KD ブラックアラクニア レビュー

 今回のレビューは、トランスフォーマー キングダム より、

“KDー05 ブラックアラクニア” です。


 “ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー” に登場したプレダコンズの女性兵士、

“諜報工作員 ブラックアラクニア” が、

キングダムで発売されました。


 日本での名前は “ブラックウィドー” 。通称クモ姉ちゃん。

 キャラの濃い(あくまで日本版基準ですが)ビーストウォーズ出演陣のなかでも一際目立っていた彼女。

 ビジュアルはもちろんのこと、そもそもはマキシマルズ所属だったのにプロトフォーム状態の時にプログラムを書き換えられてプレダコンズとして誕生すると、ずる賢く野心的な性格で、基本的には自己中心的に立ち回る姿が印象的でした。

 しかしそんな彼女も、続編のメタルスでは新キャラのシルバーボルトとの関わりのなかで最終的にマキシマルズに復帰。

 ただの悪女ではない可愛らしい一面も、たびたび見せてくれました。

 のちの別シリーズにもしばしば登場。トイでもすでにマスターピース版が発売されていたりと、プレダコンズでの扱いはメガトロンに次ぐ感じ。人気はそれ以上かもしれませんね。

 通常ラインでの純粋なリメイクは今回が初めてになりますが、メガトロンに随伴するかたちでプレダコンズの先陣を任されることになりました。

 ネトフリで配信される新作アニメ、キングダムでの役割は果たして・・


それでは、レビューしていきます。

 なお、例によって本文中では基本的に各キャラクターを日本名で呼びますのでご了承を。


パッケージ

 基本的な仕様はシリーズ共通ですが、現状では彼女のみ、ロボットモード時のイラストが正面、ビーストモード時のイラストが側面(斜め)に描かれています。

 しかしそれ以上に注目すべきは背景。崖の上にお馴染みのメンバーが並んでいます。

 今回、とりあえずプレダコン所属になっているらしいダイノボットがビーストモードで。

 その横には先日、WAVE3での発売が正式に発表されたスコルポス(スコルポノック)のロボットモード。

 そして先頭、崖の切っ先にはいまだ公式からアナウンスのないワスピーター(ワスピネーター)がやはりロボットモードで描かれています。

 とりあえずは彼の発売は確定としていいでしょうね。WAVE4かな。えらく焦らしてくれますが・・


ロボットモード

 当時の3Dアニメのデザインがかなり忠実に再現されていると思います。

 めっちゃ華奢。

 ER アーシー型も女性らしいプロポーションでしたが、それ以上に細く、しかし出るところはちゃんと出ている。

 そもそものデザインがけっこう有機的なので、ロボットというよりアンドロイド的というか、つまり胸とかがしっかりその形状になっていて妙に生々しい・・(笑)

 一方で二の腕から生えるクモの脚が不気味に怪しく、しかし美しい。

 脛なども非常に細く、一見頼りない感じはしますが、足が大きめかつ前後左右にスイングできるので、自立は安定します。

 ともあれ、とにかく各部のパーツが細いし小さいし、最初はどう扱っていいものやら、触るのも怖々でした。

 弄っているうちに、そこまで気を遣わなくてもよさそうだ、とは思いましたが

 意外にも軟質パーツは使われておらず、クモの脚の先や拳代わりのクローなども、とくに造形のだるさはありません。

 背面。

 クモのお腹部分は、コンパクトにたたまれて背中にまとめられておりすっきり。

 ふくらはぎには5㎜穴がありますが、今回は足裏には穴がないため、ウエポナイズ、アーマーアップに使えるポイントはそこだけ。


 顔のアップ。

 まぁ、決して美人ではないし可愛くもない・・(笑)

