさで公式で買ったのは初めてです。
腕部
基型では右手のグラップルカッター左手の自動擲弾発射器は腕部と一体型になっていましたが、ラースでは小型のマニピュレーターが標準装備となり、オプションとしての武装を手首位置にあるハードポイントにマウント、さらにグリップをそのマニピュレーターで保持するというかたちで汎用性が向上しました。
グラップルカッター
デフォルトで右手に装備する圧断装置。
3枚の刃は基型のものよりはるかに大型化し、もちろそれぞれ独立して可動します。
ガトリングガン
基型の擲弾発射器に変えて左手に装備される機関砲。
マガジンは取り外し可能で、
オプションのアタッチメントと交換することでM.S.G ベルトリンクなどを取り付けることもできます。
なお、仕様はもちろん左右共通なので、それぞれの武装を交換することも可能。
基型の腕部へそのまま移植することもできます。
脚部
ここもタイヤがオミットされたことで基型から大きく印象の替わった部位。
基型よりはるかに大きく、長くなり、デザインも有機的でしなやかかつ強靱な印象になっています。
もちろん可動性、保持力ともに大きく向上しました。
脛部分などに基型のフレームパーツを一部流用しており、脛裏のフィンの配置などは踏襲されています。
プラズマタロン
足先に装備されたかぎ爪型のブレード。アグニレイジでもほぼ同様のものが装備されていました。
左右ともに前方内側の1本のみ大型しており、アグニレイジのそれよりもより強力そうな見ためになっています。
余剰で短い爪ももう1組ずつ組めるようになっているので、長さを揃えることもできます。
さらに、アグニレイジではすべて固定だった爪がそれぞれ独立可動するようになっているのも大きなポイント。
足の裏部分は3㎜穴があるので、それも利用して足で武装を保持する、なんてことも可能になっています。
尻尾
先端部分には基型で爪先に装備していたブレードが移設されており、テイルブレードが三つ叉に強化されています。中央のブレードはボールジョイント、左右のブレードは2軸可動で派手に動かせます。
胴体への接続は軸接続に変更され、根元部分に新たにロック機構が追加されたことで収納時の安定性も増しています。
胴体
頭部、尻尾も含めて7つのブロックに分かれており、上下に大きく可動します。
もちろん各部で捻りも可能。
実は基型も、6ブロックに分かれていてそこそこ動いたんですが、安定感はぐっと増しています。
ガバナー騎乗。
パッケージにはイグナイトの後継ガバナーであるイグナイト・スパルタンが騎乗した姿が描かれていますが、まだ発売前なので、色的にも雰囲気に合っているナイト【ネロ】を乗せてみました。
バイクのそれっぽいハンドルを握らせて固定。
キャノンそのものは基型が装備していたものと同じですが、砲身下部にバヨネット、その側面と本体後部にグリップが追加され、
取り外してガバナー用の大型携行武装にもできるようになりました。
また、基型では脚部に直接装備されていたためにその可動で射撃範囲に影響がでることもありましたが、ラースでは腰部に独立したフレームを買いして装備され、運用性が増しています。
上画像の赤丸2箇所で可動します。
なお、キャノンとそのフレームの接続には基型同様、組み立て済みの極小ジョイントが使用されるのですが・・
可動部は緩いわ、そのせいでジョイント自体がすぐバラけるわで・・ここは別に一軸のジョイントでいいよなぁ。
この極小ジョイントも、シリーズ開始当初はわりとウリにしてた感があるんですが、いつの間にかなくなりましたね。
比較画像
基型のボルトレックスと。
意外にサイズ感はあまり変わらないんですね。
ラースはもっと大型になっているものだと思ってましたが。
また、シルエットも大きくは変わらないのですが、見事に有機的な進化を果たしたという感じです。
そして可動性、保持力は雲泥の差。
まぁ保持力に関しては経年の影響もあるかと思いますが、実際もうまともに立てないですからね、右のコは。
なんとか撮影の間体勢を維持するのがやっとでした。
ちゃんと手入れすればいいんでしょうけども。
久しぶりに出し来ましたが、アグニはさすがの迫力ですね。
ただ、価格的に倍近くするほどか? という気はしないでもない。
そう思うとラース安いな・・(錯乱)
なお、アグニもかなり足腰が心許ないです。これは最初から。
以下、画像
繰り返しになりますが、可動性は基型から大きく向上。
しっかり確保された保持力とも相まって迫力あるポーズがばっちり決まります。
長くなった脚部のおかげで格段に疾走感が演出できます。
ちなみに、騎乗させたネロはデフォルトで砲撃メインの武装ですが、やはり騎馬っぽいイメージでビアンコのソードとシールドを装備させました。
プラズマタロンキック!
なんと片脚でも立てちゃう。
今度は距離をとっての牽制射撃。
基本的な装備の種類、レイアウトは基型をほぼそのまま踏襲していますが、非常にバランスのいい装備ですね。
拡張グリップ装備でさらに武装。
やはり刀剣的なものを咥えさせるのが似合う。
ロード・インパルスよりもはっきり口で咥えている感じになるのがよいです。
では、恒例の組み換えチャレンジ。
基本形がボルトレックス・ラースということなので、ならばやらねば、残り6つの罪をモチーフに!
ボルトレックス・スロウス
その場を動かず、自動迎撃システムを用いたプラズマキャノンやマイクロミサイルによる攻撃を行う拠点防衛仕様。
機動性や運動性は低いものの本体の出力自体はかなりのものがあり、腕部に装備したパワープラウや頭部側面のラムを使用して地中を掘り進むことも可能。
レーダーに捕捉されない深度から一気に地上に出現し、油断している敵部隊を殲滅するというトリッキーな戦法が試されたこともある。
寝そべっているのが基本姿勢ですが、立ち上がることも可能。
ラース以外で主に使用したキットはデモリッション・ブルート。
ボルトレックス・グリード
ラースの汎用性をさらに高めようとした結果、歪な人型になってしまった機体。
大型の格闘兵器や長距離砲の運搬および使用が可能な第3世代機という目的は一応達成できたものの、ゾアテックスの調整含め非常にピーキーな機体となり、剛性や信頼性においてバルクアームシリーズに劣るものにしかならなかったため開発は中止された。
主に使用したのはバルクアームβ ランバージャックとアクトナックル、その他、そのへんにあったM.S.G。
ボルトレックス・エンヴィー
これまであまり目を向けてこられなかった海洋戦力の充実を図るために開発された機体。
複数のハイドロジェットエンジンを装備することで水中での高速移動を実現。
しかし、その際の姿勢制御のために非常に長大な駆体が必要になってしまった。
また、水中での運用・・というよりその後の整備が面倒ということで射撃兵装は装備されていない。
戦闘においては機体そのものが強力な格闘戦用の武器となるが、基本的に攻撃手段は搭乗ガバナーの携行兵装に依存するところが大きい。
なお、そのガバナーにも相応の耐水性能が求められる。
主に使用したキットはデモニックアーム。4つ使ってます。
まぁへたりまくること・・(笑)
ボルトレックス・グラトニー
多数のヘキサグラムを励起状態で維持、保存できる内燃機関を有する移動補給拠点とでも呼ぶべき機体。
スケアクロウのものを転用した大容量ストレージを4機搭載。
ストレージの運搬およびほかヘキサギアへの補給作業を自動で行うドローンを6機収納するケージも備える。
武装は施されていないが、複数のヘキサグラムのパワーを発達した両腕に注ぎ込むことで圧倒的な腕力を振るうことができるので、一応自衛のための戦闘程度は可能。
なお、運用に際しては基本的にガバナーの搭乗を必要としない。
主に使用したのはスケアクロウ、アクティブマイン。
ボルトレックス・ラスト
対ガバナー戦用に特化した特殊ヘキサギア。
ガバナーが搭乗するのではなく、ガバナーに直接装着する一種の拡張義肢であり、超小型グラビティコントローラーによる浮遊移動、脳波コントロールが可能な7本のブレードアームによる全方位直接攻撃が可能となっている。
なお、なぜかパラポーンを含む女性型ガバナーの砲が男性型ガバナーよりも高い適合性を示す。
主に使用したのはハイドストーム、アビスクローラー。
ボルトレックス・デザイア
ヘキサグラム精製の永久機関として開発が進められていたヘキサギア。