 ただ細かく造形でアニメでデザインが忠実に再現されています。

 ちゃんと口許も塗り分けられていますね。

 襟にもプレダコンズのインシグニアがプリント。

 胸の入れ墨もよい感じです。


 足首は先にも言ったように前後左右にスイング可能。

 とくに横方向は内側だけでなく外側にも曲げられるので、女性ならではのセクシーな立ち姿にも対応しやすいです。


付属武器

アンカーショット

 これもアニメ版のデザインを忠実に再現。

 ただし一体成型なので、アンカーを取り外すことはできません。

 オリジナルトイでは紐付きで射出ギミックありましたが。

 グリップ部分はもちろん5㎜軸で、そのまま腕部クローに通して保持できます。

 なお、腕部クローも開閉はできません。


ビーストモード

 セアカゴケグモにトランスフォーム。

 日本設定ではブラックウィドーの名前から、ジョロウグモに変形することになていましたが、本来のモチーフはセアカゴケグモだそうです。

 今回はフォルム、色彩含めてばっちり再現。

 すでにロボットモードでも見えていましたが、お腹部分や8本の脚の表面の質感も非常にリアルで、正直、キモイです。

 まぁ、僕は虫は全然大丈夫なので問題なし。

 むしろラットルのほうがダメ(笑)。KD版はまだ可愛い方向なのでマシですが・・

 本来はロボットモードの腰部がそのままビーストモードの頭部になるのですが、今回そこはダミーパーツを使用することで形状を再現。目の色も変更されています。

 なので(?)後ろから見るとお尻の部分にもう一つの顔が。

 クローも見えてしまっていますが、それほど気にはならないかな。


 上から見ると、

もう普通に標本(笑)。

 ER アーシー型ではロボットとビークル、両モードのプロポーション再現のために究極のガワ変形とも皮肉られるような方法を採りましたが、今回のブラックウィドーはしっかり変形しながらプロポーションも両立させています。

 いやはやすごい。

 変形パターンは先に発売されたマスターピース版をある程度踏襲しているらしいのですが、ずっとシンプルになっているとのこと。いわゆる簡易マスターピースというやつですか。

 しかし、それでも説明書を見るだけでは脚部の収納がちょっとわかりにくかったですかね。いろいろ試しているうちに綺麗に収まってはくれましたが。

 ただやはり、あまりカッチリ変形できる感じではないですね。ちょっとスタジオシリーズに近い感覚はあるかも。


 裏面にはこのようにアンカーショットをマウントできます。

 両腕のダボ穴にはめ込むかたちになるので、アンカーショットが最終的な固定ジョイントも兼ねているような感じです。

 とはいえ、クローと足裏でジョイントされるので、アンカーショットなしでも変形が破綻するということはありません。


比較画像

 まずはオリジナルトイと。ロボットモードで。

 オリジナルはタランスのリカラー(リデコですらない)なので、ロボットモードのプロポーションはお世辞にも女性型とはいえないものになっています。

 カラー再現も・・ロットによって違いがあったのかな? 少なくとも僕の手持ちのモノは誰これ? レベルですね(笑)。


 せっかくなので顔のアップも。

 本当、誰?(笑)

 ちなみに、前に倒すとタランスの顔になります。


 ビーストモードでも。

 もちろんこちらの見ためも、タランチュラに変形するタランスのままなので、まったく違います。

 そもそも、これもタランチュラか? という気はしないでもない。

 変形パターンについては大まかなパーツ移動は共通ですが、オリジナルでは腕部を前に伸ばしてクローがそのまま顎になるのに対し、今回は後ろにたたむので顔付きがかなり変わっています。


 レジェン版と。ロボットモードで。

 レジェンズ版はアニメイテッド版のリデコなので、デザインはけっこう独特。

 それでも頑張って雰囲気は寄せている感じです。

 なお、肘や膝に爆弾を抱えており、うちのコはすでに両肘が割れています(泣)。

 武器もアニメイテッド版の流用のクローアンカーですが、本体部分と紐で繋がっているところはオリジナルから受け継がれていますね。

 やはりクモ=糸ですしね。

 そういう意味では、今回もなにか同様のギミックがほしかったかも。


 ビーストモードでも。

 こちらもまた独特のデザイン。

 デフォルメ感のあるクモロボという感じで、やはりリアル寄りの今回のビーストモードとはまったく別のものです。


 同時発売されたKD メガトロンと。ロボットモードで。

 すごいボリューム差ですが、概ね劇中イメージ通りかな。


 ビーストモードでも。

 こうなるとクモがでかくて引く・・(笑)

 いやでもマジで、これ下手したらヤラれますよ、ティラノサウルス。

以下、画像

 変形との兼ね合いもあり、腰の回転はオミットされていますが、それ以外の可動は非常に優秀。

 何度も言いますが、足首の可動域の広さもあって自立が安定するため、ポージングがはかどります。

 膝は可動位置が絶妙で1軸ながら深く曲げることが可能で、立て膝もばっちり。

 ただし、腰部が干渉するために太腿腿を真っ直ぐ上げることができないので、どうしても少しはしたない感じにはなってしまいますが・・

 あ、膝の突起部分も独立して可動します。

 クロス立ちも決まる。

 クモの脚は根元こそ左右4本で一体ですが、中央の間接からは1本ずつボールジョイント接続で独立可動するので、様々な表情付けが楽しめます。


 なんとなく匍匐前進。

 首も多少ですが可動するので、気持ち上を向かせることができます。


 スタンド対応穴は腰裏に。

 軽いので気兼ねなく浮かせられます。


 クモ脚マシンガン一斉掃射っシャァー!!