しかし、いつからか計画が歪み、生身の人間を含むガバナーからヘキサグラムを錬成する禁断のシステムへと変貌してしまった。
運用可能な段階にまで至ったものの、倫理的に問題視されて計画は凍結。
のちに機能を分離してグラトニーとラストが完成した。
なお、その2機が合体する(ラストを装着したガバナーがコアとなる)ことで本来の姿、機能に近付くことが可能となっている。
ボルトレックス・プライド
ラースの運用性はそのままにあらゆる領域、状況に対応可能な万能機として生み出された機体。
目標としてはアグニレイジを目指したものではあるが、未知の部分も多いため、あくまで想像の域を出ていないところもある。
しかし、飛行用の巨大な翼を装備したことで低下した重量バランスを4足形態を基本とすることでカバーするなど独自の要素も加わり、高い完成度を誇るものになった。
主に使用したのはもちろん、アグニレイジ。
以上、“ヘキサギア ボルトレックス・ラース” でした。
ウィアードテイルズの登場でさらに進化した第3世代型ヘキサギア。
シリーズ開始当初は、動物モチーフの第3世代とはいえ、タイヤに代表されるビークル的な要素がデザインに多く盛り込まれ、それが独特の足にもなっていたと思うのですが、だんだんと有機的な要素の割合が増していき、今回のボルトレックス・ラースに至っては変形もしないし、わりとオーソドックスな恐竜モチーフのロボットという感じになりました。
もちろん、だからダメと言っているのではなくて、今にして思うと基型のボルトレックスやレイブレード・インパルスはまだ完全な第3世代型ではなかったんだな、と。
いわゆる一般的な車輌の域を出ない第1世代から、その延長として人型や多脚型になった第2世代型、そこにゾアテックスという新たなシステム(?)をぶっこむことで生まれた第3世代型。
しかし、当初は制御がままならなかったから、その獣性を抑えるために車輌的要素を残していた、と。
それから徐々にゾアテックスに対する理解も深まり、技術も発展して、機体もより獣に近い姿になっていった、というようなことなのかな。
設定を深掘りすると戻ってこれなくなりそうなので、だいたいそんなところかな? という勝手な解釈なので、間違ってたらごめんなさい。
個人的には、今回のラースのような動物モチーフとして洗練されたデザインも、基型のようなあくまで車輌を動物型にしたような初期のデザインも、どちらも好きです。
ただ、今後は初期デザインの感じはなくなっていくのかと思うと少し寂しい気はします。
このラースやウィアードテイルズのような安定感のある構造でバイクや重機に変形する機体も見たいものです。
まぁ、組み換えで作れや・・ということなんですけどね。
それができるキットシリーズですし。
しかしラース、よく動いてくれますね。そしてしっかりポーズが維持できる。
それに、腕部の仕様やプラズマキャノンの基部フレームの独立化などは、基型からの正統なアップデートという感じで納得感のある仕様になっていました。
キットとしても設定としても、基型の不満点をしっかり解消してくれた、という感じでしょうか。
そういう意味でも、ラースはあくまで量産機なんですよね。
特別な性能、機能はなく、ボルトレックスの純粋な後継機種。
そう思うと、ラースをベースにしたアグニレイジ・ラースみたいなものもありえるのかな。
そんな感じでもう一回大型機にチャレンジしてからのジャガーノートですね。
・・うん。まだ諦めてないよ。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。
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