 正式な仕様ではありませんが、クモの脚の先端にはシリーズ共通のエフェクトパーツをどうにか取り付けることもできます。

 まぁ、多くはエフェクト側の穴に脚先を突っ込んで引っかけているだけですが、モノによっては深く挿し込むこともできます。


 ビーストモードでも。

 この形態で動かせるのは基本的に脚だけですが、それでもけっこういろいろな表現が可能です。

 本体が軽く、脚パーツも硬質でしっかりしているので、アシダカグモのような姿勢にも。

 なお、ビーストモードで使えるスタンド対応穴はありません。

 パッケージには上空から降りてきたような画が描かれてるのに・・


 ロボットモードに戻って、VSチータス。

 クモの脚をシールド代わりに敵の攻撃を防御。


 VSラットル。

 恐怖のハグ殺法が炸裂。

 コアクラス相手なら、この状態で持ち上げてもちゃんと自立できます。


 ビーストモードでもう一回。

 完全に大型のクモの捕食シーン・・

 苦手な肩ごめんなさい(今さらww)

 しかしラットル君、一切表情を変えませんね。


 戦場での運命の出逢い、そして・・

 シルバーボルトはメタルス放送当時のオリジナルトイですが、サイズ的にもデザイン的にもとくに違和感はないですね。

 しかし彼がリメイクされることは、ま当分ないでしょうね。

 本音を言うと、ビーストウォーズは3年かけてシリーズ3作分をしっかりやってほしかった。


 以上、“KD ブラックアラクニア” でした。


 ER アーシー型とは違って、しっかり変形しながらロボットモードとビーストモードのプロポーションを両立した・・先にマスターピースでの経験があったとはいえ、そこから通常ラインらしくシンプルにまとめ上げた、開発陣の気合いを感じるアイテムでした。

 最初は、あまりに華奢で繊細なので、また扱いが大変か・・とも思ったのですが、案外頑丈そう(もちろん、最低限丁寧に扱うのは当然として)で、ロボットモードでは小気味よく多彩なポーズがバシバシ決まりますし、ビーストモードでもそれなりに動き、ちゃんとキモイ(笑)、高クオリティのクモフィギュアとして楽しむ(?)ことができると思います。

 オリジナルはあのザマ(酷いww)ですし、レジェンズ版もちょっと違う、マスターピースは扱いにくいし、なにより高い・・というところにきて、ようやく決定版ともいえるクモ姉ちゃんが登場してくれたのではないでしょうか。

 昨今躍進目覚ましい女性型トランスフォーマーのなかでも異彩を放つブラックアラクニア、アーシー型とは対極に位置するものとして、ともにトランスフォーマー史に残るアイテムになる・・かも。

 なににせよ、コレクションに加えておいて損はないと思います。

 あとこれ、プロポーションが全然違うからかなりのパーツを新造しなきゃいけないだろうけど、なんとかリデコでタランスできないかな?

 というか本当、なんであいついまだに完全スルーされてるの?

 ユニクロンとの絡みもあるし、絶対出さなきゃダメでしょ。


 といったところで、今回は終了。

 またのご訪問を。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 退屈と惰性と

    2021.05.16 14:14

    @あけち?ともあきいつもありがとうございます。 女性型はアーシー型の例があったのでちょっと警戒してましたが、杞憂でした。クモの脚や手のクローも軟質じゃなくてよかった。仰るように意外と丈夫そうでもありますしね。 タランスはどうにか欲しいところですが、ここまで音沙汰ないのは・・人気ないのかなぁ?
  • あけち?ともあき

    2021.05.16 13:51

    ブラックウィドー、思いの外できが良くてびっくりですよね!アメリカでは爪が折れたりしてて、こわごわ扱ってたんですが、案外頑丈でした。このプロポーションと変形の両立は凄まじいですよね。くるくると体を丸めて蜘蛛の腹に収まっちゃうのは圧巻でした。タランスが出るとしたら、完全に新規造形でしょうねえ